【交野市㉗】財務諸表の公開義務は? 維新・堀市議は国保か社保か「加入者2人」の会社を追う

By Jun mishina
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日本維新の会の地方議員をめぐり、いわゆる「国保逃れ」が問題になった。実態に乏しい法人の役員となり、低額な役員報酬を基準に社会保険へ加入することで、本来なら議員報酬などに応じて高額になる国民健康保険料を軽減する手法だ。では現在、市長選、府議補選、市議補選で関心が集まる維新の交野市議は問題ないのだろうか。府議補選に立候補予定の堀天地市議が代表を務める会社を調べてみると――。(写真=中司宏衆院議員のFacebookより)

決起集会で区長を動員したことを問われると

一般社団法人交野青年会議所のInstagramより。

8月22日、交野市内で市長選候補者の現職、山本景市長と大阪維新の会公認のみよしかおる前府議による公開討論会が開催された。会場のゆうゆうセンターには約150人が集まり、両氏の舌戦を聞き入った。

事前に寄せられた質問に両氏が応じる形で進行。

「山本市長が早口でまくし立てるのに対してみよし氏がメモを見ながらでした。そのせいかみよし氏は時折、話が詰まる時があったから聴衆には弱く映ったかもしれません。最後にみよし氏から〝山本氏が行政機関を利用して決起集会(8月2日)で区長を動員したことは不適切だ〟と指摘を受けました。すると 〝今はお互いの市政運営についての質問時間ですよ。その質問には答えません。コーディネーター(司会)さん、注意してください〟とムキになっていましたね」

議会中でもヒステリックになることがある山本氏。討論会でも最後に地金が出た。だが意外だったのはこれまで山本氏はSNS上でみよし氏の国保問題を執拗に取り上げてきたが、討論会で言及しなかったことだ。

追及するだけの材料がなかったのか、公開討論会だから話題を市政に限定したのか。なにしろ維新にとって〝国保逃れ〟は党を揺るがせた問題だ。

確認しておくと国保逃れとは、高所得の自営業者などが保険料の負担を減らすため、形式的に法人役員となり、極端に低い役員報酬で会社の社会保険に加入して保険料を不正に安く抑える行為である。

実はみよし氏ではなく、同じ大阪維新の会に所属する堀天地・交野市議の会社にも疑念が向けられている。また同会派・岡田智里市議の親族企業も議会で問題になっていた。

自宅所在地に会社を登記

「交野維新は大丈夫やろか。岡田(智里)さんの親族の会社も問題になってるとちゃうの?」(地元政界通)

維新会派の市議をめぐる問題とは何か。同市の福祉関係者が説明する。

「グループホームさくら(運営会社=有限会社エヌケイカンパニー、交野市妙見坂)に対する補助金返還請求という問題が全員協議会でも議論されました。国と府の補助金総額3000万円を受けて施設の増床とスプリンクラーを設置したグループホームさくらが2021年に事業を廃止。2023年に交野市が同社へ返還命令を行ったのですが結局、約1200万円が未回収金として残りました。今後の方向性を話し合っています」

実はグループホームさくらの実質的オーナーというのが岡田智里市議の父親なのだ。

  • 2013年の補助金交付
  • 2016年のスプリンクラー補助
  • 2021~2022年の休止・廃止
  • 2023年5月の返還命令

岡田氏は2023年の当選だから、SNSの一部で囁かれる「市議の地位を利用して補助金を受けた」といった批判は当たらない。かといって問題の渦中にある会社が親族の関連企業というのは岡田氏にとっても苦しいところだろう。

岡田氏に事情を確認したが応答はなかった。

一方、府議補選に立候補する堀天地市議の会社に対しても疑念が寄せられているのだ。

堀氏が代表を務める株式会社Tenwells(大阪府交野市東倉治)は2016年12月に設立。

同社は寝屋川市河北中町で「リハビリデイサービスそうでんねん」を運営しており、介護事業そのものには一定の経営実態が確認できた。維新議員の国保逃れで問題になった、外部の一般社団法人の理事に形式的に就任するケースとは事情が異なる。

一方、日本年金機構の「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」で同社を調べると、社会保険の適用年月日は2019年9月2日、現在の被保険者数は2人と表示される。

堀市議が初当選したのは2023年であるため、社会保険への加入そのものは市議就任より約4年早い。この時系列だけを見れば、市議になってから国民健康保険料の負担を回避する目的で会社を社会保険の適用事業所にしたとは考えにくい。

