草津町長から性被害を受けたと告発してきた新井祥子元町議が昨年、名誉毀損と虚偽告訴の罪で在宅起訴された。そして2月末に「新井祥子元草津町議を支援する会」が解散。すでに支援者の大半が新井氏から離れたがフェミ活動家、メディアはなぜ新井証言のみを優先したのか? その背景を検証するとフェミニスト版朝田理論が見て取れる。
支える会解散、だが新井氏は 事実と主張
群馬県草津町の新井祥子元町議が2015年に同町長から性被害を受けていたと告発してから約3年が経つ。
2020年からフェミニスト、左翼活動家、一部メディアから辛らつな批判、罵倒が黒岩信忠町長、草津町に投げかけられた。とりわけ同年6月に新井氏に対する解職請求(リコール)が成立すると、支援者やメディア関係者は「セカンドレイプの町」とさらに攻勢を強めていく。
そして「草津MeToo事件」と支援者たちは勇んだものだが、崩れ去った。
昨年10月31日に新井元町議が名誉棄損罪及び虚偽告訴罪で起訴されたことで状況は一変。これで続々と支援者たちは運動から“逃亡 ”。
彼女をまつり上げ声を挙げたフェミニスト、活動家たちは現在、沈黙している。そして先月28日、「新井祥子元草津町議を支援する会」は解散。同会長の中澤康治町議は同日、自身のFacebookでこう報告した。
一部を引用する。
町民の皆様には、2022年12月25日付で休止声明を配布させていただいたところですが、新井祥子元草津町議が、私たち「新井祥子元町議を支援する会」(以下、「当会」)の意に反して、『しょこたん通信』第1号(以下、『通信』)を発行したことを踏まえ、当会はこのたび解散することを決定いたしました。
私たちもまた、新井元町議の証言を信じて、黒岩町長に対して強制わいせつの疑いをかけたことにお詫びをしなければなりません。黒岩町長ならびにご家族、ご支援者のみなさまに、深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。また、草津町町民のみなさまにも多大なご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
関係人物の中で唯一といってもいい町長への謝罪表明である。
なお文中の『しょこたん通信』とは新井氏が独自に作成したもの。下記に掲載する。
支える会の解散表明、しょこたん通信もSNSなどで拡散された。かつての支援者からも見放された新井氏だがいまだに「町長が言えば嘘も本当になる世界」「町長室で、黒岩町長から体を触られたことは事実です」と訴えている。
詳細は後述するがかつての同志、『草津温泉 漆黒の闇5』の著者、ライターの飯塚玲児氏には「1人の野心あふれるライターの言葉にのって(告発した)」と責任転嫁しているかのようだ。
新井氏は飯塚氏と記者会見で同席したほどの協力関係だったのにこの有様。
他方、すでに白旗をあげた支える会にすれば、新井氏に根拠のない主張をされても困る。そこで解散、つまり新井氏への絶縁宣言という訳だ。
かといって「解散」だけで済ませていいものか。
解散表明文のうち「新井元町議の証言を信じて」(黒線部分)という箇所に注目してもらいたい。被害者側が「証言」すれば全て事実なのか。町長への疑惑は「伝聞推定」で既成事実化していったことが特徴的だ。
推定有罪を 生み出す 恐怖の フェミ版 朝田理論
「疚しいことがあるに違いない」「疑いが限りなく濃い」
本件に関与した活動家たちの発言、関係文書にはこうした表現が散見される。象徴的な一文を挙げよう。昨年12月25日に発表された『「新井祥子元草津町議を支援する会」は活動を休止します!』より引用する。
第1に、新井さんは、性被害当日とされる 2015 年 1 月 8 日から約1年半後の 2017 年 7 月末、8月末に、彼女の 20 年来の親友2人に、その被害を打ち明けていたことです。未だ、誰も知らない、そして、2019 年にライターの飯塚氏と出会うまで彼女自身公表するつもりのなかった性被害をわざわざ捏造してまで、親友2人に打ち明けるということはありえないことだと思われました。そこで、その被害は事実だろうと考えました。
とても理解に苦しむ一文だ。
「公表するつもりのなかった性被害を捏造して友人に打ち明けることはありえないこと」から、それがなぜ「被害は事実」につながるのか?
