津市・前葉市長が出席する5・24条委員会の直前某日のこと。三重県議会、記者クラブに県と田邊被告との関係を告発した怪文書が投げ込まれた。文書は青木謙順県議(現議長)の関与と田邊被告親族について指摘したもの。三重県と田邊被告との関係をめぐっては安濃川堤防の整備で一部を指摘したが、具体的な関係人物が取沙汰されたのは初めてだ。そして怪文書をもとに周辺を探ってみると「バスケットボール」と「敬和地区人脈」が浮かび上がる。特にバスケットボールについては田邊被告が増長した遠因かもしれない。(タイトル画像は2019年9月23日の津市バスケットカーニバルの大会式典。右から前葉市長、青木県議、田矢市議)
3×3バスケの大会に市長訪問の価値はあるか?
著者も傍聴したが24日の百条委員会で前葉市長は田邊被告の一連の問題について「知らなかった」の一点張りだった。果たして「知らない」というのは本当だろうか。
かねてから前葉市長の政治手腕は「有能」という声がよく聞かれた。もとは浅野史郎元宮城県知事の側近。首長経験がある元市議によれば「自治体トップは職員に丸投げ型と自身も現場を見たいという二種類がいます。前葉さんは後者のタイプでしょう。官僚上がりで優秀だけど職員からみれば面倒かもしれないですね」と印象を語った。あるいは津市幹部の場合、盆野副市長については「(職員へのパワハラがひどくて)あんな人は見たことがない」という証言は随所で聞かれた。
前葉市長や市幹部の性質は、裏返せば日常的に現場と近い立場ではなかったかと想像する。もちろん市幹部が現場を見ること自体は悪いことではない。ただ【三重県四日市】高額滞納事件の 住民は 同和で 右翼だった!?でも指摘したが同市も津市も特定の市民に幹部が直接、応対するという傾向がみられた。こうした背景を踏まえると、仮に補助金等の細部まで市長が把握できなかったとしても“ 面倒な自治会長”の存在は要注意人物として報告されていたはず。
本事件のきっかけになった2014年、津市教育長室で行われたS氏糾弾も市長の耳に伝わっていたのではないか。その裏付けとして挙げたいのが田邊被告の子息との記念写真だ。2015年3月31日に田邊被告の子息、大輝氏が市役所を訪問した。現在、同氏は市内の中学校に臨時講師として勤務している。
大輝氏はこの年4月4日から神戸市で開催される三人制バスケットボールの大会「3×3TOURNAMENT.EXE2015City.3KOBE」に参加。その前に“ 壮行会”がてら市庁を訪れ前葉市長と記念写真を撮影していた。
市関係者の話。
「オリンピックや高校野球の甲子園で知事や自治体首長を訪問するならまだ分かりますよ。この3人制バスケの大会にその価値があるとは思えません。しかも年代を見てください。2015年は教育長室での糾弾(S氏糾弾)の翌年で勢力を拡大してきた頃です。“ あの自治会長の息子だから”と忖度があったのは間違いないでしょう」
津市はバスケットボールに力を入れているが、それにしても市長と記念撮影するほどの価値はないというのだ。田邊被告が市側に要求して実現したものだろう。もちろん協議自体を軽んじている訳ではない。要は市長が対応する案件としては過分すぎるというのだ。
“田邊ジュニア ”とのツーショット写真を含めて今後、前葉市長がいつまで「知らない」を貫き通せるのか。ともかくバスケットボールを介して前葉市長と田邊家に接点があったのはお分かり頂けるだろう。さらに田邊被告と県政・市政の関係を指摘する上でバスケットボールは重要な要素になるのだ。その話に移るにはまず一枚の怪文書を示さなければならない。
JAZZ閉店日にバスケ関係者の集まり その場に青木県議
この怪文書によって田邊被告と青木謙順県議(現三重県議会議長)の関係が取沙汰された。これまで弊社が取材する中で青木県議の名前は浮上せず関係人物としては初耳。怪文書は相生町事件を批判するというよりも議長選絡みで青木県議を追い落としたい意図を感じた。この文書を取り巻く時系列は以下の通り。
津市議会が自治会長事件で紛糾している最中、県議会では正副議長選を控えていた。13、14日に会派の代表者会議で立候補者の決定、17日に所信表明、18日に本会議で選挙。その最中、弊社にも上記の怪文書が送付されてきた。地元記者によれば怪文書は13日の夕方には県議会、県政記者クラブに出回ったという。