しかし、それだけで疑問が解消するわけではない。

最大の焦点は、被保険者2人の中に堀市議本人が含まれているかどうかだ。

仮に堀市議が同社の社会保険に加入している場合、その保険料は原則として同社から支給される役員報酬を基礎に算定される。市議として受け取る議員報酬は、同社の標準報酬月額には直接反映されない。

そのため、同社から受け取る役員報酬を低額に設定していれば、市議報酬を含む所得を基準に国保へ加入する場合と比べ、健康保険料の負担が大幅に軽くなる可能性がある。

もちろん、会社を実際に経営し、相応の役員報酬を受け取って社会保険に加入しているなら、通常の会社経営者として何ら不自然ではない。

問題になるのは、市議就任後に会社での勤務実態が乏しくなっているにもかかわらず、極端に低い役員報酬と社会保険資格だけを維持しているようなケースだ。

したがって、堀市議が社会保険に加入しているかどうかだけでは、「国保逃れ」とは判断できない。役員報酬額、その変更時期、会社での職務内容、業務への従事日数や従事時間を併せて検証する必要がある。

インボイス登録は確認できないが

8月22日のXより。

国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで同社の法人番号を検索したところ、インボイス登録は確認できなかった。

ただし、インボイス未登録だからといって、直ちに売上高が1000万円以下とはいえない。同社が営む介護事業は、介護保険給付の対象となるサービスの多くが消費税の非課税取引となる。取引先からインボイスの発行を求められる場面が少なければ、売上高にかかわらず登録する必要性が乏しいことも考えられる。

したがって、インボイス未登録自体を「国保逃れ」や会社の実態が乏しいことの根拠にすることはできない。

ただ、会社の経営規模を判断するため、直近の売上高や、介護保険に基づく非課税売上と、それ以外の課税売上の内訳についての説明することが望ましい。

同社の社会保険適用が2019年に始まっている以上、最も重要なのは、市議就任前後で役員報酬や勤務実態に変化があったかどうかだ。

例えば、市議就任後も介護事業所の経営に日常的に携わり、それに見合う報酬を受け取っているなら、「国保逃れ」との批判は当たりにくい。

反対に、市議活動が中心となり会社業務への関与が限定的であるにもかかわらず、低額な役員報酬によって社会保険資格を維持し、結果として国保より大幅に低い保険料しか負担していないとすれば、制度の趣旨との整合性が問われる。

制度上可能であることと、政治家として説明責任を果たしているかは別問題だ。

財務諸表の公開が義務化されたはずだが

大阪維新の会が所属地方議員の「国保逃れ」を問題視してきた以上、同党所属の堀市議にも、自身の加入状況を明らかにする責任があるだろう。

1.株式会社Tenwellsが適格請求書発行事業者として登録していない理由をお聞かせく
ださい。

2.同社の直近3事業年度について、各年度の売上高をお示しください。また、そのうち
介護保険給付の対象となる非課税売上高と、それ以外の課税売上高の内訳をお示しくだ
さい。

3.日本年金機構の「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」によると、同
社の被保険者数は2人となっています。この2人に堀市議本人は含まれていますか。

4.堀市議本人が被保険者に含まれている場合、同社における被保険者資格の取得年月
日をお示しください。

5.堀市議本人の標準報酬月額を公表する意思はありますか。

堀氏にこのような質問状を送ったが、本人からの説明はなかった。

それから同社の情報公開をめぐって別の疑問も浮かんだ。厚労省が運営する介護サービス情報公表システム「介護事業所・生活関連情報検索」で「リハビリデイサービスそうでんねん」を検索してみた。

というのも、2024年度から全ての介護事業者に財務諸表の公表が義務化されたのだが、堀氏の「リハビリデイサービスそうでんねん」は財務諸表が公開されていない。

単なる事務上のミスの可能性もあるが義務化された以上、添付漏れは不注意すぎるし、そもそも議員である以上、説明できる状況にしておくべきである。しかも、府議補選に挑戦する以上、こうした疑問を向けられることは想定できたはずだ。

公表が義務付けられた財務情報を確認できないのであれば、その理由について事業者側の説明が必要だろう。違法行為とは言わないが、会社の規模や経営状況を外部から検証しにくい状態にある。

また法人情報についても事業所の代表者はフルネームの記載だが、同社は「堀」というだけ。どういう意図があるのか。それはともかく財務諸表の添付は義務化された以上、掲載されていないのはおかしい。

現時点で、堀市議が「国保逃れ」をしていると断定できる事実はない。しかし、疑念を払拭する方法は難しくない。被保険者資格、役員報酬、勤務実態という客観的な事実を示せば済む話である。

先に挙げた質問状を含めて、堀氏がどこまで具体的に説明するのか。その回答を待ちたい。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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