激安テレビの代名詞的メーカー、船井電機株式会社(大東市)がこのところ慌ただしい。今年3~4月にかけて取締役3名が辞任。すると5月、エレクトロニクス産業とは全く無縁であろう5名が取締役に就任した。なんとそのうち3名が自由同和会関係者で、しかもあの四条畷市のトトロ館主一派というから驚きだ。
FACTA、アクセスジャーナルが 報じる
格安テレビ、ビデオデッキといえば「FUNAI」。FUNAIといえば「ディスカウントストアで売られるテレビ」「学生時代に一人暮らし用で使っていたテレビ」といったイメージを持つ世代もいることだろう。その船井電機に異変が起きた。
この一報は『月刊FACTA』(9月号)『どすぐろい勢力に侵食された「船井電機」』、またジャーナリスト・山岡俊介氏の「アクセスジャーナルch」でレポートされている。FACTA、山岡氏のアクセスジャーナルはいずれも企業の闇、不祥事ネタには強い。
そんな両メディアが船井電機内外の怪しい動きをレポートした。
ここで同社の歩みについてふれておこう。安価なテレビブランド「FUNAI」として国内から北米、アジア市場でも知名度を誇ったが、新興メーカーに押されOEM中心に事業転換。2017年に大手家電量販店・ヤマダホールディングス(当時、山田電機)と提携し、ヤマダ限定テレビを売り出したが業績は好転せず。2021年にビジネス本などを手がける秀和システムの傘下に入った。
昨年4月に持ち株会社「船井電機・ホールディングス」に移行し、同時に美容脱毛サロン「ミュゼプラチナムを買収。有名タレントを起用したCMなど「ミュゼ」のブランド力はあったのだが、資金繰り悪化と低迷を繰り返したびたび経営者が変わった。
船井電機にすればミュゼ買収で新分野の開拓を狙ったのだろう。しかしとんだ“地雷”を踏んだようだ。
『月刊FACTA』(9月号)によると今年5月、ネット広告代理店「サイバーバズ」が22億円のアフィリエイト広告代金が回収不能になったと発表。それがミュゼプラチナムだ。このため船井電機は広告代金の支払い期日直前にミュゼプラチナムの経営権を放棄することになる。ミュゼプラチナム本体は「MIT」に社名変更したが、FACTAは広告代金を逃れる動きと指摘した。
複雑な相関図の 中心に 自由同和会関係者がいた!
バブル時代を思わすような企業転がしである。しかも非常に複雑な相関図だ。今年4月1日、香港企業の割引クーポンを国内で展開するKOC・JAPAN(株)ががミュゼプラチナムの100%親会社「ミュゼプラチナシステムズ合同会社」を買収。
ここで「TNCアセットマネジメント」(東京都台東区、以下TNC)なる会社が登場する。同社は美容業界や家電業界と無縁の会社。【東京都登録】貸金業者一覧にその名がある。
同社からミュゼプラチナシステムズ合同会社の代表社員についた。FACTAによるとTNC元取締役がKOC・JAPANに出資していたという。
不思議なことにTNCの役員・竹下考、三戸徳紀両氏が今年5月に船井電機の役員に就任していた。両氏の経歴を見る限り家電メーカーの役員になる背景が見つからない。
FACA記事を見たという自由同和会関係者はこう打ち明けるのだ。
「確かにこの竹下と三戸の両人はウチ(自由同和会大阪府本部にいたよ。中央支部の支部長が竹下、副支部長が三戸。もう随分前に除名されたけどね」
竹下、三戸両氏は堺市内で不動産業などを行っていた。自由同和会でも活動していたというのだが、それが除名となり、そして貸金業、さらには船井電機役員という奇妙な経歴である。
自由同和会を除名されたというその理由がまた興味深い。
「アンタのところの記事出てきたトトロの館の主、山崎晃平(現在、服役中)の一派なんだよ。山崎が支部のっとりを画策したのに竹下、三戸も便乗したので除名処分になった」(前出関係者)
山崎晃平氏は自由同和会大阪府四条畷支部長、兵庫県本部元会長を歴任した。
「金が出えへんかったら分かってるんやろな。差別するんか」
同県本部前会長の時代、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」制度を利用しようと公庫の支店で職員を脅した疑いで逮捕された。竹下、三戸両氏はその一派で除名されたという。
山崎氏の行動はとても“カタギ”とは思えない。また竹下、三戸両氏は貸金業者の役員でそれがミュゼプラチナムの企業転がしにも関わっている。一般的な実業家、経営者というよりも“乗っ取り屋”のイメージに近い。
創業者、船井哲良はミシン問屋から一代で船井電機を起こし海外進出まで果たし安価なテレビ、ビデオデッキを生産してきた。船井電機は日本の家電メーカーの栄枯盛衰史そのものだ。そして今、怪しげな企業、怪人物たちに食い物にされようとしている。