さらに複数の情報提供者から弊社に二枚の写真も送られてきた。一枚は田邊被告が花束を受け取る様子。左に田邊被告がおりその隣にY嬢。彼女は市職員の山口兼史氏の交際相手である。右の中央にいる男性が田邊大輝氏だ。二枚目の写真は田邊被告と青木県議がガッチリ握手をしている。情報提供者によると場所は田邊被告らが経営したJAZZである。同店について本件に関心がある人ならばご存知だろう。田邊被告らが経営したスナックで市職員らと定例会や誕生日会を開いてきた店だ。
もとは青木県議のSNSに投稿されていたものだが、怪文書が拡散されてから削除したという。撮影日は2020年1月、同店が閉店する時のものだ。
「怪文書はファックスで送られました。送信元は四日市市の諏訪公園近くのコンビニエンスストアになっていました」(県関係者)。
四日市市という点は特に意味はなさそうだ。単純に送信主の“身バレ ”を防ぐためだろう。
ポイントを列記すると「平成30年10月に田邊家の親族の結婚式があり青木県議の他、津市議から田矢修介、岡幸男、福田慶一、岩脇圭一四氏が出席していた」「堤防の階段工事は青木県議が口利きをしていたとの疑惑」「田邊被告の息子(*大輝氏)の就職の口利き疑惑」の3点。親族とは田邊被告の娘で市立保育園に勤務する田邊彩加氏のこと。
この結婚式について事情を知る市関係者の話。
「津市からは50人ほど職員が出席しています。市議には橋本英樹理事から連絡がいきました」
議会、記者クラブには怪文書の類はよく投げ込まれる。特に正副議長選挙ともなれば権謀術数が駆使されるもの。口利きといった話は別として少なくとも出席議員については事実だ。
17日の所信表明で青木県議は公明党議員から田邊被告との関係を質問された。青木氏は「一点の曇りもない」とした上で「バスケットボールの大会で顔を合わせた」とし関係を否定。怪文書で名指しされるハプニングはあったものの、18日の本会議で青木県議は議長に選出された。
前出県関係者は言う。
「青木さんはなぜ結婚式に出席したのかを聞かれ“ 学校時代の先輩に依頼された”と説明していました。田邊被告との関係性は正直、分かりません。ただ怪文書がまかれた13日はまだ青木さんの立候補は正式に決まっていませんでした。にも関わらず怪文書には青木さんの出馬を示唆しています。つまり作成者は青木さんの立候補を知る立場にあった人。議会内の誰かでしょう」
青木県議は自民会派だが周辺を探ると、自民関係者からも反発を招く要素があった。同関係者は続ける。
「青木さんは元教員。学校時代の先輩とは“教員の先輩 ”ということです」
青木氏に自民内部からも反発があるのはこの元教員という背景があるかもしれない。青木氏の地元、旧白山町地区で取材するといくつか興味深い事実が浮かび上がった。
「前職の生川利明氏の死去に伴い、斎藤十朗元厚労相の関係筋から引きがあって青木さんが県議になったんですよ。それから青木さんは元教員で組合(三重県教職員組合)の役員もやっていたんだから。自民党のくせに元日教組か! と反感があった人はいるでしょうね。妬みは買いやすいかもしれません」(地元政治通)
それでも自民県議として議員生活5期、議長に登りつめたのは「とにかくどんな場所にも顔を出して挨拶します。感心するのは仲が悪い人でもきちんと会釈すること。それぐらい頭が低い人ですよ。ただ政治の実績とは別ですが‥」(地元関係者)という人物像があってのことか。
そして当初この怪文書のキーパーソンは青木県議と思ったが、むしろ「学校の先輩」の方だった。実はこの人物は田邊被告というより田邊家と密な関係にある。
「田邊家の結婚式に青木さんを紹介したのは同じく元教員で現在、高洲町教育集会所に勤務する人権教育指導員、細谷演夫氏です。地域では有名人で通称“ トラさん”(演のつくりが寅だから)で親しまれています。教員時代から熱血指導で子供と体当たりで向き合う教育者という評判でした。現在は、子供食堂や津市バスケットボール協会の理事長をしています。バスケを通して田邊被告や息子たちと交流があります」(市政関係者)
余談だが当初、みどり自由学園(津市乙部)で子供食堂を開催している人物が田邊被告に青木県議を紹介したという話を聞いた。この人物が細谷氏のこと。このため子供食堂について調べようと津市教育委員会に確認したところ「人権教育課」を案内された。同課対応である程度の事情は察したものだ。
高洲町教育集会所には田邊被告の子息、文登氏も訪れるという。同氏はフードバンク三重の役員にも名を連ねた人物だ。では青木県議は噂される田邊被告との関係や結婚式の出席についてどう説明するのだろうか。さすがに県議会議長室を訪問するのはハードルの高さを感じたが、青木議長は取材に応じてくれた。
