京都市長選、野党連合という幻

カテゴリー: 政治 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

あれ、「野党連合」はどうなった? 2月2日に投開票を迎える京都市長選は現職候補の門川大作氏に自公、立民、国民、社民が“全部乗り ”。これに共産党、れいわ新選組が推薦する弁護士の福山和人氏、同和事業批判で知られる元市議の村山祥栄氏が追う展開だ。今月開催された第28回党大会でも「野党連合政権で国民に希望」と高らかに宣言したが共産党の“ ホームタウン”京都では連合どころか根深い対立を露呈してしまった。

自由同和会の新年会にも出席。(FBより)
自治労の旗びらきに門川氏は出席。自治労連(共産党系)はもちろん眼中にないだろう。 (FBより)

「野党連合政権」到底、実現できるとは思えないが…ともかく発端は安保法制に反対するため2015年、共産党が「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を呼びかけたこと。以来、選挙のたびに「野党共闘」「野党連合」が叫ばれたが劇的な成果は出ていない。先述した28回大会で共産党・志位委員長はこう挨拶している。

市民と野党の共闘をさらにどのように発展させるか。私は、ここで、共闘にのぞむ日本共産党の基本姿勢について述べておきたいと思います。 昨年8月、私は、3回の国政選挙での共闘の到達点に立って、野党連合政権に向けた話し合いを始めることを呼びかけました。これまでに、立憲民主党、国民民主党、社民党、れいわ新選組との党首会談が実現し、「安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取り戻す」という方向での一致が確認されたことは、重要な前進だと考えています。

その他野党に対する猛烈なラブコールでやはり野党連合政権に意欲を見せる。かといって京都市長選を眺めるとむしろ野党間の軋轢を露呈してしまう。

異例の批判広告。アメリカの共和党と民主党のネガティブキャンペーンみたい。

1月26日、京都新聞朝刊に“ 大切な京都に共産党の市長は「NO」 ”という意見広告が掲載された。野党関係者からも異論が相次いだ。立民の福山幹事長は門川氏の“ 応援団長”的なポジションだが、自身もツイッターでは

強い違和感というが

この通り、広告内容を批判的に見ていた。しかしそんな福山幹事長も過去には

広告内容と変わらない。

「共産党に議席を渡さない!。私、福山哲郎がマイクを握っております」 と発言していたことを共産党の光永敦彦府議にこう指摘されていた。こうした発言や新聞広告の裏にはやはり「京都では共産党強し」という関係者の焦りがあったに違いない。2008年、門川氏最初の市長選では対立候補の中村和雄弁護士に951票差という薄氷を踏む勝利だった。中村氏善戦の要因としてやはり同和利権の解決という公約が大きかった。

同和利権という問題については門川氏も手痛い過去がある。京都市が部落解放同盟京都府連の学習会などの名目の温泉旅行に約8000万円の不正補助金を支給し、市民グループから訴訟を起こされた。2001年に返還を命じる判決を下された際、門川氏は当時教育長の職にあり責任者の一人だ。

なにしろこの旅行はコンパニオン代、マージャン代、ゴルフ代まで補助金を使用していた悪質なもの。やがて中村氏が提案した同和利権の追及プランは門川行政にも採用された。同和利権についても共産党と他党が対立する要因だろう。特に解放同盟が支持する旧民主党―立憲民主党の議員にとって共産党は苦々しい存在に違いない。

狭山闘争の支援者でもある立民・福山幹事長。共産党と「融和」というのは難しい?

一方で、福山和人候補の推薦に名を連ねるれいわ新選組と山本太郎代表が共産党と絶対的な関係かと言えばそうでもない。共産党第28回党大会に招待状を送っていたものの山本代表は現れず。この通り、共産党の掲げる「野党連合」とは悲しい片思いである。

2018年、京都府大山崎町町長選で共産党が支援する前川光現町長が当選。この時、西脇隆俊知事、自民党議員らとともに立民・福山幹事長、国民・泉健太衆議院議員が対立候補の山本圭一氏の応援ポスターに掲載されていた。このオール体制の中、共産党候補が勝利するわけだから京都における強さを証明したわけだ。

「京都では(共産党は)強いがゆえにアンチも多く統一候補ができないということでしょう」とは与党系の元議員。同氏は共産党と対立関係にあったが、こんな評価をした。

「京都はなぜ共産党が強い? 古くから革新や反体制の気風が強いとか様々な分析があります。実は“ 伝統”も影響しているんですよ。京都の伝統工芸、伝統商工業は中小零細企業が多くそういう会社や業者の労働問題や保護、また古い町の景観保全に取り組んできたのが共産党なんです。この点は我々保守側にも反省すべき点がありますが…」

本来、伝統産業、伝統工芸といえば保守政党が取り組むイメージではないか。なにしろ京都と言えば日本の伝統文化の象徴。ところが不思議なことに「日本文化」「伝統文化」と対極にある革新政党の共産党がむしろ伝統保護を担ってきた構図があるのだ。つまり京都において共産党はある意味「保守」の顔を持つ。こうした下支えがあって共産党王国が築けたのだろう。しかしこうした業者、また共産党員自体も高齢化している。今後も従来の強さが保てるのかは別問題だ。

だからこそ「野党連合」で新しい支持層を獲得する狙いがあるのだろう。と言っても現状は「不発」どころか「幻」に等しい。今回の京都市長選が何より物語っているし、「京都」だから特別という説明は苦しい。かつては「確かな野党」というキャッチフレーズを掲げ、孤高を貫いてきた。「野党連合」よりも独自の道を歩む方がよほど「確かな野党」らしい。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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京都市長選、野党連合という幻」への7件のフィードバック

  1. 遠州屋

    京都の市民レベルでは共産党が嫌いという意見はよく耳にします。現職京都市長の門川大作も「スマホばかり見ていてなんにもせーへん」という評判です。
    京都市の市長が誰になろうが、余所者の私には対して関係ありませんが京都の友人は誰に一票入れるか悩んでいるようです。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      村山祥栄氏とか他の候補に託してみるとか。
      個人的に門川氏もどうかと思いますが、福山陣営を見ると支援者が
      ロクでもないから損している気がします。

      返信
  2. 遠州屋

    京都の友人に聞いたところ悩みに悩んだ挙げ句「村山祥栄」に期日前投票で1票いれたそうです。

    返信
  3. 市長選広告「無断で顔写真使用」

    下記のもと、全文掲載しても問題ないと判断。
    著作権法第十条第二項
     事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。

    返信
  4. とある隣保館職員

    先程、門川候補への当選確実が打たれましたね。
    こんな選挙戦をしていては野党連合など夢のまた夢という感想でした。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      思うにですが福山さんのところに応援に来た
      著名人の方はかえってマイナスのように思えます。
      京都市民の人たちにとって山口二郎や香山リカなんて
      特定の有権者でもない限り魅力もないし
      「?」という感じでしょう。
      応援戦略も考えるべきです。

      返信
  5. 強き鎖のツァーヒュイバ・トンウォイ

    香山リカ……来たのか。意味不明だなあ。

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