【南海の 角栄】衆院小選挙区「10増10減」で 二階王国の 終焉!?

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By 三品純

二階前幹事長が激怒! 1月10日、県内選出の国会議員を集めた和歌山放送ラジオの新春座談会で二階氏は衆院小選挙区「10増10減」に不快感を示した。「一票の格差」解消を理由に導入されるアダムズ方式によって浮上した「10増10減」。和歌山県選挙区は定数3から1減する見通しだ。県内の議席が減るということは二階氏に近い議員、また自身の後継者が不利になるのは明らか。幹事長職を辞したとはいえ存在感、影響力を残すものの、さすがに抵抗は難しい。「1減」によって“ 二階王国”も終焉の日が訪れる…。

和歌山放送 ラジオ企画・新春座談会で 二階氏が吠えた!

明日のふるさとを考える青年の会HPより。若き日の二階氏(右)と故・田中角栄元首相(左)。

「二階なのに5階」

歴代最長5年の幹事長職にあった二階氏。要職から離れたとはいえ「自民党国土強靭化推進本部長」という肩書きを持つ。このため幹事長辞任後も自民党本部5階の国土強靭化推進本部長室へ陳情に訪れる人は後を絶たない。「二階なのに5階」とはその光景を皮肉ったものだ。党内には二階派、反二階が存在するにしても並の大臣クラスより圧倒的な存在感を放つのはいうまでもない。

国土強靭、陳情、こうした点からしても政治の師、田中角栄元首相を重ねてみる向きもあるだろう。党内の大物、二階氏は「10増10減」におかんむりである。和歌山放送ラジオの恒例企画、1月10日の『和歌山県選出国会議員座談会』に出演した二階氏は定数削減について話を向けられると

「こんなこと許されてなるかってことですよね。原因はどこにあるか。政府の方針で間違いがある。あればどこを直せばいいか議論を横においてすっ飛ばして定数の話をするのは地方にとって迷惑な話」

と二階節で苦言した。座談会での見解はマスコミ各社が報じたが、二階氏の注目度を示している。

二階氏が定数減を批判するのは自身の座右でもある「国土矜持化」と「国土の均衡ある発展」を意識したもの。人口の少ない地方でも従来通りの議員を配置しようとの考えだ。もちろん政治信念から定数減反対の意思もあるだろうが、それ以上に「選挙対策」というのが地元政界関係者の見方である。

岸本周平衆議院議員のFacebookより。座談会の様子。司会左に岸本氏、左端に二階氏。

和歌山に 安倍派‐二階派の縮図がある

党内では安倍派、また岸田首相からも距離を置かれた二階氏だが、それでも和歌山県内では「県連会長」として影響力を有す。

それが鮮明になったのが副知事職の人事案だったと県関係者は話す。

「昨年、和歌山県・仁坂知事は安倍元首相のブレーンで経済学者で元内閣参与の本田悦朗氏(和歌山県出身)を副知事に起用する意向でした。ところが自民党県連の反対にあい断念。もちろん二階氏の意向があってのことです」

安倍元首相の側近を許すはずがないということだ。このため同県連関係者によれば

「仁坂氏周辺が本田氏を連れて自民党県連役員に挨拶に出向きました。石田真敏会長代行(衆議院議員)からは“県連全体で決めることだから ”とやんわり断られ、二階さんに至っては門前払いでした」

と取り付く島もない様子。仁坂知事はコロナ対策で評価されたが、さすがにドンの意向は押し切れない。

そして四期という多選であり、高齢である。

「コロナ対策は仁坂知事の功績というよりも正確には和歌山県福祉健康部・野尻孝子技監の手腕ですが(笑)。しかし株をあげたのは事実。そこで本田氏を副知事に起用し、知事の後釜にするつもりでした」(地元記者)

知事候補にも実は和歌山県独自の論理がある。

「実は自民党県連、というよりも二階氏は岸本氏を知事候補に考えています。もともと岸田氏は旧民進党分裂後、二階派入りが囁かれていたほど二階氏とウマが合うんですよ」(前出地元記者)

ライバル政党の議員でも取り込む。この辺りは和歌山県の独自性であり、また二階王国と呼ばれる由縁だ。存在が大きいがためにその影は他県に及ぶことも。

「三重県四区の三ツ矢憲生前衆議院議員(岸田派・三重四区)は暴力団関係企業から献金を受けたスキャンダルがありました。この関係企業の経営者は地元有力者で二階氏と犬猿の仲。四区を継いだ鈴木英敬衆議院議員(安倍派)も同社から過去、資金提供を受けた過去があります。だから三重四区は二階さんと距離がある議員が続くでしょ」(三重県内の自治体議員)

後継者、側近議員たちに 道筋を残せるか

自治会長と握手する二階氏。同和関係の大きな事件が相次いで連合自治会長事件も記憶から遠くなってきた。

政界、行政、経済界に影響力がある二階氏。この地位を築くにはやはり面倒見の良さがあるわけだが、残念なことに側近たちの実力不足は否めない。子飼いの議員の筆頭、門博文氏は先の衆院選で落選。在職中は選挙区で当選できず、鶴保庸介参議院議員は東大卒エリート議員だが、なにしろ不祥事が多い。参院から衆院への鞍替えができれば本人も二階氏も万々歳といったところだが、鞍替えという点ではライバルの世耕弘成参議院議員も控える。

そこに和歌山県の定数減だからドンも苦慮しているというわけだ。

まるで玉突きのようなポストの押し合いなのだが、ここにきて和歌山政界で動向が注目されているのが紀の川市。

「以前から体調を崩された紀の川市・中村愼司市長が今月13日に死去しました。中村市長は二階氏の朋友だから県政にも発言力があった人物。中村市長が健在のうちに勇退を勧めて、紀の川市長選に二階氏側近を担ぎ出す計画も囁かれていました」(前出地元記者)

また首長選といえば和歌山市長職についても降って湧いた話がある。

「和歌山市・尾花正啓市長(二期)は8月に任期満了を迎えますが、水管橋崩落事故(昨年10月)の大規模断水で批判を浴び、支援者や家族らが“ もうしんどい”と三期目の出馬に難色を示しているといいます。芦原地区連合自治会長事件の対応? その影響もないとはいえません」(同前)

となると紀の川市長、和歌山市長選に門前衆議院議員という目論見もあるというが、関係諸氏からは「二階先生の力をもってしても荷が重すぎる」というのが専らの評価。

いずれかのポストに門氏を送り出せれば二階氏の威光はまだ健在ということになろうが―――。

とはいえ二階氏自身の後継者もまだ定まらない。さすがの二階氏も苦しい状況なのだ。そこに10増10減が追い打ちをかける。和歌山衆院選挙区の一減対策は政界のドン、二階氏にとって政治家人生最後の大勝負になりそうだ。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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