『アベ政治を許さない』にすがる高齢者たちの悲哀

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By Jun mishina

森友学園・加計学園問題で攻勢を強める野党、そして各左派団体。特に文書改ざん問題が発覚してからはほぼ連日のように永田町・議員会館前など各地でデモが繰り広げられている。もちろん安倍首相夫妻、稲田朋美前防衛相、あるいは一部の保守文化人がとった行動はあまりに軽率で不可解な点が多いのは分かる。ただ反アベで結集している面々の言動をウォッチしていると、何やら新興宗教めいた狂騒を感じてしまう。「アベを許すな」というこの気勢自体が彼らにとって「癒し」であり「娯楽」であり、生活の拠り所になっていないか!? 特に高齢者たちは―――。

アベのせい、この一語で大熱狂。高齢者たちもノリノリ。

目がテンになっている人々。運動にすがる高齢者たち

通常行われるデモや抗議行動といった運動。左派の場合、労組、政党の動員がかかっている。これに各種市民団体、一般の支援者が加わる。彼らは自身の団体の活動に協力してもらう代わりに他団体の運動にも協力し参加する。要するに互助関係にあるのだ。市民団体の配布するチラシには「呼びかけ人」「呼びかけ団体」という項目があり、無数の運動家、各種団体が列記されている。中には運動を生業とする活動家もいれば、ボランティアという場合もある。こうしたプロ活動家はおおかたカンパ、機関紙、集会・シンポジウムの会費で収益を挙げる。特に扱う問題が大きければ大きいほど関心も高く、収益にもつながる。森友学園・加計学園問題に沸く現在はまさに書き入れ時なのだ。

こうした職業運動家たちはそれなりに「自己実現」できるからいい。だが問題は運動にすがる高齢者たちである。「目が点」という言葉をご存じだろうか。これは諺や慣用句ではなく、もとは流行語の一種で一説には70年代の人気漫画『嗚呼!!花の応援団』の登場人物が驚いた時、呆気に取られた時の表現として目を点で描いたことがルーツとされる。しかし運動に参加する高齢者たちの「目が点」は少し事情が異なる。とても気の毒だが、軽度の痴呆症の状態にある人も「目が点」になっている。だから会合中も何やらブツブツ言う。中には衣類から乾いた尿の臭いがする人もいる。独居老人という人も少なくないだろう。

集会やデモの類は高齢者の一種のデイサービスと言ってもいい。数百円程度の会費、あるいは無料で土曜日、日曜日の時間を潰せる。あるいは修学旅行や文化祭にも通じるところがある。修学旅行や文化祭の時に感じた非日常感、高揚感は政治デモや集会でも味わえるのだ。この非日常感は政治運動のモチベーションの一つ。この点においては高齢者に限らず、世代を問わず一種の興奮剤の効果をもたらす。ではこうした人々に対して、扱っている政治テーマの何が問題か、また事実関係を問うたところで正確に回答できる人はそうもいない。多くはテレビのコメンテーターの受け売り、あるいは独自すぎる解釈、そんなところだろう。ただ主催者、アジテーター、扇動者にすれば、彼ら彼女らの知的レベルや生活状況、メンタルなど問題ではない。要するに枯れ木も山の賑わいというものでプラカードを持って叫んでくれたらそれでよし。新聞やテレビで報道される時は「弱者たる高齢者も怒っている」というポーズもとれる。若者たちがラップに合わせて「文書改ざん、徹底追及」と叫ぶと、不慣れながらラップのリズムに合わせ声を挙げる高齢者たち。ある意味、悲哀すら漂う。

見知らぬ者でも安倍憎しの一点で同志になれる。

デモ自体がエンターテイメント。

アベ嫌いという新興宗教

小田急本厚木駅前で演説する安倍首相。

それにしても安倍首相というのは特異な存在だ。小泉政権下で改革の目玉となった「郵政民営化」。当時、市民団体や運動家、高齢者たちは自分たちの貯金がアメリカに取られると反小泉を露にした。しかし今や小泉元首相は脱原発を訴え、むしろ左派市民たちから一定量、支持されている。ところが安倍首相に対しては徹頭徹尾、憎悪を向ける。他の誰でもない。この憎悪は常に安倍首相が対象だ。時にはその祖父、岸信介元首相も持ち出しアベ憎し、アベ倒せを連呼する。もちろん全ての政治家は論評や批判、検証の対象であり、また単純な好き嫌いも自由だ。

