昨年10月9日、日本維新の会・森本尚順大和高田市議の親戚で土庫区長の森口昌義氏が市役所駐車場内で複数の職員を車で襲撃した事件が発生。12月6日の記事でも一部を報じたが発生当時、森口氏の車にはなんと市役所勤務の妹も同乗していた。さらに森口氏は市施設敷地に無断でカーポートを設置し不正使用を続けている。(写真は無断使用の市所有地)
妹は会計年度任用職員(バイト)で雇用

森口氏は土庫一丁目自治会の総代(区長)を務める。地元住民、または歴史マニアなら土庫の背景をご存じだろう。地域的な事情に加え同氏は元暴力団の過去を持つ。過去、和歌山市、津市、四日市市などでいわくつき自治会長、区長を取材してきたが大和高田市にも存在していた。〝自治会長ウォッチャー〟としてもまた交友録が賑わった思いだ。
現在は精肉業に関わる他、地元少年野球の指導も熱心な人物。SNSには奈良県出身の元プロ野球選手とのツーショット写真もある。
ともかく市役所が手を焼く存在なのは容易に想像できよう。森口氏と周辺人物の関係を説明しておく。

森本市議とは親戚関係にある。森本市議が懇意にする暴力団元Ⅿ組組長Ⅿ(相関図左)こと南岡正男氏とは関係がよくない。この点は以前、森口氏を取材した際も認めていた。
また大和高田市で多額の公共事業を受注する(株)文政の実質的経営者、金森政幸氏にとって森口氏は〝兄貴分〟なのだ。そして文政という社名は相関図中の岩尾氏(仮名)の名が由来である。文政については今後、追及の中心になっていくだろう。
話を戻そう。実妹は大和高田市役所で会計年度任用職員として保育幼稚園課に勤務。仰々しい名称だが要するにアルバイトだ。
「他にも親族が他地域の隣保館やクリーンセンターに勤務しています」(地元住民)

親族の一人が隣保館勤務という辺りで何らかの忖度が働いたとしか思えない。そして話題は昨年10月の事件に移る。
内部事情をよく知る市民オンブズマンはこう明かす。
「大和高田市役所の駐車場は原則的に職員の使用を禁じています。ところが森口氏妹は2年ほど前から〝ケガをしたから駐車場使用が許可された〟と勝手に言い出したのです。そのまま不正使用を続けたため、同僚職員らに注意されました。事件は注意されたことの腹いせですね」
駐車場の件だけではなく日常的な勤務態度も問題視されてきた。注意されたことを森口兄に相談。そして関係職員を車で狙ったのだ。各地にいるヒトクセ住民が来庁して職員を威圧することは珍しくない。こうした行為はよく耳にする。しかし車で襲うという暴挙は前代未聞。
「狙われたのは3人。明らかに狙って急発進しており、女性職員の頭部スレスレでしたよ。もしぶつかっていたらケガでは済んでいなかったでしょうね」(目撃者)
それも現場は市役所駐車場で、職員である妹もその車に同乗していたのだから驚く他ない。むしろ兄を制止すべき立場だろう。
昨年、森口氏を直撃した際、「市役所に喝を入れるためにやった」などと話していた。反省というよりもむしろ高揚した様子である。
結局、30万円の罰金刑で済んだ森口氏。驚いたことに森口氏妹は現在も市役所勤務を継続。被害者の同僚たちが同じ庁舎にいる中でよく在籍できるものだ。勤務中の森口氏妹を直撃すると「あーあー、あのこと(10月の事件)。課長の許可がいるので」と応じることはなかった。
幸い大事に至らなかったというだけの話だ。とても危険な行為だがそうした認識はなさそうだ。それに市職員には似つかわしくない彼女の派手なネイルアートは〝いかにも〟という感想しかない。
兄が勝手に行動したならばまだしも本人が同乗していたという事実。本来は人事課が本人からヒアリングを行い、処分を下すべきとの声もあるが、通常勤務が続く。人事課の責任も大きいとの不満も漏れ伝わってきた。
市施設土地を無断使用の裏側
しかも事件は〝一件落着〟とはいかないのが「奈良の闇」というものだ。
「裁判で森口氏は〝担当部署(狙った職員の部署)には接触したり申し入れをしません〟といった趣旨の誓約書を提出しました。ところが〝別の部署ならば禁止されていない〟という理屈で今でも森口氏からの要求は続いています。そして4月以降も妹を採用しろ、というわけです」(前出オンブズマン)
森口氏をめぐっては「問題を抱えている」と証言するのは地元、土庫の事情通。
「森口氏の自宅裏には市施設が隣接しているのです。少しでも草が生えると〝管理ができていないやろ〟とクレームをつけます。そのためよく整備業者が来ていましたよ。ところが業者の間でも〝あそこの仕事はややこしいで〟と噂に。そのうち市役所職員が除草に来るようになりました。〝どうしたんや?〟と聞いたら〝業者が引き受けてくれへんのですわ〟とすっかり参った様子でしたね」
事情通氏は続ける。
「森口氏の自宅裏に市施設敷地があって、勝手にカーポートを設置しています。もちろん許可を得ているはずがない。本来は議会で追及されても不思議ではない。大問題ですよ」

