二階幹事長が グリーンピア南紀 中国人実業家と「コロナ」でつながっていた!

三品純 By 三品純

政界屈指の親中派議員と言えば自民党・二階俊博幹事長。中国との深い友誼を示すエピソードとして2007年のグリーンピア南紀(和歌山県那智勝浦町・太地町)問題は欠かせない。破綻した同施設の再生事業の請負先は二階氏に斡旋された中国人実業家、蔣暁松ショウギョウショウ氏がオーナーの「香港ボアオ」。将来的には無償譲渡されるという異例の特約付き賃貸契約が同社と那智勝浦町の間で締結された。契約の不透明性と不当な条件は問題視され、国会の質疑でも取り上げられたほどだ。グリーンピア南紀問題は杜撰な年金基金の運用とともに二階氏の親中ぶりを示す実例として今でも語り継がれる。グリーンピア南紀問題から10年以上経つが二階・蒋両氏の関係はまだ続いていた。なんと今度はコロナウイルス支援を介してのことだ。

日本の資産を売る象徴的事件

かつて故・野中広務元官房長官は「あれ(二階)はいつまでも中国のお客様だ」と評したという。“お客様 ”か“ 真の友”か? 評価は様々であろう。ただ現状、最も中国とパイプが深い要人であるのは間違いない。

2015年5月、二階氏は自らの発案の下、そして「名誉団長」として総勢3216名もの「日中観光文化交流団」を率い訪中した。訪問団は「観光」を冠した通り、日本旅行業協会(JATA)など各旅行業団体が主催。子飼いの議員はもちろん北海道知事、埼玉、福井、奈良県知事といった自治体首長も参加。紛れもなくインバウンド促進を当て込んだ訪中だ。今でこそコロナウイルスの影響で中国人観光客は見かけなくなったが当時はいわゆる「爆買い」が話題になった頃。首長や事業者にとっては格好のプロモーションの場でもあった。

5月23日のレセプションでは二階氏とともに習近平主席が入場。訪中した議員によれば習主席は冒頭、論語の「友あり遠方より来る、また楽しからずや」を引用しながら両国の友好を語ったという。また二階氏は「日中関係を支えるのは民間レベルの深い人的関係だ」と日中交流促進を強調した。民間レベルの人的関係が意味するところは一つに「観光事業」があるだろう。観光分野に精通する二階氏らしい考え方である。

だが同氏が言う「交流」を純粋な意味や目的で受け取ることはできない。今から10数年前に中国系企業が起こしたグリーンピア南紀問題はある意味、二階氏の“枕詞 ”と言っても過言ではない。二階氏が保守派から「媚中」と揶揄されるのはこの問題に依るところが大きい。

日本医療国際化機構HPより。

グリーンピア南紀は旧年金福祉事業団(現年金資金運用基金)が約120億円の巨費を投じて建設したリゾート施設。いわば“国民の財産 ”である。しかし経営破綻後、再生事業は05年、那智勝浦町から香港ボアオが請け負った。当初、同社オーナー・蔣暁松氏は総工費57億円の「健康と癒やしの里」を建設する計画だったが事業は先送り状態のまま。未着手の状況が続いた。もとは中国・海南島リゾート事業で実績があったという評価の香港ボアオだったがペーパーカンパニーなどの実態が発覚。社員と言っても早川泰雄社長一名だった。

本来は複数企業が参加しての入札で請負先を決めるべきところ。だが二階氏の斡旋という背景からボアオ社が請け負った。しかも契約時には二階氏も同席したとも囁かれ不透明さは払拭できない。結局、同社関係者、二階氏からも十分な説明がないまま契約解除という形で終わった。

一説にはそもそも蒋氏らは開発する意思はなく、跡地の転売目的でグリーンピア南紀再生事業に乗り出したとの疑惑もある。この点は特に警戒が必要だ。二階氏は国土強靭化、公共事業分野で圧倒的な存在。なにしろ「那智勝浦新宮道路」は通称“ 二階バイパス”と呼ばれているほど。こうした土木畑に精通した二階氏だけにグリーンピア南紀跡地地価も予想できよう。何を言いたいのかはご想像にお任せするが、「日本が中国に買われる」実例として引き合いに出されるのも無理はない。

以上がグリーンピア南紀問題のあらましだ。現在の二階氏は党幹事長という要職にあり志師会の領袖である。党運営、対中関係においても影響力は絶大。現在、ポスト安倍を決める総裁選レースは菅義偉官房長官が有利に進めているが、これも二階氏の支持が大きい。

