消費者庁は10月14日、「日本アムウェイ(合)」(東京都渋谷区)に特定商取引法違反で6カ月の取引一部停止を命じた。同社に対して長らく、問題視する声が強く初の行政処分である。一方で、東北被災地に寄付を行い「アムウェイ」の名を冠した複合施設が建っているのはご存じだろうか。
ネットワークビジネスの 草分け的存在
「ホームパーティーに誘われたらアムウェイのキッチン用品の実演販売だった」
「サプリメントを大量購入した知人に泣きつかれて買ってしまった」
こんな経験談を聞いたことはないだろうか。いわゆるネットワークビジネスの草分け的存在、アムウェイの勧誘、取引の一幕だ。勧誘方法がマルチ商法まがいだとして批判が起きた他、海外でも集団訴訟が起こされている。
この時期に日本アムウェイへの行政処分は旧統一教会問題と関連視する向きもある。双方に共通する「勧誘行為」に対してだろう。あるいはアムウェイの事業から一種の「宗教性」「自己啓発」が滲み出る。この点も見逃せない。
印象的なのは神真都Qのリーダー、岡本一兵衛こと倉岡宏行被告を直撃取材した時のこと。アムウェイに熱心だったと聞いて確認したところ
と語ったのが印象的だった。
神真都Qの活動もネットワークビジネス、自己啓発との親和性を感じた。
「(神真都Qの活動で)自分を高めたい」
という若者もいた。こうした表現などいかにもマルチ商法、セミナー商法に傾倒する層の“定型句 ”ではないか。
現在、マスコミを席巻する旧統一教会問題だが、勧誘・献金といった弊害は新興宗教だけだろうか。著者の目にはオンラインサロン、自己啓発セミナーなど新興宗教と一体、何が違うのか疑問を抱いている。結局、何かを盲信する行為自体は新興宗教、ネットワークビジネス、自己啓発も差異はないのではないか。
今や新興宗教自体が信者の高齢化という問題を抱えるが、仮に新興宗教団体が先細りしたとしても“カルトまがい ”は特にネット上で散乱している。
信者と書いて「儲」とは言い得て妙だ。
あるいは参政党、れいわ新選組、こういった政党の支持者にも同様の臭いが漂う。何しろ親族を騙る電話一本で数十万、数百万円を振り込む国民性だ。旧統一教会問題、そして今回の日本アムウェイへの行政処分は日本の現在地を象徴している気がしてならない。
こうした風潮の中で印象的な出来事。それが東日本大震災の被災地、岩手・宮城・福島三県に広がる日本アムウェイを冠した複合施設、観光施設の建設である。
日本アムウェイの 寄付で復興支援の 是非
マスコミ的修辞で言うところの「あの日」。2011年3月11日の東日本大震災である。東北三県を襲った津波の被害はYOUTUBEなどSNSで続々と投稿された。その光景は悲惨、恐怖という言葉も生易しい。
当時、各地の被災状況が投稿される中で宮城県志津川高等学校(2023年から宮城県南三陸高等学校)から見た津波動画を視聴したことはないだろうか。
湾内から押し寄せる津波を同校から眺める被災者たちの阿鼻叫喚が木霊する。しかし高校付近に避難してきたつもり津波が目前までやってきた。津波の破壊力を物語る光景として有名だ。
同校から見て西側、JR志津川駅に「一般財団法人 日本アムウェイ財団」が『Remember HOPE 東北支援プロジェクト』の一つとして、2013年8月に「南三陸ポータルセンター アムウェイハウス」が建設された。同社HPによると財団は
日本アムウェイ合同会社が『Remember HOPEプロジェクト』を開始。2013年に透明性の高い長期支援のため「一般財団法人 日本アムウェイ財団」を設立。これまでに被災3県(岩手、宮城、福島)に6棟のコミュニティハウスを建設。
とある。
同様の施設は岩手県陸前高田市の「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」、福島県相馬市の「アムウェイハウス 相馬さとばたけ報徳センター」として運営されてきた。
