【三重県】〝市庁舎に生理用品がない〟で炎上の共産党・吉田あやか県議が津市議会を傍聴 離党に追い込んだ市議への圧⁉

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By Jun mishina

共産党・吉田あやか三重県議が3月25日、「津市役所のトイレにナプキンがない」とⅩに投稿し炎上。殺害予告が送られる事態に発展した。党やジェンダー論者らが〝ミソジニー〟と断じて吉田県議の擁護を続けてきた一方で、同県議からのハラスメントを理由に同党の中野裕子津市議が離党することを発表。内情を取材すると昨今の共産党が抱える〝病理〟を感じずにはいられない。

吉田県議が女性市議にハラスメント疑惑

〝週刊文春の後追いをする簡単なお仕事です〟状態からSNS炎上を転載するだけのもっと簡単な仕事と化したのが当世のマスコミ気質。特に人権、ジェンダー絡みになるとこれ幸いと報じるものだ。吉田県議による「津市役所にナプキンがない」といった訴えは大好物に違いない。これに対してSNS上では賛否が入り乱れ、吉田県議のもとに数千通の殺害予告メールが寄せられた。

それにしても全国ニュースになることも多い津市。だが今度ばかりは明らかに巻き添え、もらい事故である。

例によって朝日新聞、毎日新聞などがこぞってナプキン騒動を報じたのだが、地方の自治体議員であってもネットの〝バズり〟一つで全国で注目される典型例と言えよう。特にジェンダー活動家、フェミ論者からは賛同する意見が相次いだ。吉田県議は2023年の統一地方選挙で初当選したまだ新人だが、ナプキン騒動で知名度を高めた。

ところが世の女性の代弁者の如く扱われた吉田県議に今度はハラスメント疑惑が発生。

同じく三重県共産党の中野裕子市議(当時)が6月5日に5月31日付けで同党を離党したことを発表した。離党理由というのが吉田県議からの「モラルハラスメント」というから驚きである。しかも中野市議は2022年に津市議選で初当選。同議会では初の平成生まれの議員だ。翌年の統一地方選でも吉田県議の当選に協力した。昨今、有名党員の除名問題で物議を醸す共産党だが、まだ1期目、若い中野市議の決断に心配する声も多数、寄せられた。

これを受け共産党三重県委員会と中部地区委員会は6月8日に「中野裕子津市議離党についての見解」と題した声明文を発表。

中野裕子津市議離党についての見解
2025年6月8日
日本共産党三重県委員会
中部地区委員会

中野裕子市議の離党を受けて、SNS上で様々な論評がされていますので、日本共産党三重県委員会および中部地区委員会の見解を表明します。

(1) 中野裕子津市議会議員から離党届が提出され、中部地区常任委員会として5月31日に離党を承認しました。その理由と有権者のみなさんへのお詫びについては、中部地区常任委員会の5月付けの声明にあるとおりです。

(2)声明の発表に至るまで、三重県委員会と中部地区委員会は、中野市議との話し合いを重ねてきました。離党の決意は固かったものの、中野市議にたいする党機関の対応が不十分だった反省をふまえて、できるかぎり中野市議の要望にそくした表明をできるよう、声明の準備も共同して行ってきました。
 当初の声明案で、中野市議があげた離党理由を、「①吉田あやか県議の言動により長期にわたって苦痛を感じ、党機関に解決を求めたが、党の対応が不十分だった、②党機関の新人議員へのフォローが不十分であったことをあげています」としていたのも、中野市議の要望を反映したものでした。
 また、党の公認候補として当選した議員の任期途中の離党であり、本来であれば議員辞職を求める性格の問題ですが、中野市議が、離党後、党を批判し攻撃しない意思を持っていたことも考慮して、辞職勧告は行わず、声明案でもその旨を報告することとなっていました。
 声明は、5日午後3時に中野市議が会派離党届を議長に提出した後、記者クラブへ届ける予定でした。しかし中野市議が、会派離党届けを議会に提出する直前、5日の午前10時半過ぎに、自らの離党理由をハラスメントをうけたからだとし、自分を一方的な被害者だとする主張を報道機関に流したため、中野市議と同意した内容の声明案をそのまま出すことはできなくなりました。
 この事態の進展をふまえて、地区としての見解を正式に表明したのが5日付の声明です。中野市議が、報道機関に提供した3日付の文書は、5日午後3時以降に発表する予定だった当初の声明案であり、5日朝に党員と後援会に事前に内部的にお知らせしていたものです。
 正式に発表した5日付の声明で、中野市議の離党理由の①の部分について、「特定の党員」としたのは、中野市議が5日午前10時半に報道機関に流した文章が「特定の党員」と表記していたことをふまえ、その文言のとおりに正確に記述しただけであり、隠蔽のために修正したなどという非難はまったく的外れなものです。

