ハングルのスローガンが掲げられ、香ばしい焼肉の煙りが立ち、朝鮮舞踊が披露される。11月13日に開催された「創立60周年朝鮮大学校学園祭2016」(東京都小平市)の光景だ。同大の学生は、もちろん朝鮮中高級生、保護者、卒業生、支援者が集う一大イベント。また普段は、入場が制限され“レアスポット”な上、焼肉、チヂミなどの朝鮮料理が安価で味わえるということで朝鮮文化マニア、B級グルメマニアも訪れ、場内は大変な活況となった。キャンパス内は、まさに日本の中の「朝鮮半島」という様相である。
金日成を讃えるスローガン
当日、最寄り駅の西武国分寺線「鷹の台駅」から朝鮮大学校に向かう。この日は、鷹の台駅から朝鮮大学校までの道のりに警官が配置され、正門前には機動隊を乗せる遊撃車が常駐しており緊迫感があった。教職員によると警察当局が在特会などの右派団体、民族団体の襲撃を想定し、警官を配置したのだという。しかし校外の緊迫した様子とは、変わり大学内はお祭りムード一色だ。入場料は無料。ただ屋台で飲食物を買うなら抽選券付き食券(ひと綴り500円)が必要になる。とりあえず1000円分を買って入場した。
同校で最も大きい校舎「第一研究棟」の前に設置された特設ステージで午前、午後の部に分かれ様々なショーが行われた。そのステージ前にテーブルと椅子があって、飲食飲酒をしながらショーを楽しむ。
第一研究棟の屋上にハングルでスローガンが設置されている。スタッフの現役生たちにその意味を尋ねると「私たちの偉大な首領 金日成、と書いてあります」と教えてくれた。ついでに「金日成ってあなたにとってどんな存在?」などと聞いてみる。「ええ? どんな人? 昔のえらい人って感じですか」といった感じ。
なんでも第一研究棟は、金日成の支援で建設されたために、感謝の意味を込めてスローガンが設置されたらしい。その他の学生、関係者にも金一族について聞いてみたが、この手の話になると態度が硬化してしまう。さらに朝鮮大学や朝鮮中高級学校と「朝鮮総連」の関係について問うと、一様に当惑の表情を浮かべていた。
韓国籍者が8割という内情
キャンパス内は、たいていの場所へ自由に行けた。第一研究棟左奥にある「朝鮮自然史博物館」「朝鮮歴史博物館」にも入場できた。入ってみると両館ともに入口に金日成の絵画と訓話のようなものがある。「歴史を学び民族の誇りを高める」そんな意味だそうだ。展示されている文化財は、本国から送られてきたものも多いらしい。レプリカや模型も多く、歴史的、資料的価値がどの程度のものかは、分からない。1441年に作られたという「測雨器」(レプリカ)には「世界最初」と記されている。“世界最初”という但し書き、これがある意味一番、「朝鮮文化」らしさを感じた。
博物館前には朝鮮学校の権利闘争、民族運動の歴史が展示。説明してくれた学生によれば現在の朝鮮大学校の学生は8割が「韓国籍」だという。この理由について明確な説明はなかった。ただ現在の在日社会は、韓国籍の方が朝鮮籍よりも多いため、必然的に「韓国籍者」が多くなるという分析も聞いた。学生の中には、日本人もいるらしい。親が朝鮮学校の支援者で学生本人の希望以上に親の意思が強いそうだ。原則、全寮制のため学生らは、みな家族兄弟のようなムードだとか。彼らの持つ強い連帯感は、民族意識とともにこの寮生活でも養われるのだろう。
寮には、入ることはできないものの、寮の周辺は散策できた。一昔前の公営の団地風の造形で洗濯物が干してあり生活感がにじみ出ていた。その先に進むと個体数が希少という「クロツラヘラサギ」が飼育されている鳥小屋と売店がある。売店は、レアものが販売されていると思いきや、大半は日本製の食品や文房具である。朝鮮大学校と印字されたレポート用紙とボールペンを購入してみた。
キャンパスは焼肉屋状態
学生たちを見て驚くのがとても美男美女が多いことだ。単純に「顔立ちが整っている」そういう意味の美男美女ということ以上に礼儀正しく、とても溌溂として爽やかだ。トイレの場所を尋ねただけで「ご案内します」という律義さ。本来、学園祭は娯楽以上に、対外的なアピールの目的もあるから一生懸命なのかもしれない。にしても純粋さや清々しさのようなものを感じる。90年代、日本から関係修復や対話を目的に日本の衆参両議員が訪朝した。自民党の元副総裁、金丸信は後に北朝鮮に取り込まれた政治家として検証報道などで取り上げられる。しかし朝鮮大学校の雰囲気を見るに“ミイラ取りがミイラになる”ということになっても仕方がないとすら思った。
舞台を移して、今度は、ショーや屋台料理に目を向けた。当初、政治向きの話を聞こうと思って参加してみたのだが、いつの間にかそういう目的が吹き飛んでしまった。なぜなら単純に面白くて楽しいらだ。舞踊やテコンドー、空手などの演武、「ビビンバレンジャー」のパフォーマンスなどステージでは代わる代わるショーが行われる。それを見ながら、みな焼肉などを味わっている。
焼肉と言っても調理済みのものを買うのではなく、七輪が用意されカルビ、ホルモンなどの生肉を自分たちで焼く。本格的炭火焼肉というわけだ。だからあちこちで香ばしい煙が立っている。場内は、まさに焼肉屋状態。屋台もいくつかあるが、最も長蛇の列ができたのは「ばかたれ焼き」(400円)だ。鶏肉に「秘伝のつけダレ」というコチジャン風のタレに付け込んだものを鉄板で焼く。大久保あたりの韓国料理屋顔負けの味わいである。またチヂミ(200円)、のり巻き(300円)、ハチノス(300円)どれも安くて旨い。
最後は、メインイベントというべきショーが「チョゴリファッションショー」。現役の学生が艶やかなドレス風のチョゴリを着て、ステージを“モデルウォーキング”する。この日、一番歓声が挙がったイベントだった。そして最後は、学生らの合唱でフィナーレ。まる一日、十分に楽しめる内容で、取材のつもりが真剣に楽しんでしまった。確かにここで見た学生らの純粋さやひたむきさは、素晴らしい。ただその一方で、今年建学60周年を迎え、5月の記念行事では、「朝鮮大学内で米日帝国主義を壊滅できる力をより一層徹底的に整える」という文書を送付したことも判明している。学園祭で見た友好ムードと水面下にある敵対心。果たしてどちらが朝鮮大学校の「実相」なのか今後も動向を見続ける他ない。
在日韓国籍だと日本からの出入国が自由なのに対し、
在日北朝鮮籍だと日本への再入国がムズカシイなどの、
北朝鮮国籍への日本政府からの締め付けから逃れようと
北朝鮮籍から韓国籍に移す在日の方が多いようですね。
本人が自由に行き来できない国家間での国籍移動を、
日本で変えることをカンタンに認めるなんて
おかしな話ですね。
血統論か。そういえば、あなたの祖先はどこの人?中国人?朝鮮人?なのにお前みたいなやつらが日本人と名乗るのは、普通に考えておかしくない?本当に頭使ってるん?
日本にある北朝鮮、という感じですね。
普通の学園祭なら火を使うのさえ厳しいのだけど、ちゃんと許可を取っているのだろうか。
どこの許可が必要になりますか?