訴訟進行状況 2025年1月22日現在

カテゴリー: 全国部落調査事件, 訴訟 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

筆者の関係する訴訟等について、現在の状況を報告する。

全国部落調査裁判では賠償金差押えをめぐる争いが続く。新潟地裁の情報公開訴訟(糾弾会関連)では執行停止が解除され文書が公開され、控訴は取り下げとなったが、解放同盟から訴えられた別件では閲覧制限が乱発されている。川崎市の同和相談窓口公開訴訟では、同和会と解放同盟関係者への尋問を申し出た。

全国部落調査裁判の賠償金

これは揉めている。とりあえず、差し押さえを行っている債権者に相当する賠償金額を代理人の口座に振り込んでおいたが、受領書が返送されない状態である。

まず今回の判決は法律の枠外で出されたものであるし、数万円の債権を根拠に私に動産執行をかけたことは裁判所も相手代理人も合法という考えのようなので、私は「法律の枠内」で対処するつもりである。

次回は2025年3月14日に横浜地裁相模原支部で非公開の審尋が行われる。

さいたま地方裁判所

移送を求めた申立は却下され、それに対する抗告も棄却された。したがって、裁判所を横浜に移すことは認められず、今後はさいたま地方裁判所で訴訟が続行される見込みである。次回期日は決まっていない。

新潟地裁(糾弾会関連文書の公開)

情報公開の「執行停止の停止」を求めた訴訟だが、2025年1月16日に却下判決が出されてしまった。過去に執行不停止は行政訴訟の対象となるという判例があったのだが、「執行停止」については原則として行政訴訟の対象ではないと判断した。

控訴審では、情報公開は速さが大切であり、一時的な措置でも長期間続けば重大な不利益になる、と筆者は改めて争った。

しかし、新潟県教委は情報公開審査会の答申に従って、2月17日に執行停止を終了する裁決を行い、2月21日、問題となっていた文書を公開した。この場合、法的には「訴えの利益がない」ということで控訴審も却下されることが確実なので、取り下げ書を東京高裁に送付した。

ともかく、文書の部分公開を履行させるという目的は達成したので、この裁判は終了である。

新潟地方裁判所(解放同盟から訴えられた件)

こちらは2024年3月5日に口頭弁論を控えている。14:00開廷の予定だが、裁判所によれば解放同盟関係者100人以上が押しかけるので、傍聴券は抽選になるということである。傍聴券の抽選は12:50から受付開始なので、傍聴したいのであればそれまでに裁判所に訪れる必要がある。

一方で、裁判所が閲覧制限を乱発しているので、筆者はその問題に対処した。

まず筆者(被告)が、新潟地方裁判所で出された閲覧等制限の決定に対して特別抗告を行った。しかし2025年1月29日、裁判所は「被告である筆者にはその決定を不服申し立てする利益がない」と判断して、この特別抗告を却下した。ということは、被告側は被告の判断で書面をネットで公開して、それに対して何か言われたら都度争えばいいということになる。

次に、閲覧等制限の決定自体を取り消そうとする申立が別途なされたが、2024年2月19日に「当該部分には、原告らの私生活に関わる重大な情報が含まれており、公開すれば社会生活に著しい支障を生じる恐れがある」とされ、こちらの申立も却下された。つまり、原告の住所や被差別地域の地名などが訴訟記録に記載されているため、裁判所は制限を正当と認め、取り消しを認めなかったということである。

いずれも裁判所は被告の意見を聞かずに判断しており、事実上判決を先取りするようなものである。このようなことは今までなかったので、口頭弁論は紛糾するかも知れない。

横浜地裁(川崎市の同和相談窓口公開を求める訴訟)

原告(示現舎)は川崎市を相手取り、情報公開の不開示処分を取り消すよう求めた。原告の主張は「公費が投入されている以上、団体の代表者や相談員の氏名・住所なども“事業を営む個人に関する情報”として公開されるべきであり、プライバシー保護の対象とはならない」というものである。また、部落解放同盟や全日本同和会への批判的コメント(「総会屋と同じ」など)は誹謗中傷ではなく、表現の自由の範囲内だとしている。