(3)三重県委員会および中部地区委員会としては、中野市議、吉田県議との間のトラブルについて、双方の話を丁寧に聞き、事実をつきあわせ、複数の専門家の意見をうかがって慎重に検証し、中野市議にたいするハラスメントがあったと断定することはできなかったものの、中野市議の精神的苦痛を解決するために努力を重ねてきました。
 吉田県議も、中野市議にたいする謝罪の意をのべている点があり、話し合いたいとの意向を表明していました。

 2022年8月に最初のトラブルが発生して以降も、2023年統一地方選挙では、吉田県議の当選のためには、中野市議の力が欠かせないと話し合って、中野市議が吉田県議当選に大きな役割を果たしました。後半戦では、2人が、津市議補選・滝勝弘市議の当選、県下各地の候補者事務所を回ってSNS発信で大きな役割を果すなど共同して活動ができた時もありました。
 しかし、党機関として問題を根本的に解決することができず、中野市議の離党に至ってしまったことは、大変残念です。
 有権者のみなさんにあらためてお詫びを申し上げます。

 以上

中野‐吉田両議員の間でトラブルがあったこと、また党の対応が不十分だったことは認めたが、ハラスメントの認定は確認できない。

また気になったのは2022年8月のトラブルだ。中野氏は同年1月の当選だが、吉田県議はまだ一般党員である。声明の内容やトラブルについて中野市議に取材を申し込んだが「申し訳ありません。回答は控えさせてください」とした。

この日に何があったのか両議員を知る党員が解説する。

「中野氏と吉田氏は2022年8月に原水爆禁止世界大会(広島)に参加しました。ところが吉田氏が〝大会中の態度が心がこもっていない、真剣さが足らない〟などと泣いて中野氏を問い詰めたと聞きました」

いかにも〝ありがち〟だと思ってしまった。まだ若手の吉田県議だがまるで戦前世代の党員や戦争語り部のような態度。しばし青少年を対象にした平和学習や講演で起きる現象に近い。戦争体験について反応が薄いと「戦争の怖さを理解できていない」と怒り、ところが態度が沈痛だったとしても「本当の戦争の怖さは理解できていない」と怒る。活動家が納得する百点満点の反応は難しいものだ。エキセントリックな吉田県議らしいエピソードである。

そして両者の軋轢はナプキン問題も関係していたのだ。

「吉田氏がⅩに投稿する以前、中野氏は3月5日に津市議会で〝市内の公共施設に生理用品の設置〟を求める質問をしていました。ところがその約3週間後に吉田氏は〝津市役所に生理用品がない〟とⅩに投稿。もちろん問題意識は専売特許ではないから誰でも主張するのはいいでしょう。しかしそれならば県議だから〝三重県庁に生理用品がない〟と投稿すべきではないか、と思いますね。中野氏にすれば顔を潰された格好だし、何より吉田氏が県議会で公共施設の生理用品問題を取り上げたことはありません。こうした点からしても嫌がらせと受け止められても仕方がないでしょう」(前同)

