立憲民主党は9月11日に新執行部を発表したが、「旧民主党・野田政権の末期」と揶揄する声も。立民の人材不足を物語る陣容だが、地方組織でも謎の人事が起きていた。今月15日、立民和歌山県連は定期大会で新役員を発表したが、当初予定された「会計監査」はなんと自民党の衆院比例候補。これに党内外から疑問の声が噴出している。
野党初の予備選挙に泣いた和歌山県連
議席の上では確かに野党第一党でも政党支持率では参政党の後塵を拝する立憲民主党。衆院選、参院選いずれも大敗の自民を追撃するチャンスのはずだが、立民には上昇ムードを感じない。目立つと言えばSNS上で他党や著名人に〝ウザ絡み〟する一部国会議員。
他方、地道な活動を続ける地方議員もいるが、明らかに党本部の失策だったのが夏の参院選和歌山選挙区だ。当時、立憲民主党と日本維新の会は和歌山と岐阜両選挙区で候補者の一本化に踏み切った。当時、筆者もレポートした。
【参院選】和歌山‐岐阜選挙区「立維」が候補者一本化で高笑いは自民党 泣くのは立憲民主党⁉
野党間初の予備選の結果、和歌山選挙区は日本維新の会所属の前県議・浦平美博氏、岐阜選挙区は立憲民主党の服部学氏が統一候補になった。
和歌山選挙区では立民・村上賀厚氏を擁立し、事前調査では2位につけていたが、党本部の方針で浦平氏に譲った格好。立民県連側がこの決定に不快感を露わにしたのは言うまでもない。なぜなら地元で浦平氏は〝要注意人物〟だ。
案の定、浦平氏は教員時代の生徒への暴行事件が報じられた他、当サイトも同氏の公選法違反の疑いを指摘した。結果、浦平氏は惨敗。
浦平氏ではなく共産党候補に投票した立民支持者も少なくなかったという。各県の実情で候補者を選定するのではなく、杓子上記に野党間の「予備選」にこだわった党本部の失態である。
そして今月11日の党本部新体制に次いで同党和歌山県連も15日の定期大会で新役員を発表した。同大会で配布された新人事案で不可解な事態が起きていたのだ。
新役員「会計監査」が空欄
定期大会では新代表に和歌山市・山路恭世市議が選出された。副代表には参院選候補を降ろされた村上氏、また副幹事長には立民らしく人権活動家の要由紀子氏、常任幹事には連合傘下の労組役員がズラリだ。
一方、前代表の山本忠相和歌山市議が「相談役」というのは参院選統一候補に難色を示したことへの報復人事とみられている。しかし配布された人事(案)にはなぜか空欄箇所があった。会計監査が「選考中」とあるのだ(写真参照)。ある人物が就任予定だったものの寸前の〝ドタキャン〟で流れた。何が起きたのか。

地元事情通が内幕を明かす。
「会計監査は昨年、衆院選近畿ブロックの自民党候補で、実業家の吉田起代子氏が就任予定でした。アナタも報じた人物ですよ」
確かに筆者は吉田氏について昨年10月25日の記事でレポートした。親族が二階俊博氏の支援者で地元では動物保護の活動家として知られる。政治歴はないものの、自民党の比例候補に選ばれた。
吉田氏は現在も自民党衆院選の比例候補であることには違いない。公認を返上したならともかく現役の自民党候補が立民の役員とはありえない話だ。本来、提出される役員案には吉田氏の名前が掲載されていた。

取材した地元記者も首を傾げる。
「山路代表自ら吉田氏にオファーしています。しかも代表就任の2日前にです。そこで吉田氏が自民県連に比例候補の立場で立民の会計監査を兼任するのは可能か問い合わせたところ〝どちらかを選ぶよう〟と指示されました。比例候補を選んだ吉田氏が〝ドタキャン〟ということで会計監査は未定のまま定期大会を迎えたのです。依頼する方も一度は受けた側も非常識な気がします」
定期大会には野田佳彦党代表も出席して講演を行った。その席上、意外な顔が…。
「会計監査を断った吉田氏ですが、なぜか大会に出席していたんですよ。中には立民役員に〝あの人(吉田氏)、自民の関係者じゃないですか〟と訝る記者もいましたね。講演終了後には野田代表に挨拶する吉田氏の姿が目撃されていました」(同前)
なぜ自民の衆院候補である吉田氏を山路新代表は重用するのだろう。
山路氏と吉田氏、店子で動物愛護NPOの仲間だった
先の事情通は「山路代表と吉田氏はビジネスパートナーといってもいいでしょうね」と関係を明かす。
「山路氏は吉田氏が運営する『NPOワンダフル二度目のいのち』の理事なんですよ。また吉田氏が所有するビルでおにぎり屋さんを経営しています。つまり山路氏は店子であり、動物愛護仲間でもあります。その関係から会計監査を依頼したのでしょうね」(同)
よく立民側も許したものである。定期大会に人事が間に合わなかったのも失態だ。それも自民党と天秤にかけられたとあっては立民の面目丸潰れではないか。
山路氏に意図を質問してみたが応答はなかった。
代わって吉田氏が説明する。
「山路さんのことは市議選に立候補した時から心底応援してきました。私が運営しているNPOの理事に入ってくれているので日頃から仲がいいのです。立憲とは関係がない人が会計監査になって中立的な眼で見てほしいと依頼されました。そこで自民党側に比例候補と兼任できるのか確認したところ〝今、立憲民主党に行くと打撃になる。自民の方に専念してほしい〟と言われました。これを山路さんに伝えて会計監査を辞退したのです」
要するに党を超えたお仲間というわけだ。吉田氏の説明では「やむを得なく辞退」というニュアンスだが、比例区と立民の会計監査職を天秤にかけたという証言もあった。
「私はもう選挙に出ることはありません」(同)
しかし名簿に名を連ねている以上、可能性がゼロではない。
「当選はありえないでしょう。党からは〝野党との共闘も考えるから立憲に行くのはもう少し待ってくれへんか〟ということでした」(同)
確かに比例近畿ブロックの下位ではよほどの大勝でもない限り当選はないだろう。しかしそこは〝心意気〟の問題だ。たとえ可能性が低くとも政治家を志す候補者を入れた方がいいのではないか。また立憲民主党・山路代表もお仲間でなおかつよりにもよって自民党の候補に役員を依頼したのは大失態。代表に就きながら人脈は乏しいようだ。
立憲民主党はよほど人材難なのか。支持率が低迷するのも無理はない。
立憲民主党、人材不足に陣痛を抱いてるんだね。和歌山県連での山路新代表の「人事の謎」は、まさに「ドタキャン」の連続。吉田氏が自民党候補として立民の役員に? それはまるで「どちらのボスに仕えるか選ぶ」ゲームの展開みたい。山路氏と吉田氏の「NPO仲間」関係が原因か? まあ、政治は「心意気」の世界だけど、比例候補の「心意気」ってのはなかなか読み難いものだな。立民も、この「人事のクセ」を直さないと、支持率の低迷も仕方ないのかもしれない。まあ、少なくとも「ウザ絡み」する国会議員よりはマシか…か?app đếm ngược thời gian học