【都知事選】“外国人地方参政権反対派” でも共産党と共闘の 蓮舫氏が陥る「07年浅野史郎現象」

カテゴリー: 地方, 市民団体, 政治 | タグ: , | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

七夕に投開票日を迎える都知事選2024。過去最高56人が立候補したが明らかに空中戦、パフォーマンスと思しき候補者も目立つ。現職の小池百合子氏を蓮舫氏、石丸伸二前安芸高田市長らが追う。革新票の受け皿になった前参院議員の蓮舫氏が有力な対抗馬だが、その様は07年都知事選の浅野史郎候補を想起してしまう。

朝鮮人犠牲者 追悼式に こだわる理由

6月17日の「蓮舫さんを応援する大集会」。お馴染みの顔ぶれに囲まれる。

告示日になって初の週末22日、渋谷駅ハチ公前には蓮舫氏の演説を目当てに支持者が大挙した。

「自民党やマスコミは都知事選を女傑の戦いと言っていますが、男の政治家で男の~と言いますか?」

ジェンダー平等を意識したワードを随所にちりばめた蓮舫氏の演説で会場は沸いた。当然だろう。立憲民主党よりもむしろ共産党が前のめりで応援してきた蓮舫氏は左派票を一手に担っている。

18日に発表した公約集「あなたと次の東京へ。蓮舫7つの約束」は小池都政でも行われた政策も目立つが、「政治資金パーティーは開催しません」「神宮外苑の再開発を見直して、大切な緑を守ります」の項目当たり事実上の支持母体である共産党、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合(市民連合)を意識したのは明白だ。

また公約集には明記されていないが、毎年9月1日に都立横網町公園で開かれる関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式への追悼文送付について蓮舫氏は「改める」とした。また19日の小池、蓮舫、石丸伸二、田母神俊雄4氏の記者会見で蓮舫氏は「追悼文を出す」と明言。また注目の石丸氏も同調した。

神宮外苑、追悼文に関心を持つ有権者はごく少数だろう。しかしマスコミ、共産党、声の大きな活動家らによってまるで争点のように扱われてしまっている。

これには黒幕的な存在がいるのだ。関東大震災の朝鮮人犠牲者追悼式を主催する中心団体が「日朝協会東京連合会」。主に韓国籍でも親北というメンバーで歴史認識問題に関する活動のプロ集団である。朝鮮学校の補助金、永住外国人の地方参政権も推進する立場。もちろん立民、共産党、社民党とも政治的な結びつきは強い。当然ながら蓮舫氏の支持者とも主義主張は共有でき、共闘できるはずだ。

蓮舫氏が「追悼文を出す」と表明したのはこうした関係性も影響したのだろう。いや正確には「追悼文を出す」と言わざるをえない状況のはず。この辺りが活動家に“ 引っ張られる”という現象なのだ。

ところが日朝協会東京連合会、また立民、共産党、社民党が推進する参政権問題は事情が異なってくる。参政権は国政に関わる問題だが「地方参政権」という以上、東京都知事にも見解を問われる場面が出てくるはずだ。

実は蓮舫氏、旧民主党時代から地方参政権の反対派である。

2008年3月25日、衆院第二議員会館で櫻井よしこ氏、西岡力氏、鄭大均氏がスピーカーで開催された保守系の反対集会に蓮舫氏も出席。台湾にルーツを持つ経緯もあり、櫻井氏から意見を求められていた。参政権問題は意外な歴史的経緯を持つ。なにしろ参政権問題は昭和の大物、中曾根康弘、竹下登、小渕恵三元首相らも容認していた。

現在でこそ自民党は反対の方針だがこの先、推進・容認に転じる可能性は十分ある。また蓮舫氏を支える選対本部長、手塚仁雄衆院議員も熱心な推進派だ。こうした経緯からしても「蓮舫都知事」が誕生した場合、地方参政権参政の推進派に翻意する可能性は高い。

