【世田谷区】保坂区長自宅の違法建築問題 公図を見ても一目瞭然 接道義務違反逃れで隣接地を購入

カテゴリー: 地方, 政治, 行政 | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

世田谷区・保坂展人区長の自宅(狛江市)が建築基準法違反だとして区議らから追及されている。11月5日、会派「無所属・世田谷行革110番(F行革)」の区議らが都庁で記者会見を開催し、公図などを交えて区長宅の違法性を訴えた。保坂氏は週刊誌に〝地面師〟と報じられたことに不快感を示すが、関係資料からも悪質な印象は払拭できない。

保坂スキームが許されるなら都心に家が持てる!

狛江市と世田谷区の境目に建つ保坂邸。

【世田谷区】〝永遠の反体制少年〟保坂区長自宅が違法建築 追及区議を妨害する旧社会党の亡霊たち

東京23区や横浜市、川崎市の住宅密集地には「再建築不可物件」が存在する。不動産情報などをみるとたまに格安で中古住宅が販売されているが、それは新築不可だからだ。仮にリフォーム工事だとしても実質、新築同然の費用が必要となる。

狛江市の自宅は世田谷区とのほぼ境目にあり最寄駅は小田急「喜多見駅」(同区喜多見)だ。その住宅密集地に上から見るとまるでドーナツのような形状の家屋がある。これが保坂邸だ。建築基準法では幅4m以上の道路に2m以上接していない住宅の建築を禁じているが、同宅は接道義務違反の状態で建設されたと批判されてきた。

経緯は以下の通りである。前回も触れたが要旨を再掲する。

1985年、保坂氏がフリーライター時代に再建築不可物件だった中古物件を購入。1992年、保坂氏はこの家を取り壊して新築。先述した通り接道問題をクリアするために、自分の敷地に他人の土地を算入して申告。さらに、 容積率と建ぺい率を規定より大幅に増やし、敷地目一杯の巨大な家を建ててしまった。建築許可が下りるよう他人の隣接地を保坂邸の敷地に偽装したということだ。

こうしたやり方が通用するならば都心でも戸建て住宅を建築できる可能性が高まる。保坂氏だけが許されるというのは不公平だ。

こうした方法を写真週刊誌「FRIDAY」が〝地面師〟と例えたが言い得て妙だ。保坂氏は自身のSNSでも「全くの事実無根であり、到底看過できるものではありません。運営する株式会社講談社には、引き続き厳重に抗議し、訂正をもとめてまいります」(11月5日Facebook)と訴えたが、果たして全くの事実無根なのか以下の資料をご覧頂きたい。

検査済証がないって大丈夫?

記者会見で配布された資料から1991年12月17日に発行された「台帳記載事項証明」をご覧頂こう。

敷地面積が233.38 ㎡、建築面積 62.41 ㎡、延べ面積116.25 ㎡。ところが現在の登記簿によれば敷地面積は114.94 ㎡。つまり申請時は敷地を大きくし接道しているように見せたが、実際の家屋の敷地は半分以下だ。

そして不思議なのは住宅の検査済証がないことだ。検査済証の発行年は「記載なし」とある。補足すると検査済証は建築確認、中間検査、完了検査で合格した建物であることを証明する書類。中間検査は阪神・淡路大震災を契機に導入された制度のため保坂邸建設時は必要がない。

ただし検査済証がないということは住宅の完了検査を受けていないということなのか。となるとどうやって登記をしたのか不思議だ。

1992年に発行された住宅地図の保坂邸はその後の新築工事で1995年頃には現在のような形になる。

1992年発行の住宅地図。
1995年の住宅地図。
1992年頃の公図。
2025年の公図。

  旧家屋を新築するにあたり、保坂氏は接道義務違反を免れるために、隣地(世田谷区)を借りて自宅の敷地とした。この点については保坂氏も認めた上で「書面で契約を交わしていな い」と答弁。しかも地主とは口約束で無償だったという。現在、この土地は駐車場となり、家屋も建っているが、そもそも一貫して保坂氏の土地ではなく、あくまで地主の土地のまま。

今からおよそ30年前の話だが、それもでも契約書もなしで土地を借りたというのが不思議だ。そして建築確認の時だけ他人の土地を借り、接道義務や建ぺい率、容積率といった制限をクリアするというのは30年前にしてもありえたのか謎が尽きない。

いずれにしても一時的にタダで借りた土地を自宅敷地として申請して新築許可を得た。明らかに脱法行為ではないのか。

保坂邸問題、区議会は問題視しない方向か

11月5日の記者会見の後、7日にはみやかおり区議に対する懲罰特別委員会が開催された。みや氏は保坂邸問題について議会で追及していた大庭正明区議に対して「区長のプライバシーを侵害しており聞くに堪えない。不快に思う区民がいるので委員長から注意してほしい」と発言したという。

「議会での質問を妨害する行為」として、大庭区議が懲罰要求。先月17日に懲罰特別委員会が設置された。前回の記事では議会関係者のこのような証言を紹介した。

「大庭区議が属するF行革は当然、賛成。また公明党会派も、羽田氏の暗躍やみや氏の言動について問題視しているようです。立無愛と共闘している共産党は反対するでしょう。後は自民党です。世田谷区自民党は一枚岩でないため、態度はバラバラです。政治理念は異なるとは言え保坂氏は区長だからすり寄る区議もいるのです。懲罰の結果は自民会派の態度次第ということになります」(議会関係者)

その通り自民党会派はみや氏に苦言はしたものの結局、懲罰の必要なしという見解。問題視していたはずの公明党もトーンダウンしてしまい、7日の懲罰特別委員会では処分なしで終わった。

あくまでみや氏の発言に対してF行革以外の会派は〝処分に及ばず〟という考えだ。しかしこのことは保坂邸問題に対する熱意を示唆しているようだ。革新系の会派は仮に保坂氏が自民系・保守系の区長だっとしても接道義務逃れを「問題無し」と考えただろうか。また自民党会派にとっては2011年の区長選以来、苦杯をなめてきたが今回の自宅問題は保坂氏を追及する好機のはずだ。しかし会派からはそうした気概は伝わらない。

繰り返すが保坂スキームが通用するならば、都心には違法な建築工事が乱発するだろう。世田谷区議会はそんな社会を容認するというのか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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