今年の3月、埼玉県のいわゆる埼葛地区の12市町村が毎年開催している「埼葛人権を考えるつどい」で約1600万円の使途不明金があったとして、久喜市が「つどい」の主催団体である「人権啓発推進埼葛実行委員会」から脱退したことが報道された。問題視されたのは使途不明金だけではない。報道によれば昨年9月頃に主催団体のメンバーから市職員へのハラスメントについて市議に相談があったという。
久喜市は3月18日付けで「人権施策における民間団体への対応について」という文書をウェブサイトで公表した。その内容は「あらゆる民間団体及びその上部団体が主催又は関係する話し合い、研修会、総会等一切の事業に対応しない」というものである。
渦中のメンバーとは、部落解放同盟埼玉県連合会の幹部である。報道は市の公式見解に沿ったものであったが、筆者はさらなる背景を現地取材した。
これは、久喜市が公開した「埼葛人権を考えるつどい」の参加負担金の久喜市に対する請求書である。これが12市町分であるから、年間270万円が実行委員会に支出されていたことになる。
請求書には会の元代表者の名前が書かれている。まずは元代表者に事情を聞いた。
「負担金の会計については私は知りません。実行委員会の実務は久喜市の職員がやっていました。私は毎回会合には出席していましたが、挨拶をする程度のことです。今はもう代表をやめています、本当は2, 3年前から代表をやめたいと言っていたのですが…」
実際、会長は名前だけのものだった。元会長によれば、部落解放に関係するイベントだが、埼葛地区のどこに部落があるのかさえ知らないそうだ。代表をやめようとしていたのは、今回の使途不明金問題とは無関係で、本職のため時間が取れなくなる等の事情である。
ハラスメントについて元会長は、「あの人じゃないかというのはありますが、確証が持てないことを私からは言えません」と言葉を濁した。少なくとも、自身は僧侶でもあるから、ハラスメントなんてするわけがないということである。
元代表の証言を裏付けるように、久喜市が公開した文書には元代表から別の人物に負担金の受け取りを委任する文書が含まれている。
久喜市が公開した文書では委任先の氏名が黒塗りにされており、市によれば個人情報なので公開できないということであった。しかし、委任先の人物が実質的な会計管理者である可能性が高い。
筆者は久喜市を訪れ、ある解放同盟関係者に事情を聞いてみたが、誰が会計をしていたのか知らない、自分は関与していないと言うのみだった。
しかし、調査するうちに、委任先となっていた人物が判明した。部落解放同盟埼玉県連合会副委員長のM氏である。なお、M氏は部落在住ではあるが、「部落出身」ではない。
最初から久喜市は 解放同盟排除ありきだった?
今回の使途不明金についてM氏に事情を聞くことが出来た。なお、当地に来て住民に話すと、筆者が来たことが瞬く間にM氏に連絡されていた。
まず、負担金について私的に使ったことはないという。
「使途不明金って、不明なわけじゃないよ。みんな運営に使ってた。役所からあなたに一任しますよって預かっただけです。突然、10年前の分から説明しろっと言われても無理でしょ」
ただ、領収書を保管しておらず、帳簿も付けていなかったことは認めた。
「私的に使うことはなくて、団体の口座に入れて、それを現金として引き出して、つどいの会場を担当している役所の職員に渡して、物品を授産所(障害者の就労施設)から買ったり、出席者に弁当を出したりしてた。つどいの実務は役所の職員がやってたんだから、領収書はもらわないし、帳簿もつけてなかったのは前々から市は知っていることですよ。私を排除したいから、今になってそのことを持ち出してきたの」
ただ、久喜市が公開した文書を見ると、上記のような請求書や明細が含まれている。各市町の負担金約270万円のうち、100万円が会場を担当する自治体に渡されており、上記の支出はその100万円からのものだ。M氏に渡された残りの約170万円が、ずさんな会計処理をされていたということになる。それが10年分で、ほとんどの使途が分からないということなのだ。
報道されている、ハラスメントについてはどうなのか?
