実録・淡路島5人殺害事件(3)彼女との交際と破局

By 宮部 龍彦

※写真は平野達彦が生活保護を受けながら暮らしていたアパート

2011年6月に明石病院から退院した平野達彦は、生活保護を受けながら通院しつつ、明石市内のアパートでひとり暮らしを初めた。この頃は、病状は安定しており、あまり問題は起こさなかった。

しかし、2013年6月頃から、電磁波攻撃を受けているといったメールを頻繁に母親に送るようになった。母親は精神病患者の家族会で精神科医に相談し、その結果再び2ヶ月ほど明石病院に入院した。平野達彦は「お前が(精神科医に)メールを見せたから入院になったんや」と母親に不満をこぼしていたが、この入院が彼にとって転機になった。平野達彦が病院で知り合った女性と交際し始めたのである。

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平野達彦は彼女との交際を嬉しそうに母親に報告した。彼女とは電磁波攻撃といった類の話はせず、結婚も意識していたようである。彼女との交際で、再び病状は安定し、インターネット上での電磁波攻撃等を訴える情報の発信も小休止していたような形跡がある。ただし、相変わらず「反戦活動と精神工学戦争の存在を訴える活動」として、同様の主張をする人々の集会に参加したりしていた。

病院から交際を知らされた父親は不安に思い結婚に反対したが、母親の方はやがては結婚し、それにともなって平野達彦が落ち着くことを期待していた。

しかし、幸せな日々は長くは続かなかった。2014年9月、突然彼女が覚せい剤に関する容疑で逮捕されてしまった。

ただし、本人によればこの逮捕が彼女との破局の原因になったのではなく、逮捕の少し前に既に別れていたという。その理由について裁判の中で、「視覚レベルの盗聴があった」「彼女との交際が視覚的に盗聴され見られているから別れた」と不可解な説明をしている。

実際、平野達彦は2014年8月に再びネットでの活動を活発化させている。これは、彼女との交際を優先してしばらく活動を控えていたとも考えられる。

ともかく、彼女との破局をきっかけに、再び平野達彦の状態は急激に悪化した。ウェブサイト、ツイッター、フェイスブック等で「テクノロジー犯罪」を告発する活動が激しくなった。

平野達彦は自民党、「右翼勢力」、警察等が「集団ストーカー犯罪とテクノロジー犯罪」を行っていると主張し、「 一般市民・左翼勢力・近隣諸国・イスラム勢力・黒人勢力 」に協力を呼びかけた。

それと同時に、 両親に再び金を要求するようになった。 その目的が警察に逮捕された彼女を助けるための費用というのであるから、なんだかんだで彼女に未練があったのかも知れない。しかし、度重なる奇行と金の要求耐えきれなくなった両親は、ついに平野達彦との連絡を絶った。そして、さらに破滅へと突き進んでいく。

2014年12月末、家賃の滞納で明石市のアパートを追い出された平野達彦はネットカフェを転々とした後、何とか両親に連絡を取り、再び実家の離れに転がり込んだ。事件の約3ヶ月前のことである。父親は、平野達彦に対し、週に5000円と米2升だけを与えた。

そして、それとほぼ同時期に隣人への計画を計画していたようである。同年12月25日に「親族を殺害され復讐で加害者を殺した場合の懲役は何年ですか?」という「教えてgoo」の質問ページをブックマークし、通販サイトでサバイバルナイフを注文している。

平野達彦、最後のメール

事件の直前、平野達彦のネット上での「告発活動」はますます激しくなった。ツイッターのアカウントでは、毎日のようにひっきりなしに情報が発信されている。

平野達彦のツイッター

平野達彦の離れには自身が母屋から電気を引いていたが、水道は通っておらず。トイレや炊事はバケツに入れた水、風呂は銭湯に行くか母屋の風呂に入っていた。

2月、家の近くに落雷して停電すると、平野達彦は「電磁波攻撃の証拠だ」とわめいた。それに対して、父親はそんなことはないとなだめた。

この頃も、父親は洲本市に相談し、病院に行くように何度も本人に言ったが、彼が病院に行くことはなかった。また、表面上は暴力を振るうなどの自分や他人に危害を加えるような行為を行っていなかったため、強制的に入院させることもできなかった。

3月7日、平野達彦は風呂に入りたいと窓越しに父親に声をかけている。これが父親との最後の会話となった。

実は、犯行直前に平野達彦が自身のPCからある団体に送ったというメールを本誌は独自に入手した。他にも同団体に送られたメールがあり、その中には平野達彦の生い立ちや犯行に至るまでの過程に関わるものがあるので、本シリーズでさらに公開していく予定である。

時刻は午前3時頃で、平野達彦は犯行直前に夜通しでインターネット上での活動をしていたことが分かる。そして、そのメールに添付されていた資料がこれだ。

そして、このメールが送信されたわずか1時間後、2015年3月9日午前4時、凶行が行われた。

(次回に続く)

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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実録・淡路島5人殺害事件(3)彼女との交際と破局」への4件のフィードバック

  1. すずき

    警察署に用事足しにいった折り遭遇した方。
    待合場にすわりこんで警官相手になきじゃくっている男性が
    「自衛隊員が屋根裏にいて困っている」「電話もなにも全て自衛隊が盗聴している」「110番しても裁判所に電話しても誰も助けてくれない」と頭抱えて訴えていた。

    明らかな精神疾患であってもそのまま病院に連れていけない…のでしょうね。
    なにをどうすればいいのでしょうかね。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      そこが今の法律で空白の部分です。本当に危険な状態にならないと措置できなくて、しかもそれは事実上身体を拘束するものです。
      もっと緩やかに通院、投薬をさせるということができません。

      返信
  2. .

    「集団ストーカー 探偵」などの語で検索すると、統合失調症患者の妄想をビジネスチャンスにした探偵事務所のサイトがごろごろ出てきますね。

    要は、キチガイに同情するふりをしてカネをふんだくっているわけで、ある意味では平野より悪質です。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      問題にされて度々記事になりますが大手メディアは触れません。
      https://news.livedoor.com/article/detail/13720373/
      夕方のニュースで、時々盗聴器除去業者の特集がありますが、あれもそういうビジネスだと言われてます。
      精神障害がタブーというだけでなく、そういったところから広告費が出ているでしょうね。

      返信

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