党はハラスメントではないと訴えるが、どちらにしても3年前から溝は深まったのである。受け止め方は様々だが往々にして離党者に辛辣な共産党。同党が発した文書としては抑制的、柔和な印象を受けた。

共産党員の8割が60代以上という衝撃的なデータは過去記事で指摘した。

共産党「60代以上の 党員8割」 の現実に 白旗 ⁉(2022年8月29日)

この通り、高齢化が顕著な共産党にとって若い中野‐吉田両議員は次世代を担う貴重な人材だ。党にとってもマイナス以外の何者でもない。党はハラスメントについては認めておらずあくまで当事者間のトラブルという見解だ。問題はその後の話である。

ナプキン騒動を市議会で質問させる

質問に立つ共産党・滝市議。

6月18日、津市議会。地元党員から吉田県議が本会議の傍聴に来る、との情報がもたらされた。「吉田さんが津市議会の傍聴に行くというのです。この件で中野さんは相当、悩んでいたからプレッシャーに感じるでしょうね」(津市民)

離党問題はつい最近のことだ。あえてこの時期に傍聴とは〝圧をかけた〟と思われてもやむを得ない話。だがお目当てはこの日、質問に立つ共産党・滝勝弘市議というのだ。

「例の吉田県議の〝ナプキン騒動〟について滝市議が質問するのです。共産党の手前味噌的な質問内容もどうかと思うのですが、問題はそのやり方なんですよ」(市関係者)

まるで共産党はナプキン騒動に全乗っかりしているかのよう…。

「NHKの『まるっと』(東海地区のローカル番組)で吉田県議のナプキン投稿が取り上げられたのですが、滝市議はその画面を議場のモニターで映したいと議会事務局にかけ合いました。著作権を理由に却下されましたが、画像は明らかに吉田県議からの提供でしょう。独自情報や調査で入手した資料ならともかくいくらなんでもNHK番組のスクリーンショットはおかしいですよ」(同前)

ⅩやYouTubeの頼みのマスコミならいざ知らず調査能力には定評がある共産党がテレビのスクショとはこれも時代というものだろう。

吉田県議「党の見解が全てです」

こうした姿勢は地元党員らの間でも疑問視されていたという。そこで吉田県議にも真意を問うべく筆者も同日の議会を傍聴してみた。どこの地方議会でも往々にして共産党の支援者は一定数いるわけだが、現職の吉田県議が傍聴席に鎮座し、滝市議の登壇を見守った。

滝市議は避難所等での生理用品の備蓄を問うたが狙いは市役所トイレに常備すると市から言質を取ることだ。だが市側は他自治体で生理用品が全て持ち去られたケースを挙げ管理方法などを研究中と述べるに留まった。

滝市議の質問が終了後、吉田県議を直撃した。

ー中野市議とのトラブルについて取材させてほしいのですが。

党の見解が全てです。

ー今日の傍聴に来られた目的は?

この後がありますので質問があれば日本共産党三重県委員会の方にお願いします。

報道用語の常套句である〝足早に立ち去った〟というものだ。

また県委員会・大嶽隆司委員長はこう応じた。

「吉田さんが傍聴に来たのは圧力?そんなことはないと思います。生理用品問題についての質問に対して市側はどう答えるのか確認するための傍聴でしょう。中野さんの離党については大変残念ですが、我々の見解としては吉田さんのハラスメントではなくてあくまで中野さんとの間のトラブルという認識です。中野さんがハラスメントと言い出したのも離党届を出した後ですしね。ただ中野さんについては党公認なのだから本来は辞職するのが筋ですが、もうそんな時代でもないでしょう。これからもご活躍をして頂ければと思います」

圧力ではないことを強調するが中野市議は報道陣へリリースで吉田県議の存在によって動悸などの症状が出ると訴えた。傍聴は自由だがしばらくは控えても良かったのではないか。