性行為を示す決定的な証拠、例えば写真、音声、あるいは電子メール、LINEなどのスクリーンショットがある訳でもない。不倫、性被害、こういった報道で成果を挙げる『週刊文春』の場合、記事化するのは「写真、音声、動画、メールやLINEなどのやり取り」こういった証拠資料の“ 完パケ”渡しが条件という。裏返せばそれほど慎重さが必要なのだ。
ところが本件は「推定有罪」。中国の文化大革命や新左翼の「造反有理」にも通じる「告発有理」という思想を感じる。2020年以来、「草津MeToo」「セカンドレイプの町草津」などとマスコミを交え活動家たちは喧伝してきたが、その中には従来から「死刑廃止運動」を訴える人物もいた。おおかた「被害者感情のみを優先するな」と訴える。
ところが草津事件については新井氏の証言のみを優先したのはどうしたことだろう。しかも事実関係が明確でない時期にマスコミ関係者まで便乗したのも罪深い。
このことは「差別」と感じた者に全ての決定権と主導権がある「朝田理論」と酷似した。朝田理論とは部落解放同盟中央本部第2代中央執行委員長、朝田善之助が提唱したものだ。解放運動を象徴する思想である。
「性被害と告発した側が真実」
草津事件は“ フェミ版朝田理論”があった。その傾向は新井氏周辺の活動にもみられる。
新井氏は2019年、現在は町長への名誉棄損の罪を問われているライター、飯塚玲児氏と出会う。飯塚氏は町長に事実確認することなく新井証言のみを採用し『草津温泉 漆黒の闇5』で性被害を訴えた。
帯には「草津町長が町長室で不適切な関係!?女性議員が真相を激白!これ以上、草津の女を虐げないで!」と過激な文言が並ぶ。実に攻撃的だ。
奇しくも中澤町議のFacebookのプロフィールにはこんな一文があった。
闘争を好む男性中心社会を廃して、女性中心の平和で、公明・公正な社会づくりを目指しています。
「闘争を好む男性中心社会」。昨今のフェミニスト、そして彼女たちを取り巻く活動家の方がよほど好戦的でむしろ勇んで闘争している。飯塚氏の著作を借りれば「漆黒の闇」はむしろフェミニスト、活動家たちの心の内にあるのではないか。
かくも脆い イデオロギーの絆
草津事件における町長糾弾の声が先鋭化した背景には北原みのり氏、増田都子氏といった名うての活動家が参戦したことだろう。増田都子氏は支える会の副会長でもある。増田氏の名は保守層の記憶に刻まれているだろう。東京都元中学教員。1997年、授業で扱った普天間基地批判に絡み、アメリカ人父を持つ女子中学生母への名誉棄損で2006年に免職された。なにしろ共産党系の全日本教職員組合(全教)ですら母親を支持したほどだ。
一方、新井氏は保険外交員出身。北原氏、増田氏と異なり本来はいわゆる「活動家」ではない。それが2020年の告発以来、著名な活動家たちと交わる。
市民運動、労働運動、環境運動も然り。平凡な一市民が運動に参加しスポットライトを浴びると人柄が豹変し、言動が過激化する。こんな現象をたびたび目撃してきた。新井氏は町議だから、相応に「承認欲求」を満たせたかもしれない。しかしそれ以上に活動家やメディアに囲まれた日々は過去、経験がない高揚感に包まれたであろう。
彼女の主張を支援者たちが正しく検証していれば…。こんな無残な結果は招かなかったかもしれない。
事実確認が粗雑。
これも被害者証言を優先するフェミ版朝田理論がゆえだろう。それに共通の敵がある間の結束は強い。だが一たび崩れたらイデオロギーの結びつきなど脆いものだ。
増田氏が先月23日にFacebookに投稿した新井氏を批判する糾弾文書は度肝を抜かれた人も多かっただろう。正確に言えば糾弾というよりも恨み節。「今回は遠慮なく増田ブシ全開で書きます!」と宣言し、新井批判が続く。
あなたが行くべき場所は草津町議会ではなく、刑務所です!!!!!最後にもう一度、書いておきます。
「恥知らずって、なんて幸せでしょうか!?」
ご本人の言う通り「増田ブシ全開」なのだ。
2015年1月8日、町長室の 面談記録
増田氏をはじめ新井氏の主張を信じた面々は信じるにたる証拠があったと強調する。
