人権、平和、環境、こうした運動に関わる活動家たちにとって「講演会」は貴重な収入源である。自身のプロモーションの場でもあり、自己顕示欲を満たせる重要な舞台。自治体、企業の研修会、関係団体などシーンは様々だが「講演会ビジネス」は必ずニーズがあるのだ。では一体、彼らはどれぐらい「謝礼」をもらえるものか。今回、紹介するのは部落情報発信サイト「BURAKU HERITAGE」のメンバー・上川多実氏の講演会を例に検証してみる。
自治体にはたいてい「人権」に関する部署が存在する。こうした部署にとって予算が消化できる「人権講演会」は重要な行事。しかも翌年の予算配分に関わるため彼らも必死だ。かといって自治体職員が目新しい企画を考案できると思えない。そこで行政にとって「講師」に内容を一任できる「講演会」はありがたい存在なのだ。仮に講演内容に問題があったとしても扱うテーマが「同和」の場合、市民にとっても反論しにくい。自治体にとっても「人権問題」に取り組んでいるというポーズも取れるし、声の大きな活動家をなだめるという意味も持つ。
とは言え自治体には「アイデア」もなければ「人脈」すらない。そこで講演会の講師派遣を専門にする代理店も存在する。自治体はほぼ丸投げで行事が開催でき、代理店、活動家にとっても収入になる。三者の利害が見事に一致するのだ。
さて「上川多実」と言っても一般人にとってほとんど聞くことはないだろう。また同和関係者としても失礼だが名うての活動家というわけでもない。本誌も過去、あらゆる同和関係者を扱ってきたが上川氏が登場したと言えば【年末拡大版】李信恵の短大講師吊し上げに見たリアル『朝田理論』だ。これは部落解放同盟大阪府連と李信恵氏のトラブルに意見をした大阪芸術短期大学講師・北口学氏がネット上で吊し上げられた一件を紹介した。北口氏吊し上げに関わった一人が上川多実氏である。また「全国部落調査」についても上川氏は批判的に論じているが本誌に対して直接、意見したことはない。
率直に彼女は著名人でもないし、学識経験者というわけでもない。そんな上川氏が自治体の講演会に講師として起用された。佐賀市が8月1日、佐賀市文化会館中ホールで開催した平成30年「佐賀市同和問題講演会」でのこと。上川氏は「日常の中の部落差別」というテーマで登壇した。東京在住の上川氏をわざわざ佐賀市まで呼ぶことにどの程度の価値があるのかは知らない。講演会で配布された資料のプロフィールを見るとこうある。
部落にルーツをもちながらも、東京の被差別部落ではない地域で生まれ育った37歳。二児の子育て中の母親。
「部落にルーツを持ちながらも、被差別部落ではない地域で生まれ育つ」。この記述が同和問題の講師としての価値を高めているとは思えない。見方によっては「エセ?」と感じる人もいるに違いない。断っておくが地区外住民が部落問題を語るなという意味ではない。しかし「部落を語っていいのは部落出身者だけ」というのはむしろ運動家たちが言ってきたことだ。それでも上川が同和問題の講師として成立するのはなぜか。それは彼女が部落解放同盟東京都連合会の長谷川三郎氏の娘という点だろう。本来、地区外で生まれ育った時点で部落とは無関係のはずだ。ところが彼女のツイッターにはこうある。
妹が新しい仕事に就いたんだけど、身元保証人の書類を書かなければならないとのこと。父と母に頼むと、部落解放同盟って書くことになる。私は部落に住んだことがないので、住所や名字で部落って知られるという経験はないのだけど、そうだった、親の仕事を聞かれると、
もし、うちの子が大きくなって結婚すると言い出したとき、うちの子が部落出身者だと相手の親が知っていた場合、すんなり「おめでとう」と言ってもらえる確率は約半分ってことよ。約4分の1の確率で反対される。
