渋谷ハロウィン「狂乱の宴」に必要なのは規制か開放か

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By Jun mishina

お祭りというより暴徒と化した渋谷のハロウィン。本来の祭日は10月31日だが、前日から仮装部隊が集まり騒動になることも。暴行、痴漢、盗撮、ゴミの投棄などトラブルの宝庫だ。特に今年は10月28日、前夜祭とばかりに渋谷に集まった一味が軽トラックを横転させる、飲食店の券売機を破壊するなど犯罪行為、破壊行為を起こした。渋谷ハロウィンはまさしくカオス。何が人をハロウィンに駆り立てるのか、そして解決策はありえるのか。現地でこの「狂乱の宴」を体験し今後のハロウィンを考えてみた。

「荒れる成人式」「サッカー代表選後の大騒ぎ」そして「ハロウィン」はトラブル三大行事! ワイドショーなどで風物詩として扱われる。

本来のハロウィンは古代ケルト人の収穫祭で悪霊払いの意味を持つ。これがアメリカに伝わり、カボチャのお化け・ジャック・オー・ランタンなどに扮した子供たちが各家庭を回りお菓子をもらう民間行事と化した。

ではいつからハロウィンが日本でも行事として普及し出したのだろう。まずバブル時代の大人のイベントという意見があった。当時を知る男性によれば「パーティーやディスコで若い女性に魔女の格好をさせステージに立たせて盛り上がった」という。

今の20~30代にはピンとこないかもしれないがバブル時代はサラリーマンたちが連日のようにパーティー、イベントを楽しんだ。こういう場面でハロウィンが取り入れられたのは容易に想像できる。あるいは東京ディズニーランドのハロウィンイベントも影響を与えたことだろう。

個人的な記憶で恐縮だが、1989年頃に野球雑誌のファン投稿のページで「ヤクルトの池山(隆寛)選手はハロウィンのマスクに似ている」というネタがあった。当時は「ハロウィン?」と思ったものだが、この年代にはある程度、普及していたと思われる。

しかしハロウィンをめぐっては陰惨な記憶もある。「日本人留学生射殺事件」(1992年)だ。被害者・服部剛丈さんもハロウィンパーティーに参加する途中、仮装姿で射殺された。この事件もハロウィンという祭りの存在を日本国内で知らしめたのではないか。

そこでクリスマス、バレンタインデーのように「商機」につなげようとお菓子メーカーや玩具会社がハロウィングッズを販売し一般化していく。それがいつの間にかアニメ、映画のキャラクターも取り入れただの仮装大会のようになってしまった。

仮装の中にはゾンビメイクも散見される。これはゾンビ映画ブームが影響しているだろう。もちろんインスタグラム、ツイッターなどSNSの普及も大きい。いわゆる「インスタ映え」を目的にパフォーマンスやメイクがエスカレートしていく。また100円ショップの存在も見逃せない。マスク、コスチューム、三叉槍といったアイテムは数百円程度で揃う。

ハロウィンの舞台、渋谷駅前。例年10月31日は大勢の仮装者が訪れトラブルが後を絶たない。このため長谷部健渋谷区長は29日、渋谷区HP上で「10月31日のハロウィーンに向けたお願い」として「複数の逮捕者が出たり被害届が出されるなど犯罪行為も明らかになっており、大変憤りを感じております」と苦言した。渋谷区関係者によればハロウィンはほとんど経済効果を生まないという。逆にゴミ清掃など負担が増えるばかりだ。では区はどのような対応をしているのか。渋谷区環境政策課にハロウィン対策を聞いた。

「商店街らで構成される『ハロウィンごみゼロ大作戦in渋谷実行委員会』が清掃を行います。またゴミ捨て場として宇田川町交番前、西武渋谷店A館前、東急百貨店の本店前に31日19時から翌朝8時までエコステーションを配置します。宮下公園の駐輪場とオルガン坂駐輪場に仮設トイレ、17時から22時まで利用できる着替え用のフィッテイングルームを109地下1階に設置し、また民間のダンススタジオの更衣室も借りています。費用は東急電鉄さんやドン・キホーテさんなどの企業から協賛金で賄います。いつから渋谷のハロウィンが激しくなった? 正確には言えませんがメディアで取り上げられるようになった3年前ぐらいから過熱化した印象です」

ハロウィン袋のゴミがなんとも痛々しい。

非公式、非公認のイベントで行政がここまで手厚い対応するのも大変な話。しかし放置できない事情がある。メイク用の『血のり』で公衆トイレがドロドロになる事態も起き苦情が相次いだ。このため区としては、ご丁寧に着替え室まで用意しなくてはならなくなった。かと言って渋谷の街に経済効果をもたらすわけでもない。渋谷駅周辺ではドラッグストアでもハロウィンアイテムを販売するが、参加者はすでに各々でアイテムや衣装を用意している。残るのは騒音やトラブル、そしてゴミだけだ。

こうした参加者たちのモラル低下の問題もあるが他方、メディアの責任も大きいのではないか。荒れる成人式でもメディアが取り上げるようになってからさらに暴走し始めた。ハロウィンも同様にメディアが扇動した部分も否定できない。「若者のモラル低下」「暴走」と伝える一方で実はトラブルを待ち望んでいるのもまたメディアだろう。参加者はインスタ映えを狙い、メディアは騒動で報道映えを狙う。