僅かな雑草にも抗議する。こうしたクレームの手法は先の自治会長らにも通じる。何しろ声が大きく時間だけはやたらある面々。些細なことを過大に取り上げ、「怠慢だ」「違反行為だ」などと揚げ足を取るのが常だ。
関西生コンにおけるコンプライアンス活動と酷似している。市所有地の僅かな草を抜けと抗議して自分が無断使用しているのはおかしい。
森口氏本人にこの件を問うたが返答はなかった。また、森口氏妹の処遇などについて質問状を送付した。
①森口氏妹職員への処分の有無②森口氏の要求は把握しているのか③カーポート設置と市の土地の無断使用は問題ではないか④森本市議が妹採用について口添えをしたという証言があるが?
人事課はこう回答した。
「処分についての有無はコメントを差し控えます。議員の口添えがあったという話は聞いておりません。土地の無断使用については人事課は把握しておりません。また担当の総務課からは『市有地にどういった経緯で駐車し始めたのか、カーポートがいつから建っていて誰が許可したのかその当時を知る職員が退職しており不明です。いずれにしても、正式な許可は与えておらず、この状況を正さなければならないと考えております』という回答です」
森本市議の口添えについてはあくまで周辺の証言でしかない。ただし裏付けるのが先週の委員会での発言。
「3月12日、予算特別委員会で森本市議は会計年度任用職員の雇用について発言していました。森口氏妹をフォローしたのは明白です」(前出オンブズマン)
親族への援護射撃か。しかも親族が市職員を車で狙い、市の所有地を無断で使用するという事実を森本市議はどう考えるだろうか。説明を求めたが返答はなかった。
森口氏を取り巻く背景は社会的にも難題といえそうだ。先の事情通氏は森口氏らについてこう漏らす。
「暴力団を抜けてから5年以内は反社とみなされる〝5年条項〟は厳しいとの批判があります。しかし私に言わせれば甘すぎますよ。5年経過すれば、一般人であっても〝昔の名前〟を使って威圧できますからね」
地域的な背景に加えて、元暴力団の迫力はまだ健在というわけだ。さらに難題は続く。
「仮に妹の雇用問題や市の土地の無断使用が解決したとしても土庫の区長は続けるでしょう。この地域で住民が開発許可を必要とする際、『妹を雇わんとハンコを押さへんで』と役所に迫る可能性もあります。仮に10月の職員襲撃事件がもう少し厳格な判決であれば状況は違ったかもしれませんがね」(同前)
これまで森口兄妹に振り回され続けてきた大和高田市役所。市政正常化のためには今が正念場といえそうだ。