先の参院選で話題になった「参政党」。同党関係者が関心を寄せる「アートテン農法」をご存じだろうか。宇宙情報を入れたカードを畑の四方に埋めれば「収穫量3倍」「品質向上」だという。“ オカルト農法”と揶揄する声もあるが、確かに関係資料からは『月刊ムー』の世界観が漂う。(写真は高橋呑舟氏)
アートテン農法で栽培回数は年4回から年10回!?
大阪は参政党、あるいは神真都Qの震源地。もともと大阪の特徴として府内に多数の新興宗教団体が存在するのはご存じの通り。スピリチュアルが強い地域なのだ。そして当サイトも以前、指摘したが静岡県東部も新興宗教、スピリチュアル団体が散見される。
静岡の場合、「富士山信仰」が根底にある。その富士山の麓、同県裾野市に「有限会社現代健康研究所」がある。整体、気功でヒーリングを施す同所代表者は高橋呑舟氏。
同氏はアートテン技術を開発し、それを転用したのが「アートテン農法」なのだ。高橋代表は1969年から1994年まで自衛隊に所属し、かつては作家・三島由紀夫とも親交があったという。こうした経歴も参政党と良いマッチングだ。
アートテン農法で生産された商品は「株式会社J-ATI」(大阪市中央区南久宝寺町)を通じて販売される。同社は現代健康研究所の物販部門、アンテナショップといったところだ。
スピリチュアルと親和性が強い大阪と静岡と指摘したが、奇しくもアートテン農法も両府県でつながっていた。
高橋氏が主張する実績や寄せられる成果がすごい! アートテン農法を採用すると劇的に生産が向上するというのだが
「11~3月は収穫ゼロだった小松菜が育つようになった」
「収穫までの日数が30日から18日に短縮」
「栽培回数は年4回から年10回になった」
「台風でも果樹が落ちなかった」
まるで70、80年代の少年雑誌裏表紙広告のような景気のいい体験談が並ぶ。有機農法でなおかつエネルギー値が高い生産物。影響を受けやすい参政党支持者、とりわけオーガニックに心酔する層が関心を持たないはずがない。
参政党アドバイザーで参院選にも出馬した武田邦彦氏が出演するバラエティ番組風に言えば
「ホンマでっか?」
としか思えない。反ワクチン、陰謀論者、こうした人々が心酔する有機農法、農産物は謎めいた部分が多い。それに信奉者自体が内容や理論を説明できないのも特徴的だ。
印象的なことがある。
反ワクチン、ノーマスクの活動家が足しげく通う飲食店が「ノー磁場野菜」を売り文句にしていた。しかし不思議なことに店主はどんな農場で生産されているのか「見たことがない」と話した。こうした作物は無論、一般的な野菜よりも仕入れ値が高い。にも関わらずそれがどのように生産され、どんな効果・効能があるのか気にならないものだろうか。
こうなってしまうと「信仰」の領域である。
宇宙情報をカードに入れて畑に埋めるだけ
「アートテン」とは高橋氏が命名した。それは漫画『美味しんぼ』でもお馴染み、明治~昭和の芸術家・北大路魯山人が遺した「天然の味に優る美味なし」の天に由来する。
宇宙情報を利活用した技術で農法に限らず畜産、食品、住居にも転用できるという。入会金22000円の他、年会費は正会員(専業・兼業農家)が1万3200円、準会員(家庭菜園、ガーデニング)が6600円、
商品開発向け企業・個人が1万3200円。
宇宙情報という壮大な技術が数万円で入手できる!? これが高額かお値打ちなのか著者には判断できない。
が、なにより注目したいのは「宇宙信仰」。
なぜか有機農業、オーガニック、あるいは反ワクチンに傾倒する人は「宇宙」が好きだ。
敬虔な参政党支持者、また神真都Q活動家といった保守層に限らず旧民主党政権で農水相を務めた山田正彦氏に集まる左派オーガニック信奉者にも通じる。
それから高橋氏はスピリチュアルや自己啓発と無縁ではない。
精神世界、陰謀論、スピリチュアル言説の大家、故・船井幸雄氏が主宰した『ザ・フナイ』(Vol.94)で高橋氏はこう説明している。
