長らくタブーな存在だった盛り土と産業廃棄物の不法投棄。昨年の熱海市土石流の発災によって政府、自治体も少なからず対応に乗り出している。だがいくら法整備したところで指導する立場の行政が変わらなければ意味がない。はっきり言って行政関係者諸氏よ、相手によって態度を変えていないか?
前所有者のみに 責任転嫁という違和感
熱海市伊豆山に残された盛り土。放置しておけば再び土石流の惨劇が起こりかねない。10月11日、静岡県は土石流起点の盛り土を造成に関与した“前所有者 ”こと天野二三男氏に代わり行政代執行を始めることを発表した。
同日の静岡朝日テレビのインタビューに応じた被害者の会・瀬下雄史会長は
「土地の安全性を担保することは重要なこと、そこは必要な第一歩に着手したと思う。正直自分の物差しでいうと何でこんなに遅いのかなとその一言しか出てこない。前所有者もそうだが、現所有者にもその義務があると思っている。行政としてなぜ前所有者だけに撤去命令を出したの少し違和感」
と語った。
本来、被害者にすれば天野氏は許せない存在のはず。ところが瀬下会長の立場からしても前所有者のみに責任転嫁というのは違和感があるようだ。
実はここに至ってある行政文書が注目されている。それも今から一年前、当サイトが掲載していたのは我ながら驚いた。発災直後の7月7日に掲載した記事【熱海市土石流】「同和系列の会社」天野二三男とは 何者か?で引用した「開発登録簿」である。
C、D、E工区の開発によって地下水の流れが変わり土砂を誘発した可能性は否定できない。
まさに“ 灯台下暗し”というものだ。すでに公開した資料なのにその重要性に気付いていなかった。開発登録簿を見ると承継者の欄に「麦島善光」の名がある。
つまりこの造成地を引き継いだということは当然、盛り土の処理も含めて「承継」するのではないか。にも関わらず天野氏側へ盛り土除去について県は遡及適用をしているのはなぜか。
この点については今は控えるが“政治的事情 ”が作用しているという。
でもなければ現所有者を不問にして前所有者に遡及するのは相当、無理があるやり方だ。これは天野氏を擁護ではなくて、静岡県のやり方が非常に不公平な点を問題視している。
麦島氏や天野氏と 異なる対応をする静岡県
このところ当サイトは静岡県内の盛り土問題について扱うことが多い。伊豆市の怪寺・平和寺本山もその一つ。2020年6月に静岡県東部保健福祉センターが同寺寺付近で盛り土造成工事があると伊豆市に通報したことから始まったこの一件。
現在、平和寺本山と伊豆市で係争中だが、静岡県は敷地内に不法投棄された廃棄物の撤去を寺代表者や役員、業者に求めている。
そのうち檀家で責任役員の一人である川野氏(仮名)のもとにこの10月、突然県の職員約10名が訪問したという。
「あなたに責任があるから廃棄物を撤去しなさい、というのです。ものすごく高圧的でした。私は頼まれて役員に名前を貸しただけだから“ (投棄をした)業者に言ってください”と反論しましたが、措置命令という文書を置いていきました」(川野氏)
右翼団体、怪しげな活動家、そして反社、こういった面々も絡む平和寺本山だが川野氏は一介の市民にすぎない。
それをたびたび県庁に呼び出し、また複数の職員が訪問し処分せよ、という。おかしなものだ。では同様の行為を麦島氏、天野氏、双方に行ったという話は全く聞かない。
こうした対応のチグハグは熱海市百条委員会でも指摘されたことだ。
なぜ同種案件にも関わらず静岡県の対応はこうも異なるのだろうか。
静岡県不法投棄対策班に質問したところ
「昨年9月29日に発表した『廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく措置命令を発出します』という記者提供資料がその理由です」
とだけ回答した。
しかしこの文書を見たところでその不公平感は払拭できない。川野氏が書類上でも責任役員に名を連ねるから対処せよという。ならば、書類上どころか盛り土付近の造成地を承継した麦島氏に責任を問わないのはおかしい。
こうした不公正な対応を是正しない限り盛り土、産廃の不法投棄、という難題は到底、根絶することはできないだろう。
>同日の朝日静岡テレビのインタビューに
静岡朝日テレビな
経緯がわからないけど、このお寺に「名義貸しをする一介の市民」も厄介でないっすかね。
詐欺師に理事長などの名義貸しをしては知らぬ存ぜぬをする政治家が多数いるので見習う市民もいるのだろうか。
薄謝やるから「社長・役員になってくれ」の顛末はこういうことで下手したら死んで罪を全部かぶることになる。生き残っても借金背負わされる。
フランチャイズやマルチ商法も似たようなものでこちらは法的に問題がないことが多い。
役員も連帯保証人にみたいなもの。
社長になりませんか、お願いだから役員になって。
気づいたら借金背負わされるパターン。
自律的でない事業や名義貸しはこうなるんでしょう。
「盛り土」の土木用語はない。「盛土」である。社会的問題性を提起する記事には、正確な用語の活用により信憑性が醸成される。NHKも含め全てのマスコミに言えることである。
ご指摘ありがとうございます。
確かに申請書類などを見ますと「盛土工事」という表記がされております。
また自治体を見ますとhttps://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-065/morido/top.html
盛土対策課という表記があります。
もともと熱海土石流は全く専門的な知識がない中で始めたものだから「盛り土」という表記
そのままできてしましました。一つには「盛土」よりも「盛り土」の方が記事の作成上、収まりがいいので
見やすい、伝わりやすいのではないかという判断がありました。
ただご指摘の通り正確な表記ではありません。今更ではございますが今後は「盛土」表記に統一しますので
これをもってお詫びと訂正にして頂ければ幸いです。
この問題は非常に重要ですのでもし専門家の方でしたらぜひまたご意見をお寄せ頂けますよう
お願い申し上げます。
ご指摘の通り、静岡県、熱海市は叩きやすい天野氏1人に責任を被せようとしています。庇うつもりはありませんが、現状の盛土の処分は現所有者の麦嶋氏の責任で行うのが筋であり、彼はその財力があります。事情に暗い人たちは、代執行に対してよくやったと行政の肩を持ちます。天野に責任を被せる演出のために税金を使うな。