「そのうち警察沙汰になると思った…」と嘆くのは立憲民主党・初鹿明博衆議院議員の地元支援者である。初鹿議員（以降敬称略）は17日、国会内の記者会見に応じて2015年５月、知人女性にタクシー内でわいせつ行為をし、強制わいせつ容疑で書類送検されたことを認めた。同氏は同和問題、在日コリアンの権利問題、朝鮮学校無償化など人権問題に熱心な議員だ。ところが女性に対しては「人権的」ではなかったのか、その挙句の性暴行事件だから「人権派ってなに？　そういうことなの？」と頭を抱えてしまった。なにしろ冒頭の人物曰く「江戸川のドン・ファン」との人物評だから、回避不能の事態だったかもしれない。

電凸草創期のターゲット

「初鹿明博と申します。韓国の李（い）明博（みょんばく）大統領の明博といいます。よろしくお願いします」

民主党政権が発足して間もない2009年10月28日、「慰安婦」問題の解決をのぞむ市民と議員の集いでこう挨拶した初鹿氏。衆院選で初当選した後だから初々しさもあったが、以前から初鹿を知る者からすれば「いかにも」な挨拶なのだ。というのも彼は都議会議員時代からちょっとした有名人だった。ちょうど議員、行政、各種団体に対する「電凸（でんとつ）」が盛んになり出した頃、左派議員・メディア、民団・朝鮮総連などを扱った「mumurブルログ」が人気保守系ブログだった。初鹿はこのブログ主の電凸にあいネット上でそのやり取りが晒されていた。

ターゲットになった理由は筋金入りの「親半島」であること。都議時代は、日朝友好促進東京都議会議員連盟の事務局長を務めた。自らもたびたび訪朝して平壌万寿台・金日成像前で記念撮影し、ＨＰ上で公開していた。もちろん保守派の怒りを買ったのは言うまでもない。この通りの事情があるから2009年の総選挙で自民党・島村宜伸元文相を破って当選した際、いわくつきの親北・親韓議員の誕生ということで警戒する声が強まった。集会の挨拶が“いかにも”といった理由がお分かり頂けただろう。

かといって都議時代は意外や意外、旧民主党の保守派議員とも交流があり、「人柄」について評判は悪くなかった。当時、民主党都議団は保守・革新と分裂していたが、「初鹿さんは右の議員に対しても“ 私が左だからちょうど真ん中になっていいでしょ”と交流していた」（旧民主党関係者）という。

それから「初鹿」という名字についても触れておきたい。一部から「動物がついた苗字は在日姓」という説が散見されるが、それは無関係、誤解と思われる。『日本姓氏語源辞典』（小社刊）によると初鹿姓は「山梨県南巨摩郡富士川町小林が本拠」とある。現在でも山梨県南巨摩郡富士川町、笛吹市、山梨市に集中している名字だ。しかし初鹿は江戸川区平井生まれ。都立の名門・両国高校から東大法学部を経たエリート。逢沢一郎、鳩山由紀夫の秘書を務めた後、2001年の都議選で当選。この当時は北朝鮮シンパであることをむしろウリにしていた。

父は失踪、母はスナック経営

北朝鮮にベッタリというのは左派エリートにありがちな話。しかしその生い立ちは暗い。旧知の政界関係者によれば

「父親は半グレのような人で事業に失敗して、失踪しているんですよ。母親は平井駅近くのコロンボというスナックを経営していました。周囲も荒くれ者や暴走族、不良が多かった時代で決して環境が良くない。そんな中、東大法学部を卒業したのだから大したものです」

という過去だ。

「お母さんの存在が大きかったかもしれません。美人でとてもしっかりしたお母さんでしたね。亡くなった時は初鹿さんの議員仲間や党関係者、支援者も大勢、弔問に訪れていましたよ」（同）

また当時のスナック常連は「ママ（母親）がしっかり経営していい店だった。確か選挙事務所にも使っていたんじゃなかな」と振り返る。

平井と言えば江戸川区の下町。下町のナポレオンとはどこかで聞いたフレーズだが、初鹿の場合はナポレオンならぬ下町の俊英だったわけだ。こんな生い立ちもあってか、在日コリアンや同和問題に関心を寄せる。朝鮮学校集会で見た　親北文化人の黄昏【和田春樹】　こうした活動は以前、報じた通り。また「初鹿あきひろ『２１世紀の挑戦状！』」（Vol22、2001年３月26日）でこう綴っていた。

１月５日
　部落解放同盟東京都連合会江東支部の「新年旗開き」に出席しました。
　招待いただいたのですから、この恩は当選して絶対に返さねばならない
　と固く誓うしだいです。

今年10月８日には「フリマアプリ「メルカリ」に出品され、落札された「復刻全国部落調査」の回収に関する質問主意書」を提出。今年１月、佐賀県の高校生がメルカリに『復刻全国部落調査』を出品したことを問題視したもの。もっとも質問主意書自体、議員の「仕事をしているアピール」という性質のものだから、提出したところで大きな動きがあるわけではない。初鹿の支持層に対する配慮であったことは容易に想像できる。

江戸川のドン・ファンとの揶揄も

「福祉や人権に関心があるのも生い立ちが影響しているんでしょう。その心意気はもちろん良いこと。だけどあれは本当に江戸川のドン・ファン。もう病的に女好きですよ。選挙ビラでも長女、長男、次女の名前を出して子煩悩をアピールしていたけど、それが書類送検では恥ずかしいだろうなあ」

と冒頭の地元支援者の嘆き節につながっていく。さらに

「夫人は海部内閣下の環境庁長官・志賀節の元秘書でした。地盤も人脈もない中で政治家への挑戦だったから夫人の存在と経験は大きい。内助の功があったわけで、それが性暴行では奥さんもショックでしょうね」（同前）

議員仲間、支援者、地元関係者、立場が違えども一致するのは「女癖の悪さ」だ。そんな初鹿が目下、力を入れていたのが子に対する親権を両親が持とうという 「共同親権」問題だった。例えば離婚後、子供の親権や面会、引き離しなど元夫婦間のトラブルは少なくない。そこで父母双方が子に対する義務と権利を公平に有しようというわけだ。

ところがこの運動、内情はスジのよろしくない話も少なくない。共同親権問題に関わる運動家はこう打ち明ける。

「例えば夫側が“ 妻と反日弁護士が共謀して子供を連れ去った”と訴えるんですが、実際に調べてみるとその夫がアル中でＤＶだったりとか。あるいは妻側が子供を虐待していたりとかね。片方から子供を引き話すのもやむを得ない理由があります。そこが共同親権の難しいところなんですが…」

そんな運動に子煩悩という初鹿も意欲を見せたわけだが、

「やたら女性側の味方になるんですよ。本人は女性の味方のつもりだろうけど。今思えば、別の思惑があったんじゃないかと勘繰ってしまいます」（ 前出の運動家 ）

なにしろこれまでの女性トラブルや悪評を考えれば、そう受け止められても無理からぬことだ。女性の権利、Metoo運動、子育て支援、など女性に優しい立憲民主党議員がこの有様。現在、本誌は初鹿事務所に本件の所見を求めているところだが、初鹿事務所によればＨＰ等で謝罪文などの発表はないという。また普段は性暴行、セクハラ、こういった問題に敏感な野党議員、左派著名人、活動家が本件を“ スルー”しているのは不気味さすら感じる。

主張は立派だが、自身の所業は…。初鹿の存在は今のリベラル・人権派を象徴している気がしてならない。