「私も突然、言われたことで困っていましてね。13日に怪文書が送られてきたのは事実です。まだあの時点で私は正式に立候補を決めてないのにね。(送り主は)内部事情を知っている人としか思えません。結婚式の仲介は細谷さん? 確かに言われた通り、教員時代の先輩である細谷さんに依頼され出席したのです。バスケットボールの大会に来賓で出たこともありました。田邊氏の印象はバスケットの支援者の一人という程度ですね」
また田邊被告らの写真については
「あの写真はバスケットボール関係者が集まる飲み会だったんですよ。(SNSから)削除したのはテレビコマーシャルでも不祥事があったタレントの映像は放送中止になりますよね。逮捕された人の画像をいつまでも掲載するのは良くないと周囲のススメもあってのことです。なぜあの場にいたのか? 突然、誘われたから行ったみたのですが、その当日が閉店日だと聞いたからなぜそんな時に呼ばれたか不思議でした。あの店(JAZZ)に行ったのはあの時、一度だけですよ」
SNSでは“消すと拡散する ”というのが一種の法則。青木県議が写真を削除したのは得策ではなかったかも。
前葉市長、田矢市議も参加したバスケットカーニバル
JAZZ飲み会も細谷氏に呼ばれたということだ。しかも細谷氏は田邊ジュニアたちとも親しいという。高洲町教育集会所を訪ねると細谷氏も取材に応じた。子供たちからも「トラさん」と呼ばれこの地域の児童教育に尽くしているようだ。評判通り細谷氏は熱血漢という雰囲気が出ている。もちろん平和教育や人権教育にも熱心だという。
「今はもう聞かれなくなりましたが“教え子を戦場に送らない ”という組合の思いは今でも持っていますよ」
三重県は解放運動と同時に教組の活動も活発な地域。このため組織率も非常に高い。三重県教職員組合についても補足をしなければならない。相生町問題の調査を開始した初期の頃、三重の同和行政について地元市議に特徴を聞いたところ「三重県の同和教育が盛んなのは解放同盟というよりも三教組の影響」と分析していた。確かに津市内の解放同盟支部はほぼ活動休止状態だ。
相生町問題で教職員関係者に取材を試みたところ田邊被告に少なからずシンパシーがあることと、同和教育に対する深い思い入れを感じた。好意的に言えば純粋だが、同時にステレオタイプな同和地区観としか思えない。しかしこと敬和地区については我々の価値観を尺度にしては教職員や地域住民の本音は見えてこない。
田邊被告の親族と交流があったという地域住民の話が印象的だ。
「自分が子供の頃に田邊さんの親族がうちに来ていました。僕がテレビで『トムとジェリー』を見ていたら、その人の様子がおかしいからふと覗くと注射を打っていたんですよ」。
注射とは隠語。児童であっても大人のアウトローと隣り合わせになる地域だ。そんな土地柄で教員として向き合うことは独自の同和教育を有したかもしれないし、生徒や住民に対しても一般地区とはまた異なるアプローチではなかったか。
細谷氏はライフワークとしてスポーツ指導、地域教育から子供食堂も主催している。一生懸命、地域活動を続ける定評は間違いではない。ただ田邊被告との関係は密だ。同氏は田邊家との関わりについてこう説明する。
「田邊さんの親族の結婚式に出席するよう青木さんに依頼したのは確かに私です。11年ほど前に市内の公園で息子の大輝君がバスケの練習をしていたので“一緒にやろう ”と声をかけてからのお付き合い。それから文登君は私の教え子です。自治会長の問題は特に聞いていませんでしたし、それとバスケのことは別ですから。ところでおたくは田邊氏のことをどう聞いています」
自治会長以前からクレーマー型の保護者でバスケ監督の指導にも介入してきた、という証言を紹介した。
「あの人(田邊被告)がどれだけ津市のバスケットボールに尽力してくれたか知っていますか? 国体前のバスケの普及イベント、第1回津市バスケットボールカーニバルの開催も田邊さんに尽力してもらいました」
青木氏が言っていたバスケットの大会とは2019年9月23日に開催された第1回津市バスケットボールカーニバルのことだった。同イベントは国体の啓発イベントという位置付け。同日は青木県議、前葉市長、田矢市議も来賓で挨拶していた。しかも今年9月から開催される「三重とこわか国体」のバスケットボール会場は津市だ。これも田邊被告が関わったわけではあるまいが、強く望んだに違いない。
