訴訟進行状況 2025年12月10日現在

カテゴリー: 訴訟 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

今夜19:45ライブ解説します。

全国部落調査事件

10月31日付けで仮処分に関係する個人に無関係な都府県は出版禁止から外された。

2025-10-31-横浜地裁決定.pdf
本裁判の結論どおりなので当たり前の内容だが、理由がやたらと長い。「なお、被申立人らの主張する被害拡大を防止するために、個人被申立人ら以外の人格権侵害を受けるおそれのある債権者が別途仮処分を申し立てることは否定されない」と書かれていることに過剰な配慮が感じられる。

2025-12-01-事情変更による間接強制決定の変更申立書.pdf
ともかく、理屈の上ではこれで間接強制も大部分が解除になるはずなので、それも申し立てておいた。

新潟県情報公開審査会

部落解放同盟が県立高校などを糾弾していた件の関連文書について、11月6日に新潟県情報公開審査会の答申が出された。個人情報と、県教委と解放同盟の関係についての「事務事業支障情報」が黒塗りにされていることについて、筆者は後者の理由を除外するよう求めていたものだ。その求めは認められなかったものの、結果的には公開範囲が拡大されている。

2025-11-06_新潟県情報公開条例第17条第1項の規定に基づく諮問に対する答申.pdf

しかし、この答申には特異な付言がされている。本論では守秘義務違反の事実は認められないという趣旨のことを書きつつ、付言では不適切な情報管理がされたことをわざわざ指摘している。本論と付言が矛盾しており、情報管理について不正があったのかどうか玉虫色の内容である。

漏洩を防ぐ仕組みもなしに生徒のプライバシーを流していたことについて、解放同盟や教育委員会に配慮する一方で、言い逃れはできないという本音も伝わってくる。

新潟県はこれを報道発表したが、ネットで見る限りはどこも報じていないようである。同和案件だからか。

通常であれば、本年末までには新潟県教委は答申通りの裁決をして、筆者は黒塗り部分が縮小された文書を入手できるはずだが、同和が関係すると答申が無視されることもあり得るので、予断を許さない。

東京高等裁判所

2025-09-07-控訴理由書.pdf
2025-09-07-証拠説明書.pdf
2025-11-05-答弁書.pdf

こちらは、川崎市が保有する「同和対策生活相談事業」関連文書の開示を求めて示現舎合同会社が提起した訴訟である。控訴人(示現舎)は、一審判決が「同和団体だから」という形式的な理由で不開示を認めた点や、審理不尽を主張している。特に、類似団体である「横浜国際人権センター」については代表者名や銀行口座が開示されている事実(甲16号証)を新たに提示し、同条例下での取扱いの不均衡を強く批判している 。

これに対し被控訴人(川崎市)は、不開示の妥当性を主張し控訴棄却を求めている。市は、横浜国際人権センターが自ら情報を公開している団体であるのに対し、本件同和団体はネット上の誹謗中傷リスクがあるため保護の必要性が異なると反論している 。また、銀行口座情報についても、横浜の事例は自ら請求書に記載したものである一方、本件は市職員の聞き取り等によるものであり、公開による「押し貸し」等の被害を防ぐ必要があるとして、最高裁判決(平成14年)の法理は適用されないと主張し、差別的取扱いは存在しないとしている

11月27日に控訴審が行われたが即日結審し1月22日に判決予定。

新潟地方裁判所

現地には連合の街宣車が来ていたということである。

被告(筆者)の書面は次のとおり。

2025-11-28-準備書面2.pdf
2025-11-28-証拠説明書3.pdf
2025-11-28-証拠申出書.pdf

筆者としては部落地名を出すことによる被害が具体的でないし、糾弾会の内容については事実であるし公益性があることを繰り返し主張している。それに対して、裁判官は双方の主張を一旦「お休み」にすることを提案した。

また、筆者が糾弾会当時の校長と教育次長の証人尋問を申し出たこと、また新潟県教委からさらなる情報の公開がある見込みで、その結果を受けて教育委員会に調査嘱託(裁判所から調査を求めること)を申し立てることを予告した。裁判官は証人尋問の要否については結論を先送りにし、追加の証拠などがあれば早めに出すことを求めた。解放同盟側も証人尋問の申し出を検討しているということである。

2025-12-09-上申書.pdf

こちらの上申書は解放同盟側が出したもので、教職員への証人尋問をさせたくないことが見て取れる。口頭弁論でも解放同盟側はそのことを口頭で主張したものの、裁判官は判断を先送りにした。

次の口頭弁論は来年の3月4日14:00、さらに6月3日14:00も指定された。

大阪地方裁判所

原告(部落解放同盟)の書面はこちら。

2025-09-16-訴状.pdf
2025-11-25-第2準備書面.pdf

被告(筆者)の書面は次のとおり。

2025-11-04-答弁書.pdf
2025-11-04-証拠説明書3.pdf

訴状では西郡、西成、野崎の支部が提訴したもので、その提訴は今回の事件と併合されるので、事実上3支部が参戦した。それに対して、筆者の側は西郡、西成、野崎が同和地区である旨が明記された公開の資料を提示して反論した。

原告の書面はページ数が多いものの、ほとんどはそれぞれの探訪記事を解説してるだけである。重要なのは第2準備書面の34ページ以降に出てくる「任意的訴訟担当論」。AIで次の通り要約してみた。

