By Jun mishina 
日本維新の会所属地方議員の離党が相次ぐ。当サイトも報じてきた林隆一和歌山県議以外でも、香川県総支部代表代行・町川順子県議が今月14日に離党。また長崎県総支部所属の３氏が22日に離党を表明した。全国政党になるには地方議員が礎だ。だが維新で相次ぐ議員の離党は地方組織の崩壊を招くのではないか。
長崎では新人議員へのパワハラ問題も発生
日本維新の会の地方議員に課せられた「身を切る改革」（寄付）。議員定数の削減、議員報酬の削減が達成できなかった地方議会所属議員は歳費の10～20％を選挙区外の地方公共団体、公益団体などへ寄付するきまりのことだ。
ところが過去記事でも指摘した通りルールが不明瞭で、寄付先も「公益性」を前提としながら「一般社団法人」「NPO」など“ 公益”に値しない団体も散見された。
加えて他地域に寄付することで、寄付先の地元維新議員に対する“ 後方支援”という可能性もある。純粋な寄付なのか疑わしいケースもあった上、地方議員にとって過酷な取り組みなのだ。
先述した町川県議は離党の理由を「一身上の理由」としたが、対する長崎県総支部所属の長崎市・梅本圭介、都留康敏両市議、大村市・中村仁飛市議の３氏も「身を切る改革」に苦慮したようだ。今月21日、「ご報告」として身を切る改革の不履行を党本部から指摘された後、納付したことを発表した。
同日の発表では、日本維新の会長崎県総支部所属で議員活動を続けると見られたが、その直後に３氏は離党を発表。その理由は「身を切る改革」ではなく執行部からの「パワハラ」とのことだ。離党を決意した議員の一人は「すでに記者クラブにペーパー（開催概要）を投げ込んでおり、24日（＊今日）に記者会見を開きます」と話す。
詳細は24日以降ということだが、パワハラとは維新らしい。過去記事でも維新議員のパワハラ体質はレポートしてきた。なにしろ維新の党風は非常に“ 輩”感が強い。他地域でも維新のパワハラ問題は発生するがまだ地盤が弱い九州で起きてしまった。３氏はいずれも今春の統一地方選で当選したばかり。九州地区での党勢拡大を挫いてしまったのではないか。しかも長崎県総支部も代表は和歌山総支部と同じく井上英孝衆院議員。井上氏の管理責任が問われる。
その通り筆者がいうまでもなく和歌山総支部の市議が井上氏ら執行部の解任請求を訴えたのだ。
解任請求に党本部が離党処分へ「まるで共産党だ」の声も
維新地方議員の離党問題における鏑矢となった和歌山県総支部。やはり内部では不満が溜まっているようだ。
同支部所属の志賀弘明、新古祐子両和歌山市議が「井上英孝代表、岩谷良平副代表、浦平美博幹事長、山野麻衣子政務調査会長及び中庄谷孝次郎総務会長の解任を求める」として19日、党本部、和歌山県総支部、馬場伸幸代表に解任請求を提出した。ところがなぜか同日に、党本部から離党処分を示唆されたという。
これには経緯がある。両氏は先月25日、身を切る改革の不履行を理由に離党勧告を受けた林県議の反論会見に同席。両市議も処分が不明瞭として県総支部に説明を求めた。
これが党本部・執行部批判と受け止められたのだろう。だが解任請求には正当な理由がある。
解任請求ではすでに林県議が寄付を履行していること。また党紀委員会の委員長・委員選出が党規約の条件を満たしていないこと、またその他、所属議員の寄付先に問題があることが記載された。
対して両市議への離党勧告は党籍がなければ解任請求が無効になるという思惑だろう。だが所属議員である以上、役員の解任請求は正当な権利なはず。解任請求自体を問題にするならば「独裁」そのものである。
解任請求にどう対応するのか日本維新の会党本部に確認すると「まだ確認できていないので回答できません」というに留まった。
関係者はこう憤る。
「馬場代表は共産党を“なくなったらいい政党 ”と非難しました。共産党も元共産党政策委員会安保外交部長・松竹伸幸氏を強引に除名するという問題が起きています。しかし今、維新がやっていることは“ 共産党と同じ”ではないでしょうか」
おそらく同様の疑問を抱く維新関係者は少なくないはずだ。「共産党と同じ」という批判は他でもない馬場氏が最も耳が痛いことだろう。一連の離党騒動の裏には維新党本部の“地方議会軽視 ”が強く滲み出る。次期総選挙の前に維新の地方組織が崩壊する危険性すらあるのではないか。
