学術・研究:部落探訪(187) 大阪市旭区清水4,5丁目 両国地区

カテゴリー: 部落探訪 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

今回は大阪市旭区の両国地区にやってきた。大阪市内とは言っても、ここは守口市との境界に近い。かつての部落の様子を明治期の地図で確認すると、都市部落ではなく農村型部落であったことが分かる。

昭和初期の戸数は110,1990年前後は160戸程度、それが2000年頃には110世帯に戻っていたと記録にはある。

最寄り駅は、この大阪メトロ今里筋線清水駅。駅のある部落と言えば住吉地区があるが、この清水駅は比較的最近できたもので2006年である。しかも、地下駅なのであまり目立たず、駅前商店街のようなものもない。

地図で今里筋線を見ると、両国地区の近くを通るように不自然に蛇行している。大阪市の同和行政に詳しい人物によると、これはやはり同和対策を意識していたそうだ。

しかし、駅前が同和地区の範囲に入るのかは不明である。見た目ではそうは見えない。また、もとは「世木せぎの皮多」と言われた小さな農村部落であり、清水4丁目と5丁目の境界の東端のごく小さな一角が本当の意味での部落の場所である。

その方向へと進むと、大阪市ではおなじみの、団地形式の同和住宅がある。

しかし、周辺は民間の集合住宅も入り混じっていて、大阪市内の他の部落とは明らかに雰囲気が違う。

同和や人権といった掲示物はない。

ただし、人権協会があった痕跡はひっそりと残っている。

何やら紅白の横断幕が見えてきたと思ったら。

やはり富士工務店である。大阪府内の未指定地区も含む部落の土地を狙って買っていると噂される会社だが、筆者にとってはそれはもはや推測ではなく確信に変わっている。富士工務店の分譲住宅があることから、この場所が部落で間違いないと感じた。

事実、ここは同和対策の公衆浴場である両国温泉があった場所で、跡地が民間に売られてこのように開発されているわけだ・

ここが昔からある西本願寺派のお寺、誓願寺。ここが部落の中心部だった。

寺の壁にはブルーシートが。寺の雰囲気から、檀家つまりは古くからの住民がかなり減っていることが推測できる。

ここはかつての解放会館。閉鎖されてしまっている。

解放会館の周辺は新しい家が建っている。ここが部落であり同和地区の中心部なのである。

開発道路とあるが、これは同和対策ではなく民間の力で道路整備がされたということだろう。

同和対策の診療所。ここも閉鎖されている。

その隣りにあったのが老人憩の家。

近くには青少年会館もあったはずだが、すでに取り壊されて開発されたらしく見当たらなかった。

周辺には空き地や古い家もあるが、古い家のほとんどは空き家になっている。これらもいずれ解体されて開発されるだろう。

空き家となったアパートと、その奥にある道路に接していない空き地。

両国地区は、大阪市内の同和地区の中でも、最も解放同盟支部が穏健であったという。都市の中の農村であることが住民の気質にも影響していたのかも知れない。それゆえか早くから住民が散逸し、他地域からの移住者も多く、融和が進んでいたという。

過去の記録にも不審な点がある。大阪市同和促進協議会の資料では1967年には527戸あったとされる。一方で江戸時代に記録ではわずか11軒の穢多村、1917年の記録では67戸とある。

本来は部落でない場所も同和対策の対象世帯に含めたり含めなかったりしていたのでは?

細い路地の痕跡が残る場所。この家にも人が住んでいるようには見えない。

これも空き地だ。やはり、古くからの住民はいなくなり、かなり住民が入れ替わっている。

大阪市内でも最も解放同盟の活動が穏健だった地域が最も融和が進んでいるのは皮肉なことである。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

学術・研究:部落探訪(187) 大阪市旭区清水4,5丁目 両国地区」への4件のフィードバック

  1. 某奈良県民

    いつも興味深く拝見しています。
    置かれた環境だけでなく、過去の人たちの運動や考え方、その他さまざまな要素で、部落でも現代に至ってはいろんな形に様変わりしてきているのが伺えて、とても面白いです。

    探訪先のリクエストをさせていただきたいのですが、
    隣接する守口市の、かつて指定地区であった梶北も、是非探訪よろしくお願いします。
    指定を返上しているという点で、摂津市鳥飼野々や藤井寺市林と共通するところですが、地元民はもう認識していないのか等、現在どのような状況なのか、興味があります。
    また、願わくば、守口市に隣接する寝屋川市の未指定地区と言われている、黒原(夙)、点野も探訪お願いしたいです。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      梶北を探訪候補に入れておきます。守口消防署東部出張所から金田公園の辺りですね。

      返信
  2. 熊のプーちゃん

    ほんと、仰る通りですね。
    橋本市長が介入して大阪市は本当の意味で解放されたのですかねー
    周辺市長村はまだまだですね。
    是非、北摂 泉州方面も宜しくお願いします。

    返信

関連記事

学術・研究:部落探訪(293)埼玉県 狭山市 柏原 下宿

柏原(かしわばら)の部落は高杉晋吾『部落差別と冤罪』で、狭山事件に絡めて引き合いに出されている。狭山事件との接点と言えば、石川一雄氏の友人で一度逮捕されたものの釈放された東島明氏がこの地区の出身である。 なお、石川一雄氏 […]

学術・研究:部落探訪(292)熊本県 熊本市 南区 城南町隈庄 萱木

熊本では数多くの部落を探訪する準備をしてきたものの、いろいろあって気がついたら日没が近づいていた。最後の探訪先に選んだのが萱木(かやのき)である。ここを選んだ理由は、たまたま今いる場所から近かったからである。 地名で言え […]

学術・研究:部落探訪(291)熊本県 熊本市 南区 日吉2丁目 7, 14

熊本では時間が限られていたので、どの部落を探訪するのか迷った。その中で選んだのが、比較的規模の大きな未指定地区と推定される場所である。現在の熊本市 南区 日吉2丁目7番地、14番地で、昭和初期は100世帯あったとされる。 […]

学術・研究:部落探訪(290)熊本県 菊池郡 菊陽町 原水 馬場

『各墓地で憤りをあらわに「死んでも差別が」熊本県知事が部落視察』という記事が、2004年11月15日のウェブ版解放新聞に掲載されている。当時の潮谷義子熊本県知事が「部落の人びとは死んでまでも差別をうけるのか」と憤りをあら […]

学術・研究:部落探訪(289 後編)熊本県 熊本市 中央区 本荘・春竹

前回に続き、熊本最大の部落、本荘・春竹を探訪する。 食肉業者が集中し、部落のステレオタイプに合致する部落らしい部落なのだが、少なくとも現在は運動は盛んとは言い難い。むしろ、部落だの同和だのといったことは、既に終わったこと […]

学術・研究:部落探訪(289 前編)熊本県 熊本市 中央区 本荘・春竹

熊本県で最大かつ最も有名な部落と言えば本荘・春竹地区である。昭和初期の記録では本荘111戸、春竹307戸とされる。 2016年に日本テレビで「いのちいただくシゴト 〜元食肉解体作業員の誇りと痛み〜」というドキュメンタリー […]