「そりゃ、ちょっと強い言い方をして口が荒かったら、その部分だけ切り取られてパワハラと言われてしまうでしょう。それについて役所から一方的に書留で書面が来て、期限を指定して答えろと言われるわけですよ。私が悪い部分については、悪かったって書いてますよ」
ただ、取材の最中にM氏が電話で呼びつけたのか、近くの隣保館の館長(市職員)が飛んできた。言いにくいことではあるが、ハラスメントというのは市側にそのように認識される状況があったのは事実ではないかと感じた。
「Mは解放同盟だから職員は相手にするな。相手にしたら処罰すると、市はそういうことをやってるの。2年くらい前からだったかなあ、私には市から会合の案内が来なくなっていた。もう解放同盟を相手にしないならそれでいいけど、それでも私は久喜市民だから、私個人まで相手をしないというのはないでしょう」
つまり、遅くとも2年以上前からM氏がハラスメントをしているとして市から問題視されており、今年になってついに、ずさん会計を理由に久喜市は解放同盟との関係を断つことを決めたのだ。
改めて読むと、市側の怒りが伝わる文章である。しかし、同様の対応をしたのは久喜市が初めてではなく、埼玉県では2011年に本庄市と周辺自治体が同じ対応をしたことがある。その前例に倣ったことは間違いないだろう。
久喜市の文書には「民間団体及びその上部団体」と書かれているが、これがどの団体のことを指すのかは、はっきりしている。要は部落解放同盟の久喜支部、埼葛郡市協議会(埼葛地区を管轄する上部団体)、埼玉県連合会(埼玉県全体を管轄する上部団体)のことである。
ずさんな会計やハラスメントについて、改めて久喜市に問い合わせると、確かに去年になって問題になったわけではなく、それよりずっと前から問題視されていたという。2年以上前から久喜市がM氏と距離を置くようになったというM氏の証言については信憑性が高いだろう。
ただ、使途不明金については、領収書や帳簿がないのは仕方がないにしても、M氏は銀行口座の取引明細さえ提出しない状態なのだという。
なお、久喜市以外の11自治体は「埼葛人権を考えるつどい」を今後も開催する姿勢であるという。今回の久喜市脱退を期に、ずさんな会計は改められるのか、人権イベントにふさわしくない「ハラスメント」が一掃されるかどうかも注目されるべきだろう。
しかし、もはや「部落差別」の存在自体が疑われる状況で、そもそも行事の存在意義自体があるのかどうか、問われるべきだろう。構成団体には部落解放同盟以外に「人権」を冠する団体の名前があるが、実質的には同和施策のための団体である。
筆者がM氏に「ここも言われなければ部落とは分からないし、もう人権イベントの意味はないのでは?」と言うと、このようなやりとりがあった。
「環境は整備されたけど、まだ気持ちの中では残っているから、こういった交流は続けないといけない。もちろん、永久に続けるものではないから、終わりというのはあるけれども」
ということは、まさに今、久喜市において「終わり」が来たということではないのだろうか。筆者がそう言うと、M氏は「いつ終わらせるなんて、自分が言えることじゃあないでしょう」と繰り返すのみだった。
市から関係を絶たれ、実質的に話し合いができないことについてM氏は不満そうであった。
しかし、ご承知の通り部落問題については「知るな」「言うな」というのが昨今の現状である。市の職員は自分の自治体のことはともかく、周辺まで含めて部落の場所を把握しているとは考えづらいし、知っていたとしても、議論の中で「個別具体的な例」を提示すると、どうなるかは目に見えている。これで話し合いなど無理だろう。
前提知識と発言の自由が対等にあれば「民間団体」との議論は十分にできるはずだが、現状では遮断という対応になるのも仕方がないことだ。
水島(水嶋)輝彦ですか? 片岡だったら示現舎の取材に絶対応じないことでしょう。埼玉県連も一枚岩ではなさそうですね。
この期に及んでなお解放同盟員に取材を続ける示現舎は「報道勇者」の名に値しますが、それでも実名表記には消極的になったんでしょうか?
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確かにここまで突っ込んで取材するのは示現舎だけですね。
他社のこの手の取材は解同側の言ってることをそのまま流すだけであまり意味を感じない。
先日の富田林のニュースでもスタジオのアナウンサーも普段は饒舌なコメンテーターも全く語らないし、触れようともしない。
まぁマスコミも下手にご希望に沿わないコメントでもして揚げ足取られても面倒だろうからね。
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水島さん? 私にはさっぱり分かりません
名前を出さないのは情です
部落開放運動は、元祖「公金(税金)チュウチュウ」
埼葛人権を考えるつどいのイベントで、「阿波踊り」や「よさこい」、「南京玉すだれ」、「三味線・民謡」をすることが「人権意識の高揚」につながるなら、もうなんでもアリですね。
そもそも同和団体の「温泉旅行」やら「国葬反対デモ」に公金がつぎ込まれるくらいだから、まだいくらでもあるでしょう。
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住民としては、税金を払うのが馬鹿らしくなってきますよね、、使途不明でうやむらにせず、返還してもらいたいです。
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