本サイトに関連する訴訟・審査請求が多数あるが、その状況を不定期にレポートする。前回は3月8日にレポートしたが、その後も多くの動きがある。
全国部落調査事件
裁判自体は昨年の12月4日に最高裁が上告を受理しないことを決定したことから確定しているのだが、解放同盟側の債権回収と閲覧制限の動きが続いている。
まず、ついに横浜地裁相模原支部から債権差押命令が届いてしまった。これにより、平塚信用金庫にある700万円程度の預金が部落解放同盟により回収されることになる。

一方で、裁判が始まった2016年にされた筆者のマンションに対する差し押さえは、解放同盟側の取り下げにより解除された。自動車も差し押さえられていたが、これも既に取り下げられ、裁判所からの正式な通知を待つのみとなっている。
実は、自動車の転売のために法務省に100万円を供託していたのだが、これはわずかばかりの利息とともに戻ってくることになる。
そして、5月23日に東京地裁を訪れて裁判の事件記録を見たのだが、解放同盟側の申し立てによる以下の閲覧制限決定が観測された。日付が5月12日なので、本当にごく最近のことである。

そもそも、筆者が東京地裁に来たのは、解放同盟側の閲覧等制限の申立てがどのように行われているか気になったためだ。事件記録によると、以下のような申立書に各所を黒塗りにした文書を添付する方法が行われていることが分かった。

それに対して、裁判所が同じ黒塗りにした文書を添付した決定を出すという方式で行われている。つまり、裁判所には「原本」「黒塗りにした書類を添付した閲覧等制限の申立書」「黒塗りにした書類を添付した閲覧等制限の決定書」「黒塗りにした裁判記録」の4つが紙で保管されることになる。そのため、ただでさえ膨大な裁判記録が4倍に膨れ上がっている状態である。
なお、裁判記録に以下の紙が挟んであった。被告である私は全部見ることができるし謄写もできる。第三者は閲覧のみで、せいぜいメモ程度しか許されないのだから、ここまで厳格にする必要があるのだろうか?

