匿名で企業に圧力大阪芸大「人権問題論」講師北口学の「エセ同和行為」(同和と在日2012/2)

By 鳥取ループ
鳥取ループ(取材・文) 月刊同和と在日2012年2月号

クリスマスに登場した謎のブログ

2011年のクリスマス、いつものようにネットで調べ物をしていたところ、奇妙なブログを発見した。ブログのタイトルは「blog」とあるだけ。ブログ作成者の名前も書かれていない。しかし、その内容は本誌の批判…というよりは、一方的な罵倒(ばとう)に近い。以下はその一部(原文のママ)だ。

三品(みしな)純(じゅん)と宮部(みやべ)龍彦(たつひこ)(鳥取ループ)恥文出版?

岐阜の集いに参加したというレポートを最近発表したと聞きます。内容はひどいものとも。被差別当事者たちと行政の人々が「これは許せない!」と声を挙げている彼等の行動、そのどの部分が行き過ぎなのかという検証もなく、有頂天(うちょうてん)で喜んでいる底の浅さにあきれていると。確かに自分の取材能力の乏しさ、人権運動に物申すと、えらそうに喧伝(けんでん)しながらの不勉強さには恥をまき散らしている事に自覚がないのでは?と神経を疑うわけです。いや、個々人宅をグーグルマップでマーキングした地図をネット公開しているという論外の行動は、どのような弁解もできないでしょう。本人たちも、その後ろめたさはあるのか、その件にかんする、その最悪の自身の行為には言及無しとか。

そもそも、問題ない、避難されるべきものではないと、幼児のような誤ったへりくつで自己正当化していますが、問題のない行為に法務局や行政担当者が彼等とコンタクトとるはずもないわけです。

「差別はない」と記述して、むごいネット公開をしながら、差別の存在を知っているわけで、差別者が喝采(かっさい)をあげるような雑文や悪質情報を提供し、金銭を得るという神経や行為は許されるのもではないでしょう。(以下略)

ブログには既に複数の記事が投稿されてた。最初の記事の日付は12月13日なので、ブログの作者が日付を変更していなければ、この時期から作られているのだろう。「岐阜の集いに参加したというレポート」というのは本誌電子版2011年12月号に掲載した「実況中継! 同和と在日がゆく「部落解放研究第45回全国集会」レポート 」のことだろう。そして、筆者がグーグルマップを利用して作成した同和地区マップにも抗議している。

ブログは1つだけでなく「宮部龍彦(鳥取ループ)と三品純」「クラフト」といったタイトルで同じような内容のブログがいくつか作られ、「両者に対する多くの批判HPが存在します」として、相互にリンクされていた。しばらく放置して様子を見ていると、数日の間に内容がエスカレートし、本誌の電子版を配信している会社(株式会社GNN)に対しても、役員の実名と共に「悪質な差別煽動(せんどう)をしては、注目を集め、電子書籍販売で儲(もう)けている」と非難した。

同時期の12月27日、部落解放研究集会にも参加していた清見(せいみ)久夫(ひさお)氏のブログに「このところ、鳥取ループの差別行為や差別地図の問題やらに抗議、反論するブログやHPが幾つかみられるようになっているようです。」という記事が書かれた。また、「blog」からリンクされているページに「私は 鳥取ループ氏による さまざまな差別行為に 強く抗議します」というタイトルのものがあった。このページの作者が清見氏であることはおそらく間違いない。なぜなら、清見氏のホームページ「わたしたち発メッセージ」と同じソフトを使って全く同じ方法で作られており、清見氏独特のデザインだからだ。このページが作られた日付は、12月12日となっている。

サーチエンジンで調べてみると、これらのサイトに全く別のサイトからリンクされている様子はない。このことは、これらのサイトがネットではなく「現実の世界で」連携している人々によって作られているか、あるいは1人の人物の自作自演で作られていることを意味していた。

インターネットの人権問題の専門家!?

