現在、韓国由来のキリスト教団体は、日本国内にも多数、存在している。中には、信者のトラブル、相談に応じる団体もあるが、日本社会、そして在日社会に影を落としている点も否めない。一方、韓国国内を見てみよう。韓国政界、政治運動とキリスト教、それは表裏一体の関係にあると言っても相違ない。
現在、韓国では、「喜びと希望の銀行」という制度が設けられている。キリスト信徒や企業からの寄付を集め、元受刑者や犯罪被害者支援を対象に一人当たり一千万ウォン(約800万円)を貸し出す制度だ。運営は、韓国カトリック矯正司牧委員会。もちろん更生事業自体は、重要な制度であるが、本来、行政が担うべき性質の施策をキリスト教団体が行っている点は興味深い。それだけ社会に影響力をもたらしている証左だろう。
1989年4月、まだ大韓航空機事からほどなく南北朝鮮の対立が続く中、文益煥牧師が北朝鮮を訪問し、金日成主席と統一方案について協議した。文牧師は、韓国内で民主化闘争にも関わった人物。キリスト教宗教者が外交まで担ったわけである。
3・1運動の裏にクリスチャン
では日本国内では韓国系キリスト教団は、どのように政治、社会に影響をもたらしてきたのだろうか。
取材に応じた在日の牧師らは「キリスト教徒が反日ということはないでしょう。それでは布教できない」と一笑する。
日本国内、特に在日社会でキリスト教が左翼活動とリンクしてきた点も見逃せない。古くは崔昌華牧師が「サイショウカ」と日本語読みをするNHKに対して一円の損害賠償を求めた裁判があった。結果は敗訴したもののNHKから朝鮮語による発音を認めさせたことは在日社会でも語り継がれている。あるいは金嬉老事件が起きた際に説得に当たった牧師と言えばご存知の方もいるかもしれない。崔牧師は他にも参政権獲得運動、指紋押捺拒否闘争などの活動を進めた。民主党政権時代に成立寸前になった参政権ももとは一人の牧師が起爆剤になったかもしれない。そして崔牧師の娘でピアニストの崔善愛氏もまた在日の権利運動に関わっている。
在日社会や韓国における反日・左翼活動の根底にはキリスト教があると言っても差し支えない。韓国内には約1千万人のキリスト教信者がいると言われ、歴代の大統領も「金泳三と李昭博はプロテスタント、金大中と朴クネ現大統領はカトリック」(在日の牧師)という。そしてキリスト教は同国にとって「解放者」の意識が高く「三・一独立運動を起こした民族代表33人のうち16人がクリスチャン」(前出・張氏)だった。
実は3・1運動の精神は現世にも引き継がれている。ある意味、民主党政権の象徴的な出来事だが、2011年、民主党の土肥隆一元衆院議員(兵庫3区)が竹島の領有権の主張を中止するよう日本政府に求める「日韓キリスト教議員連盟」の共同宣言に署名する事態が起きた。土肥氏もまた日本基督教団所属の牧師だ。朝鮮半島に生まれた経緯もあり、在日コリアンの権利問題に熱心で朝鮮学校の無償化を求める活動家によると2010年4月8日の文科省との交渉の席上で「金日成の肖像画をかけるのは日本の学校で日の丸を掲げるのと同じようなものだ」と言って理解を求めたという過去を持つ。
土肥氏が署名した文書には竹島のみではなく慰安婦問題、サハリン徴用者の救済や歴史認識でも日本に干渉する内容だった。
文書の冒頭には「3月1日は大韓民国の民族指導者たちと国民が一緒に、民族自決と独立に対する念願を一心に集めて立ち上がった3・1節が92周年を迎える日だ」とある。この文書が示す通り、韓国のキリスト教徒にとっても3・1節は重要な出来事なのだ。韓国の人口5千万人中、1千万人超がキリスト教系の信者というから、あの熾烈な「反日行動」が収まらないのも無理はないかもしれない。もう一つ興味深い現象を紹介しよう。土肥氏が出席した2009年12月14日の日韓キリスト教議員連盟創立10周年の記念式典では連盟側から「加害者の日本が被害者の韓国国民に心から許しを請う姿を示すこと」と声明を発した。キリスト教徒は「赦し」の宗教ではなかったのか。相手に何度も謝罪を要求することがキリスト教の精神だろうか。
宗教活動か政治闘争か
こうした例もある。大阪府内では在日コリアン住民、ニューカマー住民が多いこともありこれがキリスト教とも連携しながら活動を続けてきた。大阪市生野区鶴橋のキリスト教団で結成される「生野地域活動協議会」も一般の救済活動だけではなく「大阪府外国人学校振興補助金等の朝鮮学校」の支給要請などを行ってきた。