素数でできたその数列を組み合わせることで、コンピュータが動き出すように、瞬時にそれが宇宙情報であることがわかりました。数字でできたその宇宙情報は、素粒子を超えた「根源粒子」を指し示しています。(中略)物質は目に見えないものでできていることは、ようやく理解されるようになりましたが、目に見えない粒子も次元が高くなればなるほど調和に満ちた情報となります。
①美味しいのは当たり前②エネルギーが高いから品質が高い③これまで以上の収穫が望める。④天候不順や自然災害に強い。⑤農業をする人たちが健康になる。⑥その農産物を食べた人が健康になる。⑦農薬漬けにされた耕作地からマイナスの影響を受けない。
とした上で
調和に満ちた宇宙情報はこうしたことをすべて可能にします。3次元の常識では考えられないことです。そうした宇宙情報をセラミックやカードに入れて畑の四隅に埋めることでアートテン技術を使った農業(以下アートテン農業)はスタートしました。
カードによって土壌に必要なものを全て取り入れ、不必要なものは全て除去する情報があるのだとか。ネット上にはアートテン農法を採用した農業従事者の投稿がある。
土壌に埋められたカード。シュールな光景だ。
宇宙情報集中センターってなんだ?
しかし一般的な農業雑誌、専門書にアートテン農法が評価されたという話は聞かない。
スピリチュアル専門誌『月刊アネモネ』(2104年7月号)の高橋氏のインタビューによるとアートテンテクノロジーの開発は
「宇宙情報集中センター」とアクセスできるようになったことが始まりでした。
という。こうした技術は農業分野以外でも「アートテンセキュリティーシステム」として転用されており、販売されている。
「アトピー性皮膚炎で悩んだ娘が設置後、数カ月で改善し肌が綺麗になった」「虐待がなくなり家族関係がよくなった」「地震で家が大きく揺れたが家の中の物は何も倒れず壊れなかった」
これまた雑誌の裏表紙のような“ 驚きの声”が寄せられている。
それにしても興味深いのは著者のような俗物でも「宇宙情報集中センター」と交信可能なのか。とりあえず同氏のレクチャー通りに脳内で「1」を押し、アクセスしてみたが応答がない。
方法に問題があるかと思い現代健康研究所に問い合わせてみたがこちらも応答がなかった。
「鰯の頭も信心から」と言ったものだが、しかし信奉する農業従事者たちは本当に宇宙情報によって作物の生産性が向上し、高品質になると考えているのだろうか。
新興宗教に対して厳しい目が向けられているこのご時世である。
しかし時代や世相がどう変化しようが、新興宗教めいたものはどんな形でも残っていく。そんな気持ちに包まれながら宇宙情報集中センターから回答を待っている。
どういうわけかこの手の人達が絶対に作らない・作ろうとしないから是非作ってほしいものがある
“バカにつけるクスリ”←これをぜひとも作っていただきたい
作った人自ら試してその効果を是非広めてほしいものです(すっとぼけ)
この種のものやスピ系にハマってる人とまともに議論すると、決まって最後は「わからない人にはわからないのです」と片づけられる。困ったものです。
いまはスピリチュアルと言いますが要は精神論です。
スポ根漫画や「友情努力勝利」から日本人の願望に寄り添ってるとも思えます。この願望は読者側なのか編集者or支配者側なのかわからないですが流布されてまあまあ売れていた。
EMもヤマギシなど農業系のあれこれはたくさんあります。
西洋でもコミューンと言って共産主義の一派だったりするのですが日本ではどうなんでしょう。
ソビエトで科学者が弾圧されたルイセンコ主義も農業がらみの精神論です。
企業でも「便所掃除をすれば売上が上がる」説を聞いて呆然としたことがあります。ある種のイニシエーションなんでしょうか。
あ!子供時代の「焼きそばパン買ってこい」の代替品?