なお、裁判では解放同盟側は戸籍謄本や住民票の提出をかたくなに拒んで、公正証書まで作っていたのに、裁判の継承手続きのためには親族の改製原戸籍謄本まで提出していることが分かった。無論、筆者はそれらも謄写できた。
東京地裁で平成28年(ワ)第12785号の事件記録を見たいと言えば、閲覧制限されている箇所以外は誰でも見ることができるが、大量の書類の束が載せられたカートという、異様なものを見ることになる。
大阪地裁
3月12日に大阪地裁で口頭弁論が行われた。警備体制は厳重で78席に対して傍聴の抽選に加わったのは147人。双方10分ずつの意見陳述で、裁判所は記録に残さないというので、「解放同盟は裁判所をおもちゃにして、どれだけ無茶な判断をさせるか試しているだろう」と言いたい放題言っておいた。
解放同盟側は対面での審理を強行に主張したが、裁判所はリモートでの審理を決定した。
原告は、解放同盟側への反論として以下を提出している。
2025-03-02-答弁書.pdf
2025-03-02-証拠説明書.pdf
現在までに原告側から提出された主要な文書は次の通り。大阪府内を探訪すると訴えを追加するという姿勢のようである。また、第1準備書面で詳細な主張がされているが、当初は5月19日が提出期限だったが、2日遅れの5月21日に提出された。
2025-03-07_訴えの変更申立書.pdf
2025-03-07_証拠説明書.pdf
2025-05-21-第1準備書面.pdf
2025-05-21-甲27-31-証拠説明書.pdf
甲28 阿久澤麻理子意見書.pdf
さいたま地裁
何度も被告がさいたま地裁に呼び出され、その度に厳重な警備がされ、裁判官が原告側に実質的な主張を促さずに中身のない弁論がされる等、裁判所の対応があまりにもひどかったので、移送の手続きをしていたのだが、移送しないことが確定。
ただし、すぐに弁論は再開されず、4月24日に事実上の電話での「打ち合わせ」をした。口頭弁論でも弁論準備でもない、このような手続きをすることに未だに裁判所への不信感は拭えないのだが、裁判官がどうしてもというので9月10日に実地で口頭弁論を行うことになった。
6月23日が解放同盟側の書面提出期限、それに対して8月31日に被告が反論の書面を提出することになっている。もし解放同盟側の書面提出が遅れたら、解放同盟側の陳述を認めない書面だけを出してあとは高裁に任せる旨を通告している。
新潟県情報公開審査会
新潟県情報公開審査会では現在、筆者側が公開範囲の拡大を求める審査請求のみが係属中となっている。
既に教育委員会側の弁明書が出され、筆者も反論していたが、それは黒塗りの文書が開示される前だったので、3月21日付けの意見書でさらに補充した。そして、5月29日に追加の口頭意見陳述が行われることになっている。ただし、これは非公開だ。
新潟地裁
次回は6月25日に口頭弁論が行われる予定である。ひとまず、主要な書面を掲載しておく。次回は被告側のターンなので、被告側が書面を出したのであるが、原告側から「上申書」が出されている。内容を要約すると、「傍聴人の手荷物を預かるのは過剰警備だ、被告に法廷で個人名や地名を言わせるな」ということである。
原告側:
2024-05-15_第1回準備書面.pdf
2025-02-25_第2回準備書面.pdf
2025-03-06_意見陳述.pdf
2025-05-09-上申書.pdf
被告側:
2025-05-09-準備書面1.pdf
また、閲覧制限が乱発されているが、被告としてはこれに付き合わないことにした。少なくとも新潟地裁分については、双方の書面は被告側の判断で掲載する。その理由は、閲覧制限について裁判所が原告側の申し立てを右から左に流しており、真剣に検討している様子が見られないことと、原告側の特別抗告を取り合わなかったからである。
「個人名や地名を言うな」という指示には一切従わない。全国部落調査裁判での経験から、訴訟の性質上そのような指示に従うこと自体が原告側の請求を暗に認めたと取られる可能性があるからだ。
横浜地裁
結論から言えば3月12日に口頭弁論が行われ、5月28日に判決言い渡しの予定だが、敗訴濃厚と見ている。
被告側:
2025-03-12_第3準備書面.pdf
原告側:
2025-01-16-証拠申出書 全日本同和会.pdf
2025-01-16-証拠申出書 部落解放同盟.pdf
裁判官が「法人の代表者の情報ついて、同和団体にも該当するか…」と言った時に「あ…」と思い、これは川崎市の全日本同和会と部落解放同盟が実質的に同和団体ではないことを本人から語ってもらうしかないということで証人尋問を申し出たが、却下されてしまった。筆者側の判例の読解ミスもあり、万事休すである。
相模原市
「横浜国際人権センター」の収支予算書について、座間市は全面公開しているのに相模原市は黒塗りにしているという問題があり、昨年の12月9日に相模原市長宛てに公開範囲を広げるように審査請求した。これは大変公益性の高い問題だと思うので、市側の弁明書と、筆者の反論書を掲載しておく。
2025-04-23_弁明書.pdf
2025-05-19-反論書.pdf
重要な点は行政不服審査は裁判とは違って政策の妥当性も審査の対象となるのだから、いっそのこと相模原市も座間市に合わせましょうということである。なお、6月中に口頭意見陳述が行われる見込みである。
下妻市
部落解放愛する会茨城県連合会の機関誌『荊棘』が、図書なのか行政文書なのかカメレオンのような状態になっているので、白黒つけて『荊棘』のコピーをさせろというのがこの審査請求の目的である。3月28日に下妻市役所で口頭意見陳述があったが、差し障りがあるため、残念ながら内容の詳細を述べることができない。
ただ、4月30日に情報公開審査会に下妻市情報公開・個人情報保護審査会に諮問するという通知が来た。筆者に有利な判断を下す場合はこの手続きは不要なはずなので、市としては今のところ『荊棘』をコピーさせることができないということなのだろう。今後の手続きの詳細は未定である。
裁判など | 前回のイベント | 今後の予定 |
東京地方裁判所(原審) 2016年4月19日 提訴 平成28年(ワ)第12785号 他 原告 解放同盟 外211名 他 最高裁判所(係属) 2024年11月24日 記録到達 令和5年(オ)第1710号 令和5年(受)第2187号 原告 解放同盟 外234名 関連文書 | 2025年4月17日 不動産への仮差押は解放同盟側の取り下げにより解除 2025年4月25日 債権差押命令 2025年3月24日 横浜地方裁判所-出版禁止の仮処分取消し申立て | 未定 横浜地方裁判所-出版禁止の仮処分取消し申立て 裁判所が検討中 数日中に取り下げ 自動車への仮差押 |
大阪地方裁判所 2023年11月6日 仮処分命令申立 関連文書 2024年7月8日 提訴 令和6年(ワ)第6807号 原告 解放同盟大阪府連 外1名 関連文書 | 2025年3月12日 15:00 大阪地方裁判所 202号法廷 初回口頭弁論 2025年5月22日 原告書面提出 | 2025年6月11日 15:00 大阪地方裁判所 1009号法廷 第2回口頭弁論 被告はリモートで参加 |
さいたま地方裁判所 2023年12月6日 提訴 令和5年(ワ)第2913号 原告 解放同盟埼玉県連 外1名 関連文書 | 2025年4月24日 11:00 電話で事実上の打ち合わせ(非公開) | 2025年6月23日 原告書面提出期限 2025年8月31日 被告書面提出期限 2025年9月10日 13:00 さいたま地方裁判所 101号法廷 |
新潟県情報公開審査会 2023年8月15日 審査請求 目的:解放同盟が新潟県立高校を糾弾した関連文書の公開範囲の拡大 | 2025年3月21日 審査請求人意見書提出 | 2025年5月29日 9:30 口頭意見陳述(非公開) |
新潟地方裁判所 2024年1月24日 提訴 令和6年(ワ)第23号 原告 解放同盟新潟県連 外3名 関連文書 | 2025年4月30日 閲覧等制限決定取消申立-抗告却下 2025年5月4日 閲覧等制限決定取消申立-許可抗告・特別抗告 2025年5月9日 被告側書面提出 | 2025年6月25日 14:00 新潟地方裁判所 1号法廷 第2回口頭弁論 被告はリモート参加予定 |
横浜地方裁判所 2024年4月6日 提訴 令和6年(行ウ)第19号 被告 川崎市 関連文書 | 2025年3月24日 10:30 横浜地方裁判所 502号法廷 第4回口頭弁論 | 2025年5月28日 13:15 横浜地方裁判所 502号法廷 判決 |
審査請求-相模原市 2024年12月9日 審査請求 目的:横浜国際人権センターの財務状況を開示させること 関連文書 | 2025年5月19日 請求人反論書提出 | 未定(2025年6月中?) 口頭意見陳述 |
審査請求-下妻市 2024年12月13日 審査請求 目的:部落解放愛する会の機関誌『荊棘』のコピーを認めること | 2025年3月28日 口頭意見陳述 2025年4月30日 下妻市情報公開・個人情報保護審査会に諮問通知 | 未定 |
審査請求-兵庫県 2025年1月24日 審査請求 目的:準学校法人神戸中華同文学校及び準学校法人兵庫朝鮮学園の状況調査票を公開させること | 未定 |