いざ渋谷へ! ハロウィン若者害悪論の真偽

109下に設置されたフィッテイングルーム。こうでもしないとトイレなどが汚される。

ハロウィン報道は「モラルがない若者が暴徒と化す」といった構図で報じられる。あるいは「日常生活に満たされない若者のはけ口」といった分析もある。その一方、このような事態が起きた時に妙に「理解者」をアピールする人もいる。では自宅前でハロウィンが開かれ家を破壊された。こうした事態が起きても彼らは良き理解者を演じられるだろうか。いずれも核心部分をついた論評ではないと感じた。実際に現場を行ってみると単純な「ワカモノ論」では片づけられない実相が見えた。

名物になったDJポリス。

10月31日夕方の渋谷駅前。渋谷のハロウィンは自然派生的に始まるものだから、オープニングセレモニーといったものがない。夕方にはコスプレした参加者が少しずつ集まり、警察も警戒に当たっている。時間が経つにつれゴミの量も増える。コンビニには臨時でゴミ箱を設置している店舗もあった。ハロウィンと言ってももはやジャック・オー・ランタンをモチーフにした仮装はほとんどない。夜が更けるにつれどんどん人が集結し、アニメや映画のキャラクター、怪獣、あるいはふんどし一丁というパターンもある。仮装と言っても決して凝った衣装でなくてもいい。衣装は平服で「ゾンビメイク」だけでもいい。参加者たちは面白いコスプレや仮装を見るとお互い記念撮影を求めている。アニメイベントやコミケのような雰囲気も感じた。

イートインスペースにゴミ箱を設置したコンビニ店舗も。

仮装しない参加者の楽しみ方としては自分が好きなキャラクター、例えばマーベル・コミック、ドラゴンボール、ディズニーアニメを見つけて記念撮影をしてもらうことだ。また若者だけかと言えば決してそんなこともない。中高年、外国人の仮装グループも少なくない。

こんな場所に子供を連れて来ないほうがいいとも思うが、もともと子供のお祭りでもある。

あるいは若い女性の仮装に群がる中高年の存在も目立つ。ビデオや一眼レフカメラで念入りに撮影している。テレビなどハロウィンが伝えられると「若者のモラル低下」を中高年の視聴者が嘆くだろうが反面、若者のコスプレに鼻を伸ばすのもまた中高年である。だから必ずしも「若者イベント」とは言い切れない。

そして20時過ぎるとセンター街は人で溢れ返り、通行は容易ではない。下手をすれば酸欠になるかもしれない。これが真夏ならば脱水症状で倒れる参加者もいるだろう。しかも混雑している場所で撮影をするからさらに混雑する。いわゆるDJポリスたちが注意を促すがスムーズにはいかない。警察ですらもう制御できない状況だ。

煽ったのは誰か? ハロウィン暴徒化のA級戦犯

20時頃の渋谷駅前。

なるほど。なぜハロウィン仮装が定着したか時期も大きいと思った。これが夏ならば被り物など暑くて大変だし、冬ならば薄手のコスチュームは寒い。10月31日という気候は仮装にはちょうどいいのだろう。

正しいハロウィンの道はありえるか?

毎年、仮装に訪れる参加者によると今年は例年よりかは少し大人しくなったと語っていた。おそらく28日の軽トラ横転事件でハロウィンに対する風当たりが強くなったこともあるだろう。ただルールとモラルを守って参加している分には年に一度の仮装大会は大目にみてあげたい気もするが、その手立てはあるものだろうか。もっともそのルールとモラルが一番難しいのも事実だ。渋谷区や区長がどれだけ注意喚起をしたところで「集団心理」がコントロールできるはずもない。

ゴミ袋も配布されている。

ハロウィンがカオスに陥るのは参加者が自然派生的に集まることだ。つまり「実行委員会」といった運営組織がない。行政にしても、警察にしても「交渉相手」がないことが大きい。清掃も地域の商店街関係者らと一部参加者によるボランティアだが、彼らにその任を負わせ続けるのも大変だ。しかし仮に来年から渋谷駅前をハロウィン禁止にしたり、規制を設けたとしても今度は別の場所で起きるだけだ。

混乱の中で少しほっこりした気分になった。

ならばいっそ渋谷駅前の一角を10月31日限定でハロウィン開放区にする。そして区、商店街関係者と有志らで実行委員会を作って運営させる。そしてチケット制、あるいは学園祭方式で1部1000円程度のパンフレットを作成し参加者には必ず購入させ、その売り上げでメイク室、更衣室、仮設トイレ、ゴミ箱などの費用にする。場所は道玄坂2丁目の交差点から神山町に抜ける一角。ここならば飲食店が少なく営業への障害も少ない。

開放区に参加しない仮装者、撮影希望者も当然、発生することだろう。だからセンター街、井の頭通り、オルガン坂付近は完全に規制する。逆にパンフレットさえ購入すれば堂々と仮装が楽しめるわけで、少なくとも「暴徒化」のリスクは抑制され、渋谷の経済効果にもつながるはずだ。

日本人の集団心理を指摘する声もあるが外国人参加者もとても多い。

現在、渋谷ハロウィンに対しては規制論も浮上しているが、実際に規制したところでどんな形であれハロウィン志願者は集まるものだ。ならばもういっそ一部、正式に開放区を認めるというのが妥協策だと思うが果たして‥。

センター街ビルで火災が発生。一時騒然となった。

消防車が来て規制線ができたため一時は道玄坂付近がホコ天になってしまった。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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渋谷ハロウィン「狂乱の宴」に必要なのは規制か開放か」への2件のフィードバック

  1. >しかし仮に来年から渋谷駅前をハロウィン禁止にしたり、規制を設けたとしても今度は別の場所で起きるだけだ。


    あんたの決めつけの断定が普通におかしいよ
    5ちゃんねるの日本人は全員が万引き経験者断定に繋がるキチガイの断定やね

    返信