既報の通り、鳥取県東伯郡琴浦町では、同和事業の廃止を巡って賛成派と反対派の攻防が続いている。町議会では同和事業廃止賛成派が多数であり、関連議案が通過する状況となっていることから、町議会と町執行部・解放同盟が対立するという異例の事態となっている。
その過程で町が部落解放同盟協議会に支出している補助金と、住宅関連の貸付金に対して町議会から監査請求が行われ、補助金の使途が問題視された。また、町議会での発言を差別事象として問題視された渦中の高塚勝議員から資料請求がされ、その補助金の使途の詳細が開示された。そこから、地方自治体から解放同盟に支出される補助金が、主に各地での集会の動員のために使われている実態が明らかとなった。
情報公開が叫ばれた2000年代中盤までは、この類の資料は一住民の情報公開請求でもほとんどが公開されたものである。しかし昨今はいわゆる「のり弁」状態で出ることがあり、特に同和に絡むことでは日常茶飯事となっているのだが、そのことに対して市民団体やメディアが大々的に問題にされることは少ない。
しかし、今回はさすがに議会からの請求だけあって、個人名以外はほぼ公開されている。
2018年の決算書によれば、部落解放同盟琴浦町協議会への町の補助金は180万円、そしてその半分程度の約90万円の会費収入があることが分かる。
そして、その使途の大部分は県内外の集会への活動費、解放同盟県連と解放同盟中部地協への負担金が占めている。
そして、集会の参加費用の大部分は特に遠方での開催の場合は交通費であるが、一部が集会主催者への「資料代」、そして参加者への「手当て」に当てられている。
これはもう以前からおおよそ想像できていたことなのだが、各地の解放同盟関連の集会への動員は地方の補助金で支えられており、一部は負担金、資料代という名目で独自収入へと化けているということだ。独自収入と言えば、かつては解放同盟関連の出版物が補助金で購入され、住民に配られるということもあったが、今回はそれはなかった。
なお、上記の領収書については、監査委員から、資料代と手当てが二重計上されていると指摘されている。交通費の部分に既に資料代と手当てが含まれていたのだ。ただ、1件だけなので、これは単にミスによるものと言えるだろう。
監査委員から、何か不正があったと指摘されたわけではない。
だたし、集会への参加が一部の人に偏っていること、参加者から復命書(参加報告書)の提出がないことが問題とされた。
町議会からはこれを受けて解放同盟の補助金を廃止すべきという意見も出たが、今年度からは120万円に減額するということで決着している。
なお、前回お伝えした同和減免の廃止の件は覆ることはなかった。今年度から琴浦町で廃止される同和事業は次のとおりである。
・固定資産税の減免
・隣保館の生活相談員
・地区進出学習会への学校教員の関与
隣保館の生活相談員の仕事に同和減免の取りまとめがあり、同和減免の廃止でいよいよ必要なくなったということである。そして、「地区進出学習会への学校教員の関与」が何を意味するかというと、同和地区では学校の教員が放課後に子供に対して特別に補習を行っていたのだが、これに教員を関与させないということである。例えば、鳥取市ではかなり前から地区進出学習会は地区住民のみで自主運営することになっている。
これらは町議会への議決によるものであるが、なぜかそれに対して町の「あたゆる差別をなくする審議会」に諮問がされている。これは異例なことである。審議会の意見を受けて執行部が議会に案を出すというのであれば分かるが、議会での決定事項に審議会が意見することに意味があるようには思えない。選挙で選ばれた議員による決定が審議会の意見で覆ることがあれば、議会制民主主義に反することになってしまうからだ。
なお、以前の記事でも触れた、元県議会議員の松田道昭氏から町議会に何度も質問状が出されている。あまりにしつこいので、町議会はついに回答拒否しているようである。