この通り全く円満解決ではないのだが、党の姿勢としては波風立てずに幕引きしたいという雰囲気が伝わった。だが党関係者たちは問題の本質に気付いていないだろう。中野市議という貴重な若手が党を去っただけではなく今後の共産党を左右しかねない落とし穴があること―――。

共産党議員、党員たちのSNS狂騒

委員長もナプキン騒動に参戦。たむともチャンネルより。

昨年12月、共産党は「SNS戦略室」を設置したと発表。「現実とネットの相乗効果発揮」という狙いで、田村智子委員長も精力的にⅩやYouTubeなどで情報発信を務めている。しかし一方で党の根幹である『赤旗』の部数減は否めない。地方では配達員も不足し、遅配も指摘されてきた。

最新の情報や一般人の声にアクセスできるSNSを重視する一方、速報性で劣る『赤旗』が党の象徴というアンバランスな状況なのだ。もちろん議員や党員たちにとって『赤旗』はかけがえのない存在に違いないが、有用性という意味では残念ながらSNSの方が遥かに高いだろう。

共産党議員たちのⅩを見るととにかく挑発的、攻撃的な投稿が目立つ。特にクルド人問題、選択的夫婦別姓など話題の現象に対して過激さを競うように投稿する。実際にそうした過激投稿は批判も起きる一方で賛同者も多数だ。一夜の〝バズり〟で地方議員、一般の党員であっても全国区の論客になりえる。考えてみれば「平和」「軍縮」「護憲」を掲げ、街頭演説を繰り返しても大方の有権者は〝スルー〟。まるで空気のような存在だ。

だがSNSは異なる。打てば響く、過激投稿で注目されればメディアが取り上げてくれる。いわゆる「こたつ記事」(ネット上の情報源のみで構成する記事)が傾注するスポーツ新聞、週刊誌サイトにとっては草刈り場だ。共産党議員はSNS活用によって街頭演説では決して味わえない快感が得られる。

もちろん若い世代の共産党議員たちは手っ取り早く情報発信ができ、社会に広く訴えかけられるSNSを重視していくだろう。しかしこうした風潮は果たして〝共産党らしさ〟なのか。

今ではあまり耳にすることがなくなった「たしかな野党」というスローガン。こと調査能力については他党を凌駕してきたと言ってもいいだろう。昨今の共産党からは同和行政批判も聞かれなくなったが、かつての「ハンナン食肉事件」「飛鳥会事件」などの同和事件簿に刻まれる大事件は共産党の追及や『赤旗』の報道が大きく貢献した。それは「たしかな野党」というに相応しいものだ。

しかしそうした調査活動は過酷で地道。また知名度向上にもつながらない。ところがSNSは違う。「市役所にナプキンがない」これだけでマスコミが取り上げ、また党も重用してくれる。吉田県議の投稿は「成功体験」として党員たちに刻まれるだろう。

だがそのことは党全体がSNS依存に陥っておりもはやそれは病理とさえ思えてならない。その結果、これまでの持ち味だった「調査能力」を喪失することにつながるだろう。ナプキン騒動はその狼煙かもしれない。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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【三重県】〝市庁舎に生理用品がない〟で炎上の共産党・吉田あやか県議が津市議会を傍聴 離党に追い込んだ市議への圧⁉」への2件のフィードバック

  1. 津市のくそ

    古い組織はゴタゴタが絶えないものですね。
    しかし、SNSを駆使しての政治活動も今や当然ですし、「赤旗」の調査能力は他のメディアも認めているところ。
    そして個人的には、公共トイレにナプキンぐらいああってもかまわないと考えます。そんな発言が炎上するなんて、日本も津市も三重も笑えるぐらいクソですね。
    #4c1cbb474c0906b5f03238119622bd57

    返信
  2. 小池裕敏

    SNSでは、少しでも意見が異なれば、暴言や見下しがありますね。
    #9793b6a1d36e32c42295e6374a9994b8

    返信