御坊市の二階事務所前。県内の政財界では圧倒的な存在。

一方、グリーンピア南紀問題で有名になった蒋氏。世界経済フォーラムのアジア版として中国政府の支援の下で創設された「ボアオ・アジア・フォーラム」の理事でもある。サポート組織として「日本ポアオ会」が2015年に結成され、二階氏が会長に就任。蒋氏も発起人として名を連ねている。こうした活動歴からして蒋氏は単なる実業家というよりも、中国政府の意を受けた対日外交要員といった方が正確かもしれない。

日中コロナ支援の裏にG南紀コンビが

二階&蒋周辺の動きが活発になったのはコロナウイルス感染対策だ。2015年に蒋氏は日本医療国際化機構を設立して自ら理事長に就任。また名誉理事長に二階氏、事務局の「事務長職」には香港ボアオの元社長、早川泰雄氏も名を連ねる。

テレビ、新聞などがアリババ創業者のマスク寄付を報道。同機構HPより。

中国企業に詳しい実業家によれば「日本のメディカルツーリズムや医療品が中国で関心が高まっており同機構がコンサルティング、仲介事業しようというのです。ただ医療を介した日中交流というよりは政治活動の仲介、交渉役と言った方が早いかもしれません。コロナウイルス感染対策が何より物語っていますよ」と話す。なるほど、メディカルツーリズムとくれば観光業界にも顔がきく二階氏も手が合いそうだ。そして同氏が言うコロナウイルス感染対策が物語るとはこのような意味がある。

同団体、というよりも蒋氏がメディアで大きく取り上げられるようになったのはマスク不足が深刻化した今年3月。中国電子商取引大手アリババグループの創業者、馬雲ジャックマー氏が日本の自治体、医療団体にマスクを寄贈したことは大きく報じられた。馬氏と日本の間を取り持ったのが日本医療国際化機構だ。

同社HPによれば

日中による新型コロナウイルス感染症防止協力の経緯

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が蔓延する中、自由民主党幹事長二階俊博氏と、アリババ公益基金会/馬雲公益基金会の会長であるジャック・マー氏は協力し、下記の一連の活動を行いました。日中共同で行った感染症防止の活動は、日中の友好の証であり、また、防疫の為に迅速かつ有効な役割を果たし、社会的な利益をもたらしました。

防護服
■2月2日 ジャック・マー氏は、二階氏と東京で面会し、日本から中国への防護服等緊急医療物資の調達と支援を依頼。

■2月9日 124,200枚の防護服提供を約束、その中の最初の物資が上海浦東空港に到着し、最前線で感染症と戦っていた武漢の感染症対策関連病院に直送。

マスク
■3月2日 日本国内での感染が加速したことで電話会談を通じ、馬雲公益基金会ならびにアリババ公益基金会は直ちにマスク100万枚を集めて日本に寄贈することにした。

■3月6日 マスク100万枚が日本に到着し、速やかに全国に配布された。

配布先:各都道府県、日本医師会、全国病院会、各地の医療機関等

■3月18日  追加で30万枚のマスクが日本に寄贈された。配布先:高齢者・子供施設、仏教団体など

ハンドブック
■4月1日 馬雲公益基金会とアリババ公益基金会は、【新型コロナウィルス感染症対策ハンドブック】の日本語版を編集し、当機構を通じて日本の感染症対策の第一線の各病院に配布した。同ハンドブックは、新型コロナウィルス感染症と戦っている現場の医療関係者に大変有用との評価を得ている。

「日本医療国際化機構」は、上記の内容及び関連活動の具体的な業務を全面的に遂行してまいりました。

二階氏の中国支援をめぐって詳細に記録している。また最後の一文も注目だ。「日本医療国際化機構」は、上記の内容及び関連活動の具体的な業務を全面的に遂行してまいりました、との補足説明通り、中国側のエージェントのような働きである。

同会のHPには二階幹事長と馬氏の書簡が公開されている。

尊敬する二階俊博先生

ごきげんよう。

過去1ヵ月間あまり、中国は最も困難な時期を経験しました。思い出すのは、日本で中国向けの医療物資をもっと見つけられるかとお願いに伺った時、あなたは私に「親戚が病気になれば助けるのは当たり前で、日本全国の力を挙げての支援を惜しまない」とおっしゃられた事でした。それから数日間、二階先生は自ら動かれ、125000着の防護服を日本中から調達して中国で最も必要としていた各地の医療現場へ送られました。以降、日本から無数のご援助と激励をいただき、中国は大変な感動と感銘を受けました。しかし、今度は私たちが最も見たくない事が発生しました。それは日本も途轍もなく深刻な局面になったことです。我々はこの困難は何を意味するのか、そして友人として今何をすべきかをよくかみしめております。この数日間で、我々は100万枚のマスクを緊急調達致しました。最も必要とされている先や地域へお送りください。日本での感染症防止の力添えとなり、いち早くウイルス拡大の状況に勝てる様願っております。マスクは馬雲公益基金会及びアリババ公益基金会が各地から調達してきました。これはアリババだけの気持ちだけではなく、多大な中国人民の気持ちでもあります。今回のウイルスが発生した当初、日本からどれだけのご支援を頂戴したか、我々は決して忘れる事はありません。今、我々は共に困難に陥っていますが、互いに助け合えば、必ず乗り越えられると信じております。日本のご安泰、中国のご安泰を祈願いたします!改めて感謝の意を申し上げます。そしてご健康でありますように!

