【連合自治会長事件】コロナ支援活動で浮上した芦原人脈

三品純 By 三品純

5月18日は和歌山・芦原地区連合自治会長事件の第三回公判だった。しかし和歌山県のコロナウイルス感染防止対策による訪問自粛要請を受けて傍聴を見合わせた。地元報道関係者によれば大きな進展はなかったが次回、証人尋問が行われる予定。有力な情報や証言が出るのは次回に期すとしたい。

さてこの通り傍聴ができなかったのは残念だが皮肉にもコロナウイルスが関連情報をもたらしてくれた。同県の感染防止対策は「和歌山モデル」と評価されているが、妙なことにコロナ絡みの取り組みで金井克諭暉よしゆき被告を取り巻くキーパーソンが浮上した。松井紀博和歌山市議だ。金井のために開催されたド派手な還暦パーティー(写真参照)の関係者であり、芦原地区・同和事業にも深く関与した人物である。

芦原地区が支援する議員が記念撮影に

「ソーシャルディスタンスのために法廷では間隔を空けて座っていました。検察はマスクを着用してなかったので大丈夫かと思いましたよ(笑)」(傍聴人)

自粛要請、感染抑止策は各地の裁判にも影響しており延期するケースも散見される中、この日は通常通り開廷した。公判は予定通り進行中だが、金井逮捕から時間が経ったのとコロナウイルスもあり関心が薄れた感も否めない。とは言えこんな状況にあっても“ 金井絡み”の情報に目を光らせるウォッチャーがいるから頭が下がる。

「和歌山放送ニュースWEBサイトの『【新型コロナ】和歌山市の企業、除菌電解水給水器を市に寄贈(写真付)』という記事を見てください 」

と言うのは芦原地区問題のウォッチャー。同記事では住宅建築、リフォーム業などを営むエコ・トップ株式会社(和歌山市川辺)の上田浩司社長が和歌山市に除菌電解水給水器を2台寄贈したことを報じている。給水器は市役所と保健所に設置され職員が消毒に利用するという。

企業・団体・個人問わず自治体に対する寄付、寄贈は全国で行われる。おおかた市長、副市長あるいは担当部署の部長らと記念撮影し、新聞の地方面や役所の広報誌に掲載されるものだ。この時は給水器を持つ尾花正啓市長、上田社長夫妻、そして向かって市長の左隣にいるのが松井紀博和歌山市議である。芦原地区と関係が深い議員であり歴代の連合自治会長の支援を受けてきた議員。ウォッチャー氏はこう不信感を露わにする。

給水器を持つ尾花市長の隣に松井市議。

「記事には松井市議という説明がなく、本人と気づく人は少ないと思いますよ。この寄贈は松井市議が仲介したのでしょう。首長、幹部職員と記念撮影をするのは珍しくないですが、仲介した議員が写るのはおかしくないですか? これでは“ 癒着”と囁かれても仕方がないですよ」

確かに仲介した議員まで同席するのは違和感がある。これでは議員を介してまるで“ 試供品”とばかりに市に寄贈して「売り込んだ」という構図にも見えてしまう。当事者たちにそうした意識がなくとも疑念を持たれる可能性はある。しかもご丁寧に尾花市長が給水器を抱えての記念撮影だ。この給水器、株式会社テックコーポレーション(広島市中区)の除菌電解水給水器(オープン価格)である。

現在、コロナウイルス禍の中で消毒用のアルコールが不足しており、洗浄・殺菌消毒効果を持つという電解水は注目されている。エコ・トップに聞いてみたところ「1台29万8千円から販売しております。設置費用はサービスさせて頂いています」ということだ。ただ給水器を設置すればいいのではなく補充用の電解補助液(主成分:水、塩化ナトリウム、塩酸)1L×4本セット2万円、10L2万8千円が必要。維持費がかかる機器である。

和歌山の政治事情に詳しい人物に言わせると

「市長が特定の商品をもって記念撮影するというのは市内の施設(学校、公民館、隣保館)などに“ 市長のお墨付き”という印象を与えかねないですよ。それでなくても金井の件を含めて尾花市政に不信感が高まっています。妙な勘繰りを受けないといいですね」

現在、衛生管理が求められる中で洗浄殺菌効果がある機器は関心が高いだろう。仮に市内の公共施設に納入となれば大きな利益になる。記念撮影について松井市議に問うてみた。

「(エコ・トップの)上田社長は私の支援者で何か市に役立つことはないかということで間を取り持ちました。もちろん何の見返りもありません。補充液は定価と同額ならエコ・トップさんが納入するかもしれませんが、それより安い業者さんがあればそこが納入になります。役所の調達ルールに従ってエコ・トップさんから納入できない場合もあると説明しています。それから記念撮影については口をきいた議員も一緒に撮ることになっています。まあ田舎の慣例ですなぁ」

田舎の慣例というがこの辺りが和歌山市感覚と言うべきか。まるで「議員の斡旋行為」のように見える慣例は無くした方がいいと思うが…

あの還暦パーティーの発起人だった!?