この地域の活動のシンボルというのが在日韓国基督教会館。同施設では「外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会」(外キ協)などの関係団体が集まり、「外国人住民基本法」の制定を求める会合を開いてきた。民主党政権時代には「在日韓国・朝鮮人など旧植民地出身者とその子孫に対して、日本の歴史責任を明記し、民族的マイノリティとしての地位と権利を保障する人権基本法の制定」「人権委員会の創設」、「戦時性的強制被害者問題解決促進法」「恒久平和調査局設置法」などの要求を行った。
これはもはや宗教者の枠を超えた政治運動ではないのか。これは救済活動なのか、民族運動なのか? 在日韓国基督教会館の金成元館長に取材を申し込んだが回答はなかった。
それにしてもなぜ大阪には韓国系キリスト団体の活動が活発なのだろうか。しかもそれはとても左翼がかったもの。もちろん在日コリアン住民が多いことが挙げられるがこのような背景もある。しかしその歴史はより血塗られたものだ。
生活の危機につけいる影
衆議院議員会館、参議院会館では日々、院内集会といった政治集会が開催されるが、現在、議論が盛んなヘイトスピーチ問題、安全保障問題などにもキリスト教団体の関与は強い。そして韓国系の宗教者の存在も見逃せない。特に在阪のキリスト教団体が多く見受けられる。歴史的に見るとこのような背景もあるという。
「大阪万博(1970年)でキリスト教館を出展した際、万博の反対派、賛成派で激しい闘争が起きた。ここに新左翼が介入する余地があったこと。それから万博の開催とともに仕事が活況で日雇い労働者も金を持った。あの西成地区もとても景気が良かった。そこに目をつけた暴力団が賭博、クスリなどを提供し労働者から金を巻き上げるシステムを構築した。そして生活困窮者や脱落者が出てくるが、その当時の西成は一種の治外法権。行政も救済に当たりにくかった事情がある」(大阪市の元職員)。
そこで救済を行ったのがいくつかのキリスト教団体だった。彼らは救済目的、そして左翼団体が行政との権利闘争、立場も目的も異なるが行政や企業に申し入れをする時に両者はとてもウマがあった。そして「大阪市内でもスモッグなど公害問題が深刻になり市民の間でも反公害闘争が起きたが、すでに崩壊していた学生運動の受け皿になった。こうした運動家たちもまたキリスト教の活動と波長があった。さらに在日コリアンの人権問題、地位向上運動はうってつけの活動だった」(同前)。
一方、在日コリアンたちも「実は従来、彼らはキリスト教だけではなく朝鮮半島の民族祭祀があった。不法占拠ということでもう取り壊されたがJR大阪環状線の森ノ宮駅近くには韓国・済州島を起源とする民間信仰施設「龍王宮」があった。この祭祀は独特で信者の家には赤い卍マークが掲げられた。しかしもうこうした半島由来の民間信仰も風前の灯火。逆に従来の民間信仰からキリスト教に転身したとも言われている」(龍王宮のボランティア活動家)。
大阪と宗教活動にはこのような複雑な歴史的な背景に加え都市構造も密接に絡んで活発化したことになる。そして今後も増加が見込まれる韓国出身のニューカマー、また日本国内にもワーキングプア、独居老人といった問題もある。厳しい日本の経済状況、そして年々希薄になる地域社会問題など宗教が入り込む要素は少なくない。韓国系キリスト教団の政治闘争が日本社会に付け入るスキは、大いにあるのだ。
2本のレポートを興味深く拝見いたしました。
三品さんは意識的にか無意識か存じませんが、スパイという単語を全く使わないで全体を説明なさっています。ここに書かれていることを、正統的な方法で政治学を学んだ人であれば、迷いなく、ああスパイだな、と思うはずです。本国(南北のいずれか)の諜報部門の下部組織として、対日破壊工作をする集団という意味です。
同化を拒否する。
日本人には朝鮮の影響を与えようとするが、自分たちは日本から影響を受けまいと必死になる。
特に、日本の法律に、朝鮮人に有利な規定を盛り込もうとする。
日本社会の秩序、日本人集団の団結を壊そうとする。
それが不可能な場合は、小さな事でもいいから邪魔・妨害を繰り返す。
これらすべて、スパイ=破壊工作員の典型的な言動の特徴です。
「龍王宮」=JR大阪環状線の森ノ宮駅近く、でなく、桜ノ宮駅近く、ですね