ただその行動パターンが正直、新興宗教じみてはいないか。まるで心のスキマを埋めるかのようにアベを許すな、アベ倒せ、という。「アベ政治を許さない」という標語が印字された衣類やグッズをまといどこからともなくやってくる。周囲の人はそれをどう思うか。「カッコいい」「闘っている」こんな好意的な人ばかりではないはずだ。「安倍死ね」「安倍消えろ」こんな風に罵倒したところでアベが角材を持って襲ってくるわけでもない。少々、荒い事を言っても「デモ」という空間では許される。それに政治集会に出れば何やら自分も社会に参画できた、そんな気分に包まれることだろう。職業運動家はいい。またクリエーター、ミュージシャンといった若者たち、彼らもまだ幸福だ。なぜならデモや集会で自分たちの「アート」を披露できるから。ただ高齢者はどうか。アベ憎しでボルテージを高め、気分は最高潮、が帰宅すれば孤独と老いが待つ。

政治主張が生活を超えた人。自宅前に貼り出す人も。

同じ高齢者であっても生涯学習、百名山めぐり、軽度なスポーツ、孫の世話、休日にはこんなごく普通の何気ない日常が待っている人もいる。その一方で、反アベ高齢者たちの休日の選択肢が「政治デモ」という現実。痛々しいことに仮に憎むべきアベが打倒されたとしても、彼らの心の空白は埋まりはしないし、幸福を意味しない。むしろ安倍晋三という存在によって、皮肉なことに彼らは活力と居場所が与えられる。つまり「アベ政治を許さない真理教」の教祖とは実は他ならぬ安倍首相なのだ。

安倍首相の3選も危うくなってきた。また現在の政府が好転する材料もない。しかし仮に安倍首相が退陣した時に、反アベの高齢者たちに安らぎや癒しはあるものか。「アベ政治を許さない」「アベは今すぐやめろ」こう絶叫しているうちが実は至福の時であることを心の片隅に留めた方がいい。

立憲民主党の辻元清美衆院議員に迫る高齢者。女性議員にドアップで迫る高齢者は少なくない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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『アベ政治を許さない』にすがる高齢者たちの悲哀」への25件のフィードバック

  1. 青月

    いつも楽しく読まさせて頂いてます。
    「オキナワ」の運動しかり、左派系イベントにて鬼気迫る表情で気勢を上げる高齢者を見ると、家庭に帰り日常に戻っても穏やかに過ごせられるのだろうか、という風に思えてしまいます。
    生きがいというのは人それぞれで、自分の信念で動いている方もいるでしょうが、利用されているように見えてしまい私も悲哀を感じてしまいます。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      そうなんです。
      政治運動という空間は同じ価値観を共有できるから
      傷つくことがありません。
      高齢者にとっては安住の地といえましょう。

      返信
  2. すし太郎

    学祭前日が延々とループする映画、ビューティフルドリーマー。
    映画だから面白いですけど、現実はこんなですかね。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      ビューティフルドリーマーってラムちゃんが
      楽しい時間が続いてほしいと願ったからパラレルワールドに
      いってしまったんでしたっけ?
      確かにデモは永遠ではなく、終わりがあります。
      みんなアベロスになっちゃうんじゃないかなあ

      返信
  3. .

    「見知らぬ者でも○○憎しの一点で同志になれる」「デモ自体がエンターテイメント」「新興宗教じみている」などの指摘はごもっとも。しかし、「保守」陣営の市民運動にもそのまま当てはまることですね。イデオロギーの方向性を問わず、政治ってだいたい宗教みたいなものです。

    三品さんは自民党員なんですか。

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      自民党員ではありませんが、ご指摘の通りです。
      保守運動の問題点についてはまた別稿で書こうと思っています。

      返信
    1. 三品純 投稿作成者

      政情が不安定の時に大衆は極端な言説に傾倒するものですね。

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  4. 読んでられない劣悪な記事

    あんたら
    安倍晋三とともに消えてくれよ
    部落差別は助長するわ、悪政を支持するわ

    ったく、なにがしたいんだか

    返信
    1. 三品純 投稿作成者

      部落差別といいながら、森友学園の同和陰謀説を
      支持していますよね?
      よほど「偏見に満ちている」と思いますが?