蓮舫陣営の責任者、手塚氏に参政権のスタンスを質問したが「多忙で回答できない」(手塚事務所)との返答だ。

神宮外苑の 再開発は活動家に 引っ張られた

事前運動の疑いで蓮舫氏の告発状が東京地検に提出された。一部の共産党員が先走った感もある。蓮舫氏は共産党を始め左派団体に“引っ張られ過ぎた感もある。膨大な有権者を抱える都知事選であえて支持層を狭めている気がしてならない。

神宮外苑の再開発もかねてから一部活動家が声を挙げて、政治問題化したものだ。

明治神宮外苑の再開発事業に対して周辺住民らが東京都に事業施行認可の効力停止を求めた裁判で最高裁は住民側の特別抗告を棄却している。この時点ですでに再開発は問題ないはずだが、蓮舫氏が公約集に盛り込んだのも活動家を意識したに違いない。マスコミ報道も相まってなぜか神宮外苑問題が争点化してしまった。

東京都民にとって重要課題でもない神宮外苑問題にのめり込む蓮舫氏。その様は2007年都知事選に立候補した浅野史郎元宮城県知事と重なって見えてしまうのだ。

03年の都知事選では評論家の樋口恵子氏、共産党候補を楽々、一蹴した故・石原慎太郎元都知事。しかし石原氏が在職中の選挙で最も危機感を持ったのが2007年の選挙だった。

当時はまだ野党共闘がない時代で石原氏が281万1486票、次点の浅野氏は169万3323票、3位の元足立区長で共産党の吉田万三氏が62万9549票。一見は大差のようだが、ここ数年の都知事選の結果と比較すればかなり大健闘の域だ。

故・石原慎太郎元知事が最も危機を感じた07年都知事選で競った浅野史郎氏。
浅野氏を支援した市民団体や活動家たち。
プラカードのセンスがそっくり。

浅野氏は宮城県知事時代に改革派知事とされ新自由主義的な政策が目立った。地元共産党からは「オール与党体制」と批判された他、障害者施設の閉鎖なども共産党や左派グループからも問題視された。

ところがなぜか都内の左派・リベラル層が浅野氏支援に回ったのが不思議だ。旧民主党など政党の要請ではなく市民グループに担がれた結果、出馬を決意。左派・リベラルの受け皿であれば本来は吉田万三氏を選択しそうなものだが、特定活動家に引っ張られた浅野氏が革新候補の目玉になった。

当時、野党系、左派団体が築地市場移転反対、東京五輪誘致反対運動を起こしていたのを覚えているだろうか。これに浅野氏が同調。特に築地問題も争点化したが有権者には届かなかったのだ。選挙運動だけを見ればいかにも天下の一大事のように錯覚してしまうが、いかんせん特定市民のお祭り。

その後、築地移転も実行され、東京五輪も開催されたのは言うまでもない。声が大きな運動=票数と錯覚するのはリベラル系候補にありがちなこと。蓮舫氏が外苑の再開発と声を挙げるたびに浅野氏が「おいで」と手招きしているようだ。

先鋭的な左派の主張や活動が有権者の総意と錯覚するパターンは実社会・SNSでも起こりえることだが、神宮外苑・朝鮮人慰霊式も同様の風潮ではないだろうか。こうした傾向が蓮舫陣営の07年浅野史郎化と評した理由だ。

浅野氏における築地市場問題は今回の神宮外苑再開発と重ねて見えるが、さる選挙通によるとこんな事情もあるという。

「世論調査では革新勢力が強い杉並区で蓮舫さんは小池知事にダブルスコアで負けています。ところが明治神宮外苑の一部である港区では蓮舫さんが圧勝です。単純に外苑開発反対だけの問題でリードしているとは思えませんが、争点化してこの地域の票を掘り起こしたいのでしょうか」

なにしろ話題のフレーズや社会問題に飛びつくのが左派・リベラルの悪癖。蓮舫氏が完全に共産党・左派グループに委ねたのはどんな結果をもたらすだろうか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)