支持者の前では菩薩のよう、それ以外には閻魔顔、「人権」「反戦」を語りかけ、反論されるとヒステリーを起こす――。左派政治家にありがちなこの現象。東京18区から立候補した前武蔵野市長で立民の松下玲子候補あたりはこのイメージにピッタリだ。松下氏が有権者に送ったDMをみれば納得してもらえるだろう。

武蔵野市「住民投票条例案」騒動の市長

３カ月以上住民基本台帳に登録され、18歳以上の外国人住民にも投票権を認める東京都武蔵野市の「住民投票条例案」。2021年に紛糾したのは記憶に新しい。同条例案の推進者というのが当時の市長で現在、衆院選東京18区から立候補している立憲民主党・松下玲子候補だ。

立民らしく多分に漏れず松下氏も「人権」「反戦」「多文化共生」をライフワークにした政治家である。支援者たちは彼女の主張に心酔するわけだが、問題は松下氏が自身の主張を実行しているか、だ。松下氏のオフィシャルサイトをのぞくと「松下玲子は目指します」として11項目が掲げられている。
そのうち「平均年収の底上げ」として「最低賃金を地域差なく１時間1500円にすべきです」と訴えた。

ところが求人サイト「はたらいく」の松下玲子事務所スタッフ募集には時給1150円とある。公約はどこに消えた？

他人には過度にモラルや負担を押しつけるのが日本のリベラル流儀。松下氏からもそんな不遜さを感じてきたが、まさに裏の顔を露呈したのだ。

いきなり本人が DMでお怒り

昨年７月12日、西東京市・J:COMコール田無で開催された会費制の政治パーティー。もともと西東京市は19区だったが小選挙区の区割り変更に伴い、同市は18区に移った。そこで地元選出の末松義規氏と西東京市民とのお別れ会という趣旨だ。ゲストに松下氏も招かれてスピーチ。

長年、末松氏を応援してきた地元有権者Ａ氏も駆け付け交流したというのだが…。

「政治情勢などの話を聞いて、他の方もスマホで撮影していたので松下さんのお姿を撮ってＸに投稿したのです」（Ａ氏）

投稿した写真というのが以下。いつも通りの松下氏なのだが、どうやら虎の尾を踏んだようだ。

「ところが突然、XのDMでご本人から削除しろという連絡が送られてきたのです。“名刺をアップしても良いですか”とかなり強い調子なので怖くなってしまいました。お話した時のイメージとかなり違っていたので驚きましたよ」（Ａ氏）

写真や投稿内容がよほど気に入らなかったのだろう。だとしてもその言い方。「私もいただきましたお名刺を勝手にアップしても良いですか？」と脅迫めいている。普段、支援者に見せる笑顔とは対極的だ。

松下玲子事務所に事実関係を問うと、メールでこう回答があった。

「公式HPを通じてお問い合わせ頂きました件について、回答致します。記載されているやり取りの事実はございません」

削除を求めた事実はないという見解だ。そこで松下氏のDM画像を送って再度、問うた。

「無断での写真アップロードをされた方に、アップロードをやめていただくようにお願いした事実はありますが、相手の方にご承諾いただき、謝罪をいただいたということがあります。ご回答としては以上です」

謝罪というのも「名刺を晒す」と脅されたことに恐怖を感じたがため。謝罪に追い込んだというのが正確だ。仮に削除を求めるにしても「言い方」というものがあるし、公示前とはいえすでに戦闘モードだ。24時間どこからも写真を撮られる可能性があり、そうした覚悟もないものか。

現在、都内の選挙区では立民候補優勢が目立ち、18区も松下氏が自民党・福田かおる氏をリードする。立民には追い風の衆院選だが、国会に「怖いリベラル」が増殖しないことを祈るばかりだ。