東北の被災地に「アムウェイ」を冠した施設が広がっているのだ。
「震災後、日本アムウェイ財団が東北の各自治体に寄付を打診して南三陸町が手を挙げました」(地元住民)
ところが南三陸アムウェイハウスは2019年、台風19号の浸水被害により閉鎖されていた。その後、南三陸町が道の駅「さんさん南三陸」として再整備に着手。今年2月2日に同施設の上棟式が行われた。
施設は交通ターミナル機能、また南三陸町東日本大震災伝承館「南三陸311メモリアル」が併設。そのうち観光交流施設「南三陸アムウェイハウス/ポータルセンター南三陸」が日本アムウェイ財団と日本アムウェイからの寄付金2億8200万円を受けて建設。10月1日に開所した。
アムウェイハウスの設計、復興プロジェクトを手がけるのは建築家・隈研吾氏。新国立競技場を手がけた世界的な建築家である。
日本屈指の建築家、隈氏が描く復興デザインは期待も大きいだろう。
なにしろ南三陸町、陸前高田市、相馬市、いずれも発災当時、連日のようにニュースで名を聞いた自治体だ。
津波に飲まれ商業施設、家屋が失われ地面がむき出しになった光景は被災者でなくとも、記憶に刻まれているに違いない。復興支援、地域活性策は無論、重要だ。だが国の復興予算も大幅に減った。また地元企業にその体力はない。
そうした状況下で自治体としても外部からの寄付金は喉から手が出るほど欲しいのが本音。
そこで支援しているのが長年、勧誘商法で批判されてきた日本アムウェイなのだ。
支援を受けるのはいずれも壊滅的な被害を受けた自治体だ。億単位の寄付を断る理由や余裕はなかったであろう。
ただ地元住民の中には「アムウェイ」の名に違和感を覚える人も少なくないという。それに一部とは言え日本アムウェイには取引停止の行政処分が下された。こうした結果からすればアムウェイの名を冠した施設が被災地に並ぶのは異様でもあるが…。
寄付行為自体はもちろん評価されるべきであるが、「施設を見るとモヤモヤする」(宮城県民)という思いもまたよく理解できる。
ポータルセンター南三陸がオープンした直後に、日本アムウェイに行政処分が下された。この点について住民からは町に意見などは寄せられていないのだろうか。
「行政処分を受けたのは日本アムウェイですが、寄付は日本アムウェイ財団です。町の方にも特に意見や抗議は寄せられていません」(同町企画課)
という説明だが、先述した通り日本アムウェイ合同会社が設立した財団だから「別組織」と捉えるのは無理がないか。
とは言え日本アムウェイの業務とは別に「アムウェイ」の名がつく施設が東北被災地で貢献するのもまた事実である。
被災地に虚しく 響く絆と 花が咲く
被災当時に日本中で「絆」なるスローガンがもてはやされた。しかし東日本大震災の傷跡も風化しつつあり、「絆」も薄れた。また絆という美辞麗句の裏側で、福島原発事故によって東北三県に向けられた心のない中傷、風評被害は被災者に深い影を落とした。
こうした実態を見るたびに復興支援ソング『花は咲く』がただ虚しく響く。
そして最も重要な「経済支援」という「絆」を実行しているのが日本アムウェイの関連組織という現実。今の日本社会を暗示している気がしてならない。
代表者が海外法人でもいいんですねえ。
建設告知で建築主の住所が中国で「え?」と思ったことがあります。
ホテルの建設で苦情があった場合、中国法人に住民はどうするの?と思ってましたがこんな感じでアメリカ法人もやってるならどの国も日本でやってるんでしょうね。
たしかデラウェア州は租税回避地として有名だったはずです。アルティコア自体についてはわかりません。
租税回避地にあるんでしたら米国法人でも米国に還元されてるかもわかりません。
登記を調べるとどれぐらい賠償能力やその意思があるか(責任を取ってくれる法人か)わかるかもしれません。
契約時によく考えてみるといいかも?