                                 馬雲

尊敬する馬雲会長様

貴殿の手紙を拝受しました。日本ならびに日本国民に対しての御厚意に感謝致します。私もまた、貴殿の呼びかけに呼応し、共に、中国の新型コロナウイルスと闘う最前線の医療従事者に、迅速に防護服を送ることが出来たことは、まさに冥利に尽きることでした。残念ながら、日本においても新型コロナウイルス感染症患者が日本の複数地域で見られるようになり、感染拡大防止に向けて、政府、国民を挙げての戦いがまさに始まったところです。そのような状況下、貴殿の考えは誠に時機を得たものです。今回、頂戴したご配慮は、貴殿、貴社のみならず、中国の皆様の心そのものです。私は、親戚の人が病気になったような思いで中国を支援したいと申し上げましたが、貴殿や中国の人が同じように感じてくれていたということに感じ入りました。この助け合いの気持ちや心の交流が、これからの日中関係に強い基礎を模索をすることになるでしょう。頂戴しましたマスクは、あなたの友人でもある蒋暁松先生の日本医療国際化機構を通じて、責任を持って、必要性と緊急度が高い地域の医療従事者とその住民ならびに我々の関係者に届けて参ります。日中が力を合わせ、人と人が協力すれば、必ずこのウイルスとの戦いに勝利することが出来ます。そのために共に頑張りましょう。

                         衆議院議員 二階俊博

*時機を得た→「時宜を得た」の誤用かも。
直筆であろう署名も。

二階氏の手紙を見るとしっかり蒋氏についても紹介している。さすがにグリーピア以来の盟友と言うべきか。また書簡の画像下の注釈文にも「当機構理事長である蒋暁松は上記二人からの依頼を受け、関連活動に全面的に参加した」とアピールしている。

過去の活動歴からしても「医療交流」というよりも「政治活動」の臭いが漂う。

日本の名士になった。

そしてこれら支援活動や医療交流活動が認められたのか、蒋氏は春の叙勲で旭日中綬章を受賞した。有耶無耶に終わったグリーンピア南紀問題の当事者が叙勲というのだから驚くほかない。何らかの「政治力」が働いた、と邪推したくなる。グリーンピア南紀問題を経て現在、二階―蒋両氏は「医療」で結びつく。「ウイズコロナ」の時代、医療分野には政治、行政、投資、技術が集中する。政財界関係者が注目するのも当然だ。その点について異論を挟むわけではない。

ただ過去、グリーンピア南紀問題で名が浮上した両氏から十分な説明はなかった。そうした過去がありながら医療交流と言われても疑問がわくばかり。そこで蒋理事長、早川社長にグリーンピア南紀問題について質問状を送付した。すると同機構担当者から

「メールは受領致しておりました。当方にて検討の上、ご回答申し上げますので、少しお時間をくださいと早川が申しております」

という返信があった。どんな説明があるのか期待していたが後日、早川氏からは

「ご質問は、日本医療国際化機構とは関連がございません。また、随分と昔のことでもあり、お答えできることはないと存じます。面談もご遠慮させてください。ご理解を賜れば幸甚に存じます」

ということで文面の通り、取材拒否というわけだ。むしろ反応があっただけでも収穫と思えてしまう。また当時、同町職員としてグリーンピア南紀再生事業に関わったという現職町議を直撃してみた。蒋氏が日本医療国際化機構を設立し二階氏と関係が継続していることに驚いた様子だったが――

「もう昔のことだから記憶にありません。私が答える問題でもありませんし。もう聞かんといてください」

と腫れ物に触れたかのようだった。日中友好、交流はおおいに結構。しかし「友好」というべきならばこのような不信感を抱かせないようにしてもらいたい。

それからグリーンピア南紀問題を含めて全国の自治体にもこの際、言いたいことがある。情報公開制度を謳っておきながら税金は使います、ただしそのプロセスは明かせません、という事態があまりに横行しすぎやしないか。その象徴たる事件としてこのグリーンピア南紀問題は風化させてはいけない。加えて政界の大物、二階氏も絡む同機構の活動と動向は今後も注目しておこう。

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