タックスフリーの米軍基地内の買い物はお得か?

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By 宮部 龍彦

昨今では米軍基地というと沖縄ばかりが注目されているが、神奈川県も基地が多い県の1つである。当然、厚木基地などでは飛行機の離着陸に伴う騒音が常に問題となっている。

一方、基地で働いている地元住民も多く、飛行機の離着陸コースでは騒音対策のための住宅の工事費用が支給されたり、周辺自治体には基地に関する補助金や交付金が出ているのも事実である。

米軍基地は案外オープンで、基地で働いている知り合いがいれば一緒に入らせてもらったり、米軍基地内の英会話教室に通ったり、地元の自治会が招待されたり、様々な名目で普段から基地内に入ることは難しくはない。

ただ、基地内での買い物は制約が多い。基地内は日本国外と同じ扱いなので、当然消費税はかからない。しかし、基地から物を持ち出せば「輸入」という扱いになるので、本来は税関を通して、関税を払わなければならない。ところが、一時期基地内で買ったものをインターネットオークションで転売(これは当然ながら脱税ということになる)する人がいて問題になり、最近はそのような行為はもちろん、基地の外から入ってきた人が基地内のスーパー等で買物をすることも制限されている。

しかし、オープンベースと呼ばれる基地の開放イベントの時だけは来場者のために堂々と物が売られることがある。オープンベースは花見、独立記念日、盆踊り、ハロウィーンと、何かと理由を付けて(あるいは大した理由もなしに)案外頻繁に行われている。

実は昨年、キャンプ座間のオープンベースでフリーマーケットが企画されたことがあったが、直前になって突然オープンベースではなくなって基地内向けだけになってしまったことがあった。さすがに物販がメインのイベントはまずかったようだ。

しかし、先日の8月5日のキャンプ座間日米親善盆踊り大会で、再びフリーマーケットが企画されていたので、行ってみた。

キャンプ座間は在日米陸軍の司令部がある、兵站基地である。ここで働いているのはほとんど将校以上の階級の人で、そのためか基地の外で軍人が暴れたとかいった事件はあまり聞かない。軍属の息子が近くの神社に放火したとか、将校が秘書の日本人女性にセクハラしたといった話が何年に1回かあるくらいだ。

ちなみに、飛行機の騒音がうるさい厚木基地周辺でも、キャンプ座間周辺だけが静かなのは、ここには将校の家族向け住宅があるので飛行機が避けて通るようになっているからだとも。

フリーマーケットが行われている場所に行ってみると、あまり多くはないが人が集まっている。今回は中止にならなかったようだ。

ただ、売られているのは衣類や子供用品がほとんど。値段は中古品としてはまあまあ妥当な価格で、転売して儲けようということは、あまり期待できないようだ。ただ、子供向けのおもちゃの中に、X-BOXのソフトが格安で混じっていたりするので、そういうのが狙い目かも知れない。

米軍のレーション等が売っていることを期待したのだが、さすがにそういう物はなかった。

キャンプ座間のイベントでは必ず展示されるブラックホーク。見るだけではなく、兵士と一緒に写真を撮ったり、触ったり、操縦席に座らせてもらうことも出来る。

軍属(業者)や兵士の有志の露店が並ぶ。業者と有志の店の違いは、ざっくり言えば日本語が通じるのが業者の店、英語だけなのが有志の店だ。人気の店には行列ができる一方、閑散としている店もある。

為替相場が1ドル=100円前後で推移していたころは、100円玉は1ドル札と等価ということで、ドルでも円でも買い物できたのだが、昨今の円安でチケット制になってしまった。レートは1チケット=110円。

露店の食べ物は、ビールは300mlが3チケットから5チケット。大きめのボトルのビールは25チケットで、詰替えは18チケットだ。ピザは10チケットくらい。肉料理は安くはなく、しかも当たりハズレが大きい。業者の露店は食べ物の質はよいが、5チケットの「ジビエメンチカツ」を買ってみたらコロッケみたいな大きさのがたった1つだった。また、兵士の店はとてつもなく不味いものが出てくることがあるので注意が必要だ。30チケットくらい買っておいて3分の1は無駄にする覚悟が必要だろう。人気のない店は徐々に値下げを始めるので、不味さも含めて楽しみたいなら、それを狙う手もある。

オープンベースの時以外も、基地内のスターバックス等で食事は出来る。ただ、必ず基地内で食べ切らないといけないというルールがある。少し前までは、オープンベースの時も食べ物を基地外に持ち出さないように税関が呼びかけていたが気にする人はおらず、基地内で買ったピザやケーキを堂々と持ち出している人がいるのが実情だった。

子供向けの特設の遊園地もあり、エア遊具の類は1回3~5チケット。

なんと、中古車が売られている。販売員に聞いてみると、自動車税等込みでこの値段らしい。基地の中なのだから消費税はかからないのかと聞くと、よく分からないけど、基地の外にお店があるので…と要領を得ない返事だった。

子供向けの銃のおもちゃや、自衛隊グッズを売る露店。こちらは良心的な価格で、消費税もかからない。最近は税関からクレームが付かなくなったのか聞いてみると、こういうことだった。

「確かにいろいろ言われた事があったけど、今はもう何も言ってこないよ。今回みたいなお祭りの場合は特例ということになっているから」

調べてみると、日米合同委員会で日米親善のためのイベントであれば関税法の例外とするという合意が出来ているとのこと。つまり、祭りの時は堂々と買い物をしてもいいし、基地の外に持ち出しても問題ないそうだ。

ということは、ひょっとするとあの中古車も無税で買えるのか? もし、それなら、かなりお得な話である。しかし、さすがにそれはないようだ。さきほどの、業者のおっちゃんはこう語る。

「ああ、あれは、基地の中の人に売っているものだよ。もし、基地の外に出して日本のナンバーを付けようと思ったら、びっくりするくらい税金を払わされるよ」

やはり、基地の中の物を転売して儲けるのは難しいようだ。

ただ、唯一本当にお得と思われるのが、こちらの衣類である。スマートフォンで相場をチェックしてみると、確かににかなり安いものがある。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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