「小まめで挨拶は欠かさない」という評価の青木県議。今のところバスケつながり以外、田邊被告と関係を示すものはない。しかし田邊被告も尽力したバスケの大会の参加に、田矢市議との交流ときたらあらぬ疑いをかけられるというものだ。田矢市議がバスケットボールに熱を入れたという話は聞かない。まず田邊被告との関係から来賓として挨拶したものだろう。
細谷氏はいう。「しかし田邊被告が一生懸命、地域に尽くしたのも確かだし息子さんたちは無関係じゃないですか。みんな良い子たちです。それに結婚式で青木さんが挨拶したことも悪いことではないでしょう」
なるほどそういう田邊評も他で聞いた。しかし多くの被害者がいること。田邊被告娘の結婚式に何ら接点がない県議がくるのは明らかに分不相応だ。周囲がそう持ち上げた結果、田邊被告が増長したのではないか。しかも子供は無関係と言いつつ、なにより子供を相生町案件に巻き込んでいるのは他でもない田邊被告だ。この点は細谷氏に伝えておいた。
相生町案件と家族は無関係ではない。一例を挙げると環境パトロールの土地は田邊被告の娘の名義だ。しかも同女は市の職員という立場。彼女に疑惑の目が向けられても仕方がない。フードバンク三重の役員に息子、環境パトロールには自分の娘という現実。親の不始末に子供を持ち出したくないのは著者も同じ思いだ。しかし他でもない田邊被告自身が子供を相生町案件に組み込んでしまっている。
しかしこれから田邊家は市、市議たちからも距離を置かれるだろう。そして関係者のこんな証言も心に突き刺さった。
「娘さんは市内の名門カトリック系女子高校出身なんですが結婚式に来た同級生は一人だったそうです」
脂ギッシュな議員や市関係者に多数囲まれた結婚式は虚飾に満ちたものではなかったか。それが本当の祝福であったのか判断できない。ただ確実に言えることは親族の結婚式から飲み会、生活に至るまで周囲が必要以上に「自治会長」と持ち上げたことだ。その結果、どれだけ多くの人に災難をもたらしたのか。あるいは田邊被告自身も津市、日本社会に蔓延する“忖度文化 ”の犠牲者と思えてきた。
取り調べで田邊氏は「市長がおれのやってることを知らなかったわけがないがな」と憤ってる気がする。
取材してみてください。
そういう情報こそマスコミの出番なんですよ。
警察から聞き出してほしいです。
示現舎さん、前葉市長の政治手腕が「有能」って、冗談でしょ。
市長は以前から、公務員独特の事なかれ主義だったし、今回の件で無能ってことが市民にも知れ渡りましたよ。
それに、ムダな箱モノばかり作って。
人口27万の津市に文化会館は3つも必要ない。
総文とリージョンプラザだけで十分なのに、久居にアルスプラザなんか作って・・・
市長の後援者に建設関係が多いからなのか。
私の感想ではなくてあくまで関係者の方のお話ということで。
ただ元役人だから役所に都合よく回せるという意味では
仕事ができるかもしれませんよ。
ハコモノは前葉さんだけじゃなくて他の方でも多かったかも
しれませんね。確かに土木建築業が多いですからね。
盆野副市長と田邊哲司は、敬和小学校の同級生です。
その辺でもつながりがあるのではないでしょうか?
あと、田邊も頭が上がらなかったのが高洲町のM下KGだったそうです。
爆砕掲示板のコピペですが、県内のバスケ界では有名な話です。
この元自治会長の息子が高校生の時に所属していた部活を潰したことがありました。
校長、教頭、当時の教育委員会、誰も子供達を守ってくれませんでした。
自分の子をスタメンで出せと脅しそれに反する顧問が潰され、部活も活動休止。
当時真夜中まで教育委員会と保護者会が行われましたがこの逮捕された男とその嫁が会議をビデオ撮影し声も録音して圧力をかけていました。
この男は顧問に土下座させ鬱にし、試合でミスした子供には丸刈り、同じやり方でした。
当時関わった学年の親御さんやお子さんに謝罪してほしいです。
戦っている子供達、保護者もいました。
でも津市の教育委員会、三重県教育委員会、誰も助けてくれませんでした。
今、やっと立ち向かう弁護士さんが現れて感謝しかありません。
その当時、弁護士にも相談に行った保護者もいますが相手に弁護士さん尻込みしていました。
悪が証明されて良かった。
今年、大輝氏は三年連続で、津市橋南中学校の体育講師をしています。
部活は勿論バスケ部です。
橋南中学校区は、田矢議員と佐藤議員の地盤だったと思います。