それからもう一点、松井市議に確認すべき問題があった。先述した金井被告の還暦パーティーである。演歌歌手をゲストに地元企業、議員、行政関係者も多数出席した還暦祝いの席。

「自治会長の還暦祝いであれほどの盛大なパーティーを開催するか?」

ごく一般的な感覚ならばこう思うに違いない。金井被告の権勢を象徴するパーティーだ。その発起人の一人というのがあの二階幹事長―金井被告のツーショット写真にも同席していた良誠工業(和歌山市松江北)の中山勝裕社長。本誌も昨年末に取材した。

中山氏は自身のフェイスブックにパーティーの写真を投稿したが(現在は削除)このため金井被告の還暦パーティーの中身が広く知られることになったのだ。しかしこれも腕利きのウォッチャーがいるもの。その一部を保存していた。松井市議の名もある。

還暦パーティーが終わってからの投稿。明らかに運営者側のレスだ。

松井市議が発起人の一人と思しき人物に対して「お忙しい中、ありがとうございました♫」と返答している。文言から推測するにただの参加者ではなく、どう解釈しても運営者側の表現ではないか? 松井市議にこの点も確認すると「当時のことは覚えていないので調べてみます」との返答。そしてその後の説明はこうだ。

「中山さんが削除したようだから記憶を辿るしかないけど、発起人の件はなってないことはないかもしれないです。名前を欲しいと言われたらどうぞと言うしかありません。ただ実務をしていないから記憶に残っていません。(コメントをしたのは)おそらく発起人メンバーをタグ付けしてフェイスブックにアップしたのでしょう。だから私のタイムラインにも載りますからそこに反応したと思われます」

また金井被告との関係については

「芦原の地域の方々にご支援を頂いています。金井さんだけということではなく議員になった時から連合自治会長にお世話になっていますよ」

場所が芦原文化会館というのも分かりやすい、
金井被告のかつての居城? 芦原文化会館の竣工式では松井氏が祝辞。

芦原地区はとにかく世帯数が多く票田としては非常に強いところ。市議選であれば芦原を抑えるだけでかなりの票が見込める。芦原地区は解放同盟などの同和団体ではなく独自に運動してきた。だからこそ団体・政党色がない金井被告という存在を生んだわけだ。

対して松井市議は保守系会派の政和クラブ所属だが自民党系の議員であることには違いない。一般的なイメージとして同和地区が強い地域の支持政党は立憲民主党など旧社会党系、旧民主党系を想像するだろうが、ここ芦原地区の組織内候補は保守系・自民系ということになる。政党の論理というよりもむしろ芦原地区特別対策協議会、連合自治会と議員個人の関係で支持/不支持が決まる格好だ。

またこんな過去も。『解放新聞』(2015年12月14日)によれば11月16日、東京・都市センターホテルで、人権課題解決に向けた和歌山県集会「人権フォーラム」が開催された。出席者は以下の顔ぶれ。

和歌山県連も藤本哲史・委員長をはじめ多くの同盟員が参加。中央本部の組坂委員長もかけつけて来賓あいさつし、「和歌山から発信された熱と光を全国に広げたい」と決意を語った。実行委員長の二階俊博・自民党総務会長が主催者あいさつし、仁坂吉伸・県知事、前芝雅嗣・県議会議長、田岡美千年・県市長会長、小出隆道・県町村会長、松井紀博・県市議会議長会長代理もそれぞれ実行委員としてあいさつ。

同フォーラムでは 自民党の稲田朋美政調会長(当時)が講演。普段、左派・リベラルから批判される稲田氏だが、この日は部落差別撤廃の個別法整備へ前向きな姿勢を表明した。これがやがて部落差別解消推進法として結実するわけだが、そんな決意表明のような場に松井市議も同席。この通り、同和行政にも強い関心を持つ人物だ。しかし長年の同和事業が様々な弊害をもたらし、そして連合自治会長事件を引き起こしたのはもう明白。

金井被告に責任の全てを転嫁するわけにはいくまい。

最後に松井市議はこう尋ねた。

「よくあの写真(和歌山放送ニュースの記念撮影)で私と分かりましたね」

それだけ“ チェック”している市民が多いということだ。つまり市役所・議員・地元企業・自治会関係者、また金井被告の行きつけに至るまで関係した人物・団体はみな“見られている ”のだ。それほど金井被告、行政、一部政治家に対して怒りが強いということ。この思いをぜひ知ってもらいたい。

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三品純

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

【連合自治会長事件】コロナ支援活動で浮上した芦原人脈」への3件のフィードバック

  1. アバターお花枯れススキ

    別件ですが市長も後ろ暗いものがあることが明るみになってきました。

    和歌山・ツタヤ図書館、市が公募前にCCCを内定か…事前に市長と面談、内部資料を独自入手
    https://biz-journal.jp/2020/05/post_157833_entry.html

    同和問題も含めて和歌山市は腐り切っています。
    ですが、昨今は独自で調査を続けられてるジャーナリストの方々(大手マスコミと違い報道の矜持を感じます、頭が上がりません)、ネットの力もあり今までのように闇に葬られる前に明るみになることが増えました。
    今までのやり方で胡座をかき、市民県民を舐め腐った連中が白日の下、公正な裁きを受けることを願ってます。

    返信
    1. 三品純三品純 投稿作成者

      3月、和歌山にいった時に図書館も見学してきました。
      あの件もやりたいです。

      それから松井市議関係の続報がありますので
      またご一読ください。

      返信
      1. アバター枯れススキ

        お返事ありがとう御座います。
        三品さんの記事いつも興味深く拝見しております。
        和歌山市市民図書館の件も、ご無理の無い範囲でアンテナにキャッチしていただければ幸いです。時勢柄、取材などは厳しいと存じますがどうかご自愛ください。
        松井市議関係の続報もお待ちしております。

        同和問題ですが、市民オンブズマンわかやまが定期的にこうした問題を突いた記事を公開されてるようです。
        http://www.naxnet.or.jp/~wa_obz/

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