      返信
  5. 読んでられない劣悪な記事

    サンピンがいる限り、この組織はてんで信用できないな
    そりゃー叩かれるわけだwww

    返信
  6. 斉藤ママ

    http://www.city.sumida.lg.jp/online_service/sinsei/ta801000201503251548.html

    成年後見に助成金が出ているので、いづれこのお年寄りも、
    士業の餌食になるのでしょうね。
    所持金がなくても1人24万円行政が払ってくれるようです。

    ——————-
    例)東京家裁の報酬の目安

    管理する財産が1,000万円以下の場合
    月2万円 x 12ヶ月 = 年間24万円

    管理する財産が1,000~5,000万円
    月3万円~5万円 x 12ヶ月 = 年間36万円~60万円

    5,000万円超
    月5万円~6万円 x 12ヶ月 = 年間60万円~72万円

    返信
  7. 読んでられない劣悪な記事

    斉藤ママ

    お前も本物の差別主義者だな
    いずれ、あんたも老人になるのにね

    腐った奴ばかりだね

    返信
  8. kn.

    >読んでられない劣悪な記事

    老人になれば例外なくそうなると言わんばかりな書き込みだなぁ。老人でも千差万別だし、あなたの価値観とは一線を画する人もいるだろうに。

    正直そういう人物とは、言及する事なく無関心であった方が生きる上では精神的に楽だと思いますが。間違いなく言い争っても平行線ですし、有限である人生の時間の浪費だと思いますがどうでしょう。

    返信
    1. 読んでられない劣悪な記事

      コミュ障のようで

      確かに、あなたと話す価値を感じませんなwww

      返信
      1. 三品純 投稿作成者

        議論するときに「差別者」とか「コミュ障」だとか
        そういう言い方やめた方がいいですよ。

        なんだかんだでいつもアクセスしてくれて
        ありがたいけども。

        返信
    2. 三品純 投稿作成者

      最近、左の人やメディアって「貧乏で報われないやつが右傾化する」
      とか「右傾化する若者」みたいな乱暴なこと言っちゃうけど
      劣悪さんもそういう感じなのかなあ

      返信
  9. 読んでられない劣悪な記事

    サンピンは、部落の人間を「穢れ」とか言って差別する人間ですもんね。
    分かり合えるはずもない^_^www

    返信
    1. 斉藤ママ

      私は差別主義者?

      刑務所に入って行き場のない若者に声をかけるのは暴力団です。
      知的障害の女性は、売春組織が待っています。
      母子家庭の子供を薬漬けにするのは「夜回り先生」にありました。
      最近は、母子家庭の母を、売春させるらしいです。

      昔から弱者は強いものの餌食で、なかなか変わらないですね。

      返信
    2. 三品純 投稿作成者

      部落差別発言ってこうやって捏造、でっち上げされるんだなあ
      薄っぺらさがよくわかった

      返信
  10. やすみん

    反安倍の活動に時々参加している者です。
    なるほどね。こういう見方をしてしまう人もいるんだ、、と参考になりました。
    ありがとうございます。

    ところで『職業運動家たち』とありますが、この活動に参加するようになって3年経ちますが、こういう人がいるというお話、仲間内では一回も聞いたことがないですし、そういう人、一人も知りません。
    以下のようなお話と同様、ただの「作られたうわさ話」のように思えます。

    ●沖縄の反対派は中国人だらけだ
    うるま市の市長選挙のころ、ネットでしきりに書きたてられたけど、今は鳴りを潜めています。
    選挙が終わったら中国人は大挙して母国に帰っちゃったのかしら(笑)??

    ●度重なるヘリの部品落下事件は全て反日左翼??の陰謀だ
    (いまでもケントさん、そう主張しているのかしら??)

    返信
  11. 高齢者一歩手前

    自称市民活動家の高齢者とお付き合いの身としても納得の記事でした。

    返信
  12. もょもと(本人)

    単に保守政治だと世代間格差是正をされてしまうから嫌なのでしょう
    それで若者が安倍を支持しても反論が難しいから(まさか「大人しくワシらを勝ち逃げさせろ若造ども!」とか言えないだろうし)言いがかりをつけて死ね!と喚くしかないのです
    #5b9533c4873a09eace0bad60a14364dc

    返信