理論というよりも服従のプロセスなのかもしれません。
プロセスに快楽を感じ依存する人もいます。
美味しいのは当たり前、宇宙との交信。黙って従わないといけないお約束でしょうね。
>スポ根漫画や「友情努力勝利」から日本人の願望に寄り添ってるとも思えます。この願望は読者側なのか編集者or支配者側なのかわからないですが流布されてまあまあ売れていた。
これちょっと面白い視点ですね。その発想はなかったです。
思うところがあってジャンプの「友情努力勝利」のはしりともいえる「アストロ球団」の
原作者・遠崎史朗氏は集英社の臨時雇用者組合委員長で経営陣から睨まれていたそうです。
そんな人物が「友情努力勝利」というベタベタな日本人願望を表現したというのは
面白いです。
精神論は支配者にとって都合がいいので右左あまり関係ないかも。極右と極左が合体すれば全体主義になれます。戦争なら選挙もない政治家には素晴らしい世界になりますよっ。この淡い期待は政治家全員が持ってると思います。落選のない地上の楽園は素晴らしいじゃないですか。
「アストロ球団」の原作者については知りません。
ひとつ、学生運動をしていた人は職が限られた。そのため大学や公務員に多かった模様。漫画家もあったのかも。ガロの青林堂がなぜ乗っ取られたのかも私はよく知らないけどそういう背景なんだろうか。
ふたつ。週刊誌の売り捌きは重労働だったんだろうな、と。しかも早売りされると困るのでオンタイムで(笑)
使い捨ての非正規は腰やられてたでしょうね。印刷業も指をなくしやすい業界でボディアートがあるお方もいます。そして漫画家も待遇が悪い時代もあった。当然の成り行きとも思えますし、そのため印刷媒体からの転換が遅くなったのなら経営側の恨み節もあるでしょうね。
この日本人願望は農林水産の作業由来です。伝統文化は重労働のための踊りや歌も含まれます。で、それを「労働歌」という人もいるわけです。文字通りならそうなんですが、ここらからロシアと右翼と左翼の接点があるのじゃないかと思います。
ま、それだけなら懐古趣味なので問題ないです。実態はわかりませんのでどなたか取材してください。
悲しいのは機械化で共同作業がなくなったことなんでしょう。で、懐メロのように漫画で精神論を懐古したいわけです。これは「絆」「bond」みたいな言葉を使いたがる傾向にも繋がると思います。最期はみんな仲良くなってハッピーエンド?それもこわいなあ。
スピリチュアルはカルト運営側にメリットがあると思われる
1、信者に友達がいなくなる(隔離できる)
2、笑われるだけで脱会支援の世論醸成がしづらい
信じるのではなく無批判に受け入れてくれるほんわかとしたコミュニティに惹かれる人もいます。
現実社会の集まりのようにゴシップや陰口、いざこざがないですから。どこでもそのような雰囲気づくりに努めるはずです。よくある「アットホームな職場です」みたいな。
宇宙人で有名なエリア51、米軍基地があるみたいなんですね。SNSでエリア51に行くように煽った人がいてFBIが怒ってたことがありました。基地の周りにたくさん人が来たら不審人物が誰かわかりません。
スマホはセンサーだらけだからアプリ経由でビッグデータを集めたいのかもしれない。
普段は害がなくともスイッチを入れれば害悪になる可能性はあります。
畑にこっそりIoT端末を置いて「宇宙情報集中センター」からの「メッセージ」を送ればITに疎い老人は信じてしまうかも。
電磁波(定義が広すぎる)もホメオパシーのレメディー(砂糖)も訴訟しづらいように工夫が凝らされている気がします。
そう考えると笑えなくなってくる。