一方、被告(川崎市)は「相談員は団体に雇用された立場であって、個人事業主とはいえない。さらに氏名や住所を公開すれば、その人物が同和問題にかかわるとみなされ、嫌がらせや迷惑行為を受けるおそれが高い」と反論した。実際にインターネット上では差別的な書き込みが見られ、印影(押印のかたち)が公開されることで偽造文書が作られる危険性も指摘している。よって「不開示処分は適法であり、公開すれば権利侵害が起きかねない」との立場をとっている。

原告は「他の自治体(座間市など)では類似の人権関連団体の補助金資料を全面公開しても何の問題も起きていない」と再度主張し、被告が主張する危険性は誇張だと反駁。被告側は「これらの情報が悪用され、団体や相談員が被害にあう可能性は十分にある」と重ねて主張している。双方は「事業を営む個人」に当たるかどうか、プライバシーと情報公開のバランス、そして嫌がらせなどのリスクの現実性を巡って鋭く争っている、というやりとりである。

この裁判の中で、裁判官が、同和団体に対しては情報公開において特別な扱いをする判決を出そうとしていることを示唆する発言があった。そのため、そもそもこれらの団体は同和地区とは無関係であることを証明するために、全日本同和会川崎支部と部落解放同盟川崎支部およびそれぞれの県連の役員を尋問するように申し出た。認められるかは未定である。

裁判など前回のイベント今後の予定
東京地方裁判所(原審)
2016年4月19日 提訴
平成28年(ワ)第12785号 他
原告 解放同盟 外211名 他
最高裁判所(係属)
2024年11月24日 記録到達
令和5年(オ)第1710号
令和5年(受)第2187号
原告 解放同盟 外234名
関連文書
2024年12月4日
双方の上告の不受理を決定
2025年3月14日 10:00
横浜地裁相模原支部
審尋(非公開。仮差押関係)
大阪地方裁判所
2023年11月6日 仮処分命令申立
関連文書
2024年7月8日 提訴
令和6年(ワ)第6807号
原告 解放同盟大阪府連 外1名
関連文書
2024年10月30日
移送申立却下
2024年11月6日
即時抗告(移送)
2024年12月5日
抗告棄却(移送)
2025年3月5日
被告答弁書提出
2025年3月12日 15:00
大阪地方裁判所 202号法廷
初回口頭弁論
さいたま地方裁判所
2023年12月6日 提訴
令和5年(ワ)第2913号
原告 解放同盟埼玉県連 外1名
関連文書
2025年1月24日
抗告棄却(移送)
期日未定
新潟県情報公開審査会
(A)公開決定の取消請求
2023年7月31日 審査請求
請求人 解放同盟新潟県連
(B)公開範囲の拡大請求
2023年8月15日 審査請求
2024年12月27日
情報公開審査会答申(B)

期日未定
(B)の審査が係属中
新潟地方裁判所
2024年1月19日 提訴
令和6年(行ウ)第1号
被告 新潟県
関連文書
2025年1月16日 10:00
却下判決
2025年1月24日
控訴
2025年2月22日
控訴取下書
控訴取り下げにより終了
新潟地方裁判所
2024年1月24日 提訴
令和6年(ワ)第23号
原告 解放同盟新潟県連 外3名
関連文書
2024年12月6日
抗告不許可(移送)
2024年12月27日
閲覧等制限
2025年1月9日
閲覧等制限に対する特別抗告

期日未定
特別抗告理由書提出(閲覧制限決定2件)
2025年1月13日
閲覧等制限決定取消申立
2025年3月5日 14:00
新潟地方裁判所 1号法廷
初回口頭弁論
横浜地方裁判所
2024年4月6日 提訴
令和6年(行ウ)第19号
被告 川崎市
関連文書

2025年1月15日 11:00
横浜地方裁判所 502号法廷
第3回口頭弁論


2025年3月24日 10:30
横浜地方裁判所 502号法廷
第4回口頭弁論
本サイトに関連する裁判などの一覧

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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訴訟進行状況 2025年1月22日現在」への1件のフィードバック

  1. .

    全国部落調査裁判の賠償金について「差し押さえを行っている債権者に相当する賠償金額を代理人の口座に振り込んでおいたが、受領書が返送されない状態である」ということは、片岡に対する数万円の賠償金を代理人弁護士(指宿? 中井? 河村?)の口座に振り込んだということですね。

    原告の自宅を一軒一軒訪問して支払えば部落探訪が捗るのではないでしょうか?
    #7e630f37aade1e32e31be04c542c38e2

    返信