だが入手した証拠書類、根拠はあまりに薄い。町長と面談した2015年1月8日は、新井氏が私用もあり来庁したという。私用とは副町長の姉が所有するアパートを借りる契約をしており、副町長と面談したということだ。しかし支える会側は副町長との面談が嘘だと訴えた。新井氏はすでに引っ越しの準備をしており、同日はアパートの件で副町長と会う必要がなかったという主張。
支える会が昨年末に発表した反論文には副町長が裁判資料として提出した同日の手帳メモが添付。同会は副市長と面談しておらず、書き換えも可能で捏造と訴えた。それが仮に事実だとしても何ら性被害を裏付けるものではない。
また新井氏が提出したアパートの賃貸借契約者も添付資料にあった。しかしこの契約書もまた性被害とどう関係するというのか。
また同日、町長との面談を録音しており、そこに性被害が記録されたというのが従来の根拠だ。しかし約1時間の録音時間中、15分だけ残して新井氏は残りを削除した。音声には性被害の記録などなかったのだ。
この点は2月28日、支える会の声明文が詳しい。それによれば新井氏は支援者にこう説明してきたという。
「町長に録音していることがばれたと思って、町長が近寄ってきたときに録音スイッチを切ったから最初の15分くらいしか録音されていません。もし、1時間全部を録音したテープがあったとしたら、私は辛くてすぐ全部を消去していたと思います」
だが記録音声は全て復元され裁判資料として提出。会話のみで「押し倒され、下着を脱がされ、等々」の行為はなかったのだ。
その一部の音声のみで信じたのは軽率、早計すぎる。しかしこれもまたフェミ版朝田理論の弊害という他ないだろう。
逆に増田氏は2021年12月6日の議会の傍聴時に通報されたことについて昨年11月15日、町長を告発した。旗色が悪くなったがゆえの“逆ギレ ”の感もある。無論、町長が起訴されることもなく終わった。
そんな増田氏を直撃すると意外な反応を示した。
増田氏「(新井を 信じたことは)穴が あったら入りたい」
なにしろ長年、都教委と闘争を続けてきた増田氏。そう簡単に折れる人物とは思えないが
「新井氏の主張を信じて町長を強く疑ってしまったことはお詫びしたいと思います」
とあっさり非を認めたのは驚いた。しかしこう反論する。
「事実関係がはっきりしないのに新井氏をリコールしたことは不当だと思っています。その点については今も変わっていません」
ならば事実関係が定かではないうちに町長に濡れ衣を着せたのはおかしい。それに活動家やメディアが一方的に「性被害」を訴える以上、町としても反論せざる得ない。また新井氏が飯塚氏と町長がつながっていると主張している点も聞いてみると
「それでもリコールというやり方が正しいと思いません。だけど新井氏を信じたことは穴があったら入りたいですよ」
と述べた。新井氏の信用したのは反省するが、新井氏リコール自体は不当という考えは変わらないようだ。
また新井氏にも「①約1時間の録音について冒頭の15分だけ残して削除したのは事実か②飯塚氏とは記者会見を開くほどの協力関係だったが、通信で批判しているのはなぜか」という質問をしてみた。
新井氏は
「質問については弁護士との相談の上でお返事になります。お時間頂けますようお願いします」
との返答があった。回答はいずれ紹介するとして今後の経過を見守るとしよう。
この状況で、両氏とも応じてくれたのはその他、謝れない活動家より見上げたものだ。本来ならばその他、活動家、加えて便乗した報道関係者も釈明、謝罪があってもおかしくはない。またこうしたトラブルが本当の性被害者を侵害しかねないことも認識してもらいたいものだ。
そして「性被害と告発した側が真実」、すなわちフェミ版朝田理論を改めない限り、第2、第3の草津事件は起こりえるだろう。
読ませていただきました。
本件のような冤罪で人生終わる人もいるわけで、冤罪被害者が出ないように、新井氏だけでなく、草津に濡れ衣を着せた関係者も正当に、徹底的に裁かれてほしいです。
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