解放運動家はもちろん「部落解放」を前提にしていたはずだ。ところがどうだろう。解放と言いつつ実は誰よりも「部落」という出自に執着している。しかもその子にまで「部落」を押し付けようとしている。これが本来の「解放運動」とは思えない。ある意味、部落解放に逆行している人物を佐賀市は講師に起用したことになる。さて本来は一般地区住民であるはずの彼女への講演謝礼とはいくらか。佐賀市に情報公開請求してみた。公開文書によると講演会は西日本企画サービス(本社:久留米市東合川3)が請け負った。また佐賀市文化会館は同社の業務受託施設でもある。
見積書を見ると講師にかかる分として15万円(交通費込)が計上されていた。部落出身でもなければ学識経験者でもない彼女に支払われる謝礼としては随分、高額だ。しかももし部落問題を語るならば隣接する福岡県にいくらでも運動家はいたろうに。おそらくは佐賀県内にも被差別部落在住者はいることだろう。また彼女よりも知見がある人もいるはずだ。東京から来た「地区外」の住民が「部落問題」を講演することの意味について一度、聞いてみたいものである。
参考に本誌が過去、紹介した同和問題の講演会の講師謝礼を紹介して話を終わる。
1、村崎太郎(猿回し芸人) 70万円
2、高山文彦(作家) 40万円
3、栗原美和子(放送作家) 30万円
4、北口末広(学者) 22万円(*企業研修)
5、上川多実(主婦) 15万円(東京から佐賀の交通費込)
多美ではなく多実ですね。
BURAKU HERITAGEなるものを提唱していますが、heritageの意味は一義的には「世襲[相続]財産」ですから、少なくとも言行不一致ではないのでしょう。
ありがとうございます。では財産として部落を継承していくということですかね。
羨まし過ぎます。
同和利権を継承するって意味では確かにheritageだ…。
「差別は金になる」とどこかの人がいいましたけど真理ですな。
実際にお金になっていますね
>江戸時代までは本当に部落株のようなものがあったようです。売買もされていたとか。
https://twitter.com/tottoriloop/status/1021905096517476354
ここで鳥取ループさんが言及している話は興味深いですね。よろしければ出典を教えていただけませんか。
私は分からないので本人に依頼しました。
滋賀の部落第1巻の70ページに、久保村は八風街道筋の皮田村や横井村から、肉処理株を譲りうけたといわれるとの記述があります。
上川いわく
https://twitter.com/yoshamushi/status/1040246316935217152
>無名の私が佐賀まで呼ばれたのは三郎の娘だからだっていう主張はリアリティも全くない
「無名の私」と認めつつ「佐賀まで呼ばれたのは三郎の娘だからだっていう主張はリアリティも全くない」。意味不明な主張です。じゃあ、上川さんはご自分がなぜ講演に呼ばれたと思っているのでしょうか。
上川さんの場合、自分を部落と関連付けるのは三郎の娘だからということ意外何もないので、よく分からない主張ではありますね
A.皇族や将軍の子孫(自称を含む)というだけで個人としては(ほぼ)業績のない一般人が出自を武器に商売している例→竹田恒泰、徳川光康など
B.旧賤民の子孫(自称を含む)というだけで個人としては(ほぼ)業績のない一般人が出自を武器に商売している例→川口泰司、上川多実など
AとBは表裏一体の関係にあります。ただ、Aに関しては税金が食い物にされたことはないようです。
付け加えると、
C.被曝者の子孫かつ全聾(自称)というだけで個人としては(ほぼ)業績のない一般人がドラマチックなライフストーリー(自称)を武器に商売していた例→佐村河内守
というのも同じカテゴリに属していますね。
けっきょく、個人の業績とは無関係に、特異な出自(たとえそれがフェイクであろうと)を売りにすれば宣伝効果が生じ、金儲けにつながる。
一見関係ないようでありながら、AとBとCは全て「ご同類」と位置付けることができます。