大阪府大東市の市立深野園（ふこのえん）住宅の所在地は同和地区ではないが、一部の棟は、野崎同和地区向けであり、事実上の同和住宅となっている。その深野園住宅の敷地の一部が、部落解放同盟全国連合会（全国連）の滝岡広治野崎支部長によって勝手に有料の駐車場にされていたことは、全国連の公開質問状に答える形で筆者が触れてきた。

しかし、深野園住宅が関わる問題はこれに留まらず、住居用であるはずの市営住宅の一室が、全日本同和会関係者によって改修され、堂々とメダカ屋が開業（現在は閉店）されていたことが分かった。

全国連支部長による 市有地の不正利用とは

深野園住宅の駐車場問題とは何か。知らない方のために改めて説明すると、市営住宅の敷地の一部に全国連支部長が勝手に駐車区画を作り、そこに全国連支部長の知人のものと思われる車が停まっており、全国連支部長は駐車料金も取っていたのではないかという疑惑である。

なお、昨年の夏に筆者が現地を訪れたところ、取ってつけたような駐車場番号が新設されていた。大東市によれば、不適切な敷地の利用があったので、市が管理する駐車場区画を作って、不適切な状態を解消したとのことである。やった者勝ちの解決方法に見えなくもないが、いずれにしても、おおむね言われていたようなことがあったのを市が認めた形である。

深野園住宅で、ある住民に聞いたところでは、別の入居者組合の話なのでよく分からないという。深野園住宅ではAからD棟までがいわゆる「一般」。EからG棟が「同和棟」であり自治組織が別になっている。深野園住宅では疑惑の駐車スペース以外にも、白線が引かれているものの、障害物が置かれて駐車できない場所がいくつもあった。住民によれば、十数年前は「同和」「一般」関係なく、勝手に駐車スペースを作る者がいたが、市によって禁止されたのだという。それでも、なぜか同様のことを未だにやり続ける者がいることから、住民から市に苦情が出ていたという。

なお、全国連は「公開質問状」で、この野崎支部の件は特に否定はしておらず、回答を避けている。

「本気（マジ）メダカ」って何だ？

そして、最近になって、さらに信じられないようなことが話題になっていた。今度は、深野園住宅の一室で堂々とペットショプを開業している者がいるというのである。

グーグルマップで深野園住宅を見ると、たしかに堂々と店舗が登録されていた。

店の名前は「改良メダカ 本気（マジ）メダカ」。インスタグラムアカウントまであり、メダカが泳ぐ水槽の写真が掲載され、事前予約すれば来店もできるとコメント欄でやり取りがされていた。

住所は間違いなく深野園住宅のもので、部屋番号まで書かれており、思った通り「同和棟」であるE棟のものである。

しかし、4月に入ってからはグーグルマップの店舗情報は「閉業」となっており、フェイスブックでは引っ越し作業をしている旨が書かれている。

現在は引越し先と思われる京都府京丹後市の店舗がグーグルマップに登録されていたので、そこに書かれた電話番号にかけて事情を聞いてみた。すると、「店長」だという男性が電話に出てきた。男性によると、自分はオーナーに雇われているだけなので、事情は知らない。大東市に店舗があったのは事実だが、あそこは事務所でメダカは置いていなかったというのである。

しかし、大東市の担当者に聞いてみると、深野園住宅の一室の不正利用があったことを認めた上で、次のように話した。

「ペットショップが開業していることは、うちの職員がグーグルマップでたまたま見つけて発覚しました。もちろん、あの住宅は住宅用で、店舗の営業は認めていません。そこで、営業行為をやめて原状復帰するように文書で求めました。まだ全部は終わってないですが、先日、水槽などの機材を部屋から運び出したのを、うちの職員が見てます」

なお、担当者は、私がこの件をどこから知ったのか、気にかけている様子であった。どこからもなにも、あそこまで堂々と営業していたら、深野園住宅を気にかけている人が誰も気が付かないということがまずあり得ないと思うのだが。

この件の一端は、実は昨年10月の時点で市議会でも話題になっている。大阪維新の会の中村晴樹市議によって、深野園住宅の一室が市職員による口頭の了承のみで4Kから2DKに大幅改造され、しかも本来は入居者が負担すべき費用の少なくとも一部を市が負担したことが指摘されている。会議録によれば入居者と工事業者が懇意の仲であったことが分かる。

地元事情通によれば、この工事業者は全日本同和会幹部が経営するものであり、そしてこの改修された一室こそが「本気メダカ」が開店した部屋なのだという。

経緯を見れば、最初から店舗を営業する計画で部屋の改造をしたと考えるのが自然で、しかもそこに公金まで使われたというのであれば、文字通りやりたい放題である。

大東市は、原状復帰を求めており、退去までは求めていないとのことであるが、そもそも市営住宅は低所得者向けのものであって、メダカ屋を開業できるほどの余裕のある人が市営住宅に入居しているというのが、おかしな話である。

同和なら 何をやってもよい？ モラルが崩壊した大東市

2000年代、大阪府内では同和事業に関係する不祥事が相次いでいたが、大東市もその例に漏れず、2007年に「ヒューネットだいとう事件」というのがあった。これは全日本同和会系の人権教育啓発推進協議会の職員を市が雇用するという形で、勤務実態のない全日本同和会の役員に公金を支出していたものである。しかし、共産党の松久芳樹氏から住民訴訟を起こされ、市が敗訴した。その結果、当時の岡本日出士市長と乘本良一収入役と、野崎地区の実質的な全日本同和会のトップである中野由雄氏が合わせて約2500万円を市に返還することになった。

ところが昨年「訴訟清算手続きにミス　人権政策監を更迭　大阪・大東市」というニュースで、大東市が市議会の議決をせずに、この裁判に関係する債権を放棄してしまっていたことが報道された。実際は岡本氏と乘本氏に対する債権は、ずっと前に市議会の議決で放棄され、中野氏が全ての債権を負う形になっていた。2019年に中野氏が死去し、それに乗じてひっそりと担当部署である人権室が債権放棄したもので、中野氏が逃げ切った形である。

結果的には、大東市では同和関係で不祥事を起こして、たとえ裁判で負けたとしても逃げ切れるという実績が出来てしまっている。そうであれば、全国連や全日本同和会が関係する不正が当たり前のように横行するのも、納得できる話だ。

往年のように、共産党がこの種の不祥事を追及する様子はない。仮に追及したとしても、裁判の結果さえも無視される状況。何よりも同和が関係する事柄はメディアがほとんど報じず、報じたとしても地名や団体名の固有名詞が出されることはない。

大東市の同和行政は、もはやモラルが崩壊した状態と言うほか無い。