任意的訴訟担当論とは、本来なら自分で裁判を起こすはずの人(権利の持ち主)が、本人ではなく“別の人・団体”に「あなたの名前でまとめて訴えてきてください」と任せることを、どこまで認めてよいかという考え方である。ふつうは、権利を持つ本人が当事者として裁判をするのが原則だが、被害を受けた人がものすごく多かったり、一人ひとりが表に出ると危険や不利益が大きかったりすると、代表者に訴えてもらった方が現実的である。このとき、①弁護士しか代理できないという原則や「訴訟信託の禁止」(お金目当てで訴訟だけをゆだねることの禁止)をくぐり抜けるような形になっていないこと、②代表者が訴える合理的な必要性があること、という二つの条件を満たすなら、最高裁判所は「任意的訴訟担当」を認めてもよいとしている。

この準備書面では、原告の大阪府連(部落解放同盟大阪府連合会)が、①自分自身の人格権(差別されない権利・業務を妨げられない権利)が侵害された当事者として訴えると同時に、②部落に住む住民や出身者を「被担当者」として、その人たちの権利を代表して訴える任意的訴訟担当になれる、と主張している。多数の住民が一人ずつ「自分はこの被差別部落の住民です」と名乗り出て裁判をすると、さらなる差別の標的になるおそれが現実にあるため、住民らが団体に訴訟追行を授権し、団体がまとめて訴える必要がある、というのがこの書面の言い方である。こうした事情が、さきほどの①原則の潜脱にならないこと、②合理的必要性があること、の両方を満たすから、この事件では任意的訴訟担当を認めるべきだ、と整理されている。

端的に言えば、部落解放同盟大阪府連合会は大阪府下の全部落民を代表して訴訟をする権利がある…ということである。

これについて、裁判官は部落解放同盟側にさらなる主張の補充を求めるということである。私は、「穢多の総代みたいな論を真面目に取り扱うのか?」と言ったが、とりあえずはどう反論するかは未定の状態だ。

また、部落解放同盟側から部落地名が書かれた裁判の書面を公開しないように言われたが拒否した。それに従うと筆者が解放同盟の主張を認めたことになるからである。どうしても公開されたくないなら仮処分を申し立てるように言っておいた。

裁判など前回のイベント今後の予定
最高裁判所
2024年12月4日 決定
令和5年(オ)第1710号
令和5年(受)第2187号
原告 解放同盟 外234名
関連文書
2025年10月31日
仮処分一部取消決定
2025年12月1日
間接強制の変更申立
未定
大阪地方裁判所
2023年11月6日 仮処分命令申立
関連文書
2024年7月8日 提訴
令和6年(ワ)第6807号
原告 解放同盟大阪府連 外1名
関連文書
2025年11月25日
原告書面提出予定
2025年12月10日 15:00
大阪地方裁判所 1009号法廷
第4回口頭弁論

2025年3月12日 15:00
大阪地方裁判所 1009号法廷
第4回口頭弁論
被告はリモートで参加
さいたま地方裁判所
2023年12月6日 提訴
令和5年(ワ)第2913号
原告 解放同盟埼玉県連 外1名
関連文書
2025年8月31日
被告書面提出済み
2025年9月10日 13:00
さいたま地方裁判所 101号法廷
2025年12月17日 14:00
さいたま地方裁判所 判決
新潟県情報公開審査会
2023年8月15日 審査請求
目的:解放同盟が新潟県立高校を糾弾した関連文書の公開範囲の拡大
2025年11月6日
新潟県情報公開審査会答申

2025年12月末?
裁決
新潟地方裁判所
2024年1月24日 提訴
令和6年(ワ)第23号
原告 解放同盟新潟県連 外3名
関連文書

2025年11月28日
被告書面提出予定
2025年12月10日 11:00
新潟地方裁判所 1号法廷
第4回口頭弁論

2026年3月4日 14:00
新潟地方裁判所 1号法廷
第5回口頭弁論
2026年6月3日 14:00
新潟地方裁判所 1号法廷
第6回口頭弁論
被告はリモート参加
横浜地方裁判所
2024年4月6日 提訴
令和6年(行ウ)第19号
被告 川崎市
東京高等裁判所
令和7年(行コ)203号
関連文書
2025年9月7日
控訴理由書提出
2025年11月27日 14:30
東京高等裁判所 口頭弁論
2026年1月22日 13:15
東京高等裁判所 判決
審査請求-相模原市
2024年12月9日 審査請求
目的:横浜国際人権センターの財務状況を開示させること
関連文書
2025年6月16日 15:00
口頭意見陳述 実施済み
2025年7月4日
相模原市情報公開・個人情報保護・公文書管理審査会へ諮問通知
未定
審査請求-下妻市
2024年12月13日 審査請求
目的:部落解放愛する会の機関誌『荊棘』のコピーを認めること
関連文書
2025年8月4日
下妻市情報公開・個人情報保護審査会答申
2025年8月27日
棄却の裁決
未定
審査請求-兵庫県
2025年1月24日 審査請求
目的:準学校法人神戸中華同文学校及び準学校法人兵庫朝鮮学園の状況調査票を公開させること
未定
本サイトに関連する裁判などの一覧

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)