「士農工商えた非人」で糾弾されたサイゾー

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By 三品純

昨年『サイゾー8月号』(株式会社サイゾー)の記事に部落差別用語があったとして、部落解放同盟から糾弾を受けていた。サイゾーは、「体制の裏をかく」をモットーにしリベラルな論調の月刊誌だ。過去、部落解放同盟の幹部のインタビューなど運動体側の主張に沿った記事も多く掲載してきた。ところが糾弾されたのは、意外にも同和関係の記事ではなく“異能のAV監督”こと安達かおる監督作品のPR記事(広告)中の記述。思わぬところで“落とし穴”があったわけだ。

昔でいえば『士農工商えた非人』の最底辺

『解放新聞』(2016年12月12日)によると問題になったのは、安達氏の連載記事「鬼金言」。記事は、地の文とカギカッコで同氏のコメントが入るコラム風の「記事広告」だ。文中、AV業者がワンルームマンションを借りるのも困難と訴え「今はネットで検索できるから北海道の不動産屋に行こうが沖縄の不動産屋に行こうが同じなんだよね。ホント人権なんとかに訴えたいくらいだよ。結局、僕は職業カーストの、昔で言えば「士農工商えた非人」の最底辺なんですよ。AV業界にも職業カーストは厳然としてあって、その中でもスカトロなんて撮ってるのは最底辺だしね」と語っている。

これに対して部落解放同盟は、11月5日、中央本部で西島藤彦書記長らが、サイゾー社長、編集長、広告部長、安達氏と面談。同社から反省文を提出させた上で、差別問題を取り上げた企画や差別問題と向き合うことを要請。そして「監督自身の発言全体の内容が、結果として差別を肯定する表現に結びついたことへの反省を求めた」という。

こうした糾弾、確認会といった行為は何ら強制力がない上、「えた非人」といったところで特定個人を中傷したわけでもない。そもそも解放同盟員がみな部落民でもなければ、その代表者ですらない。とかく“タブー破り”といった言葉が好きなサイゾーだけに“NO”という覚悟も欲しかったところ。しかしこの一件、単なる「糾弾」という以上に、含むところが多いような気がする。

糾弾学習会は最高の教育の場にするべき!?

サイゾーは、本誌、WEBサイトに限らず「タブー」という言葉が散見される。そして定期的に同和問題も特集される。同和関係の著名人が関わる記事では、上原善広氏と角岡伸彦氏の対談記事「被差別部落出身者が本音で対論 部落問題は今でもタブーなのか」(2009年)、「お笑いタレント・ビートたけし×部落解放同盟委員長・組坂繁之〈差別〉と〈笑い〉と〈権力〉との闘い」(2010年)など。それ以外でも部落差別を扱った書籍の書評、関連人物へのインタビュー記事は少なくない。

ただ独自取材、独自情報といった性質の記事ではなく“部落業界人”への“ご意見お伺い”の領域を出ない。それが最も如実に表れたのが「部落解放同盟・組坂繁之委員長に聞く差別問題と解放運動の本質がわかる本」(2010年8月号)というインタビュー記事だ。一部を拾ってみよう。

「最近のマスコミ関係者の間では、“糾弾活動は怖い”“解放同盟は面倒臭い”というイメージだけが独り歩きしているように思うのですが」

この問いに対して組坂委員長はこう答えている。

「糾弾学習会が恐怖の場で終わってはいけない。最高の教育の場にすることが、本当の意味での糾弾学習会です。以前は、大勢で囲まれて批判されるという現象だけをとらえて、恐怖と感じた人もいるかもしれませんが、今は上杉委員長時代に定めた糾弾闘争の方針を受けて、時間も場所も人数もきちっと決めて、必要であればマスコミに入ってもらっても結構ですという、社会性、公開性のある場になっているはずです」

近年、「糾弾学習会」という言葉は、ほとんど使用されず、機関紙などでは確認会、あるいは「話し合い」といった文言が使われる。近年は、激しい罵声が飛び交う糾弾というよりも、反省文を読み上げさせて終了するといった具合に形骸化した側面もある。ところが実際のところ糾弾は、それ自体が目的というよりも、その後処理にある。糾弾された企業は「同和・人権問題企業連絡会」(同企連)の入会、機関紙の購読、あるいは運動体側の講師を招いた研修会・学習会などの開催が求められる。このことが「最高の教育」であるか判断に苦しむところではある。

過去、本誌は様々な糾弾事件を取材してきたが、面白いもので、中央本部と地元の都道府県連が糾弾を求めても、地元の支部が拒否するケースなど決して一枚岩でもない。土地差別事件と言われた事案では、なんとその被害者であろう所有者が「糾弾」を知らないというケースもあった。なにが起きるのか分からない。それが「糾弾学習会」なのだ。

そして従来は、解放同盟のシンパ、賛同団体、賛同者であったとしても糾弾される時はされるものなのだ。サイゾーのような一般誌がこれだけ組坂委員長の発言を取り上げることは珍しい。こうした過去の経緯からすれば“お目こぼし”があっても良さそうなものだが…。「解放同盟は面倒臭い」ということは、イメージだけだったのか? まさに身をもって「学習」したわけだ。サイゾーにとってある意味「最高の教育の場」になったことだろう。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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「士農工商えた非人」で糾弾されたサイゾー」への6件のフィードバック

    1. 匿名

      何処の村の何と言う部落の話かもわからない匿名の金さんの創作ですかね。
      解放同盟が糾弾しないのは、部落名が特定されていないし、検証しようがないからかではないでしょうか。

      返信
  1. うえすぎ

    どこで読んだ話か、うろ覚えで申し訳ありませんが、「士農工商」というのは昔の中国の言葉で、役人・農民・工員・商人と、様々な階層の人を示すもので、「老若男女」みたいな意味合いだったとか。ところが明治になって、ある学者が「これは江戸時代の日本の社会的序列を示す語だ」と言いだして、学校でもそう教えるようになった。しかし近年の研究で疑問が出され、今は学校でも、士農工商をかつての解釈では教えなくなっているー。
    「士農工商何とか」と発言すると、今でも某団体の糾弾の対象になるようです。言葉の本来の意味や、発言者の思いを研究・検討するつもりはなさそうに感じます。

    返信
  2. うんじゃらげ

    解放同盟の愚かな「糾弾」を擁護する気は全くありません。しかし「老若男女」の語も儒教の価値観では尊卑の序列になっているでしょう。日本語だと「東大早慶」もそうですね。慶應では「早慶」に反発して「慶早」と言うこともあります。

    名詞を並べる時は尊から卑の順番にするのが一般的ではないでしょうか。

    返信
    1. うえすぎ

      ご教示ありがとうございます。

      様々な表現に込められた意味合いについて、
      うんじゃらげ様のご存知のことを、本欄ででも
      ご紹介いただければ幸いです。

      よろしくお願いいたします。

      返信
    2. 匿名

      尊卑って、ちょっと賤民史観に支配され過ぎてませんか?明治以前は女性も大切にされてた様ですよ。

      返信

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