そして大晦日(おおみそか)から年越しにかけてのこと。普通なら、家族と一緒に過ごして、年越しそばを食べて、年が明ければおせちを食べるところだろう。そういう筆者も家で酒盛りをしていたのだが、時々あの「狂気のブログ」の更新状況をチェックしていた。

まるで「1日1記事書くぞ!」と自分自身にノルマを課しているかのように、大晦日もブログは更新され続けた。さすがに元旦くらいは休むだろうと思ったら、元旦も更新されていた。しかも、ブログの数がさらに増え、10記事くらいがまとめて投稿されていた。驚くべきはその投稿時刻で、1月1日の午前5時から7時にかけてのことである。つまり、このブログの作成者は怨念(おんねん)と共に年を越し、それをネットにぶつけながら初日の出を迎えたわけである。

ここで、作成されたサイトの一覧を紹介しよう(括弧(かっこ)は利用されたサービスプロバイダ。タイトルは原文のママ)。
「私は 鳥取ループ氏による さまざまな差別行為に 強く抗議します」(忍者ツールズ)
「宮部龍彦(鳥取ループ)と三品純」(teacup)
「blog」(忍者ツールズ)
「クラフト」(FC2)
「鳥取ループに“NO”を言おう!SAY NO TO TottoriLoop」(アメブロ)
「鳥取ループによる人権侵害に抗議します」(teacup)
「ねっと世直しレディース隊」(goo)
「reikomamaのブログ」(Yahoo)
「japanHRのブログ」(アメブロ)
「鳥取ループ宮内龍彦・三品純は悪質すぎる差別主義者」(ライブドア)
「反差別の日記」(はてなダイアリー)
「鳥取ループ=宮部龍彦まとめサイト」(FC2)

なお、これらのサイトの内容は全て保存しており、筆者のブログ(//tottoriloop.miya.be/?p=1402)からダウンロードすることができる。

問題はこれらのサイトの作成者が誰なのかということだが、最初は全て清見氏によるものではないかと疑っていた。清見氏と言えば、筆者が作成した同和地区マップを削除させようと当初から行政やグーグルに働きかけてきた人物である。しかし削除要請に法的根拠はなく、グーグルも応じなかったことから、その努力はことごとく徒労に終わっているため、動機は十分にあった。

しかし、元旦に投稿された記事や新しく作成されたページを分析していたところ、清見氏とは別の人物の名前が浮上した…というよりは特定された。ページの作成者はアップル社のマッキントッシュを使っており、パソコンのユーザー名に「KITAGUCHI GAKU」を設定していた。マッキントッシュは購入して使い始める時にユーザー名を設定するのだが、日本語の場合は入力した名前と同時に、名前の読みのローマ字が設定される。私が思い当たる人物で「KITAGUCHI GAKU」と読める名前は部落解放研究集会で清見氏と共に会場から発言していた「北口(きたぐち)学(まなぶ)」氏だけだ。北口氏はグーグルマップに付随する機能である「ストリートビュー」を批判しており、清見氏との関係も深いことから、十分に動機がある。さらに、サイトを作成したと思われる人物のネット上の接続記録を調べた所、大阪府内のケーブルテレビ会社の回線でアクセスしており、これもマッキントッシュを使用していた。北口氏はマックユーザーであることを公言しており、大阪芸術大学の講師であることから、プロファイリングとよく一致する。

部落解放研究集会の取材記録を読み返したところ、北口氏は「多くの人が嘆(なげ)き悲しんで、差別が再生産されていることを理解いただきたい」「意識調査などで、まだ差別があるんだというデータがある」「インターネットでは言論の自由というものはない」ということを語っており、穏やかな語り方が印象に残っていた。確かに、ブログの内容は北口氏の主張と全く同じだ。また、もし最初から喧嘩腰(けんかごし)で来るような人物であれば、匿名で罵倒するというようなことをせず、面と向かって非難してくるだろう。そう考えてみると、ああ、やっぱりという印象であった。

北口氏と言えば「インターネットを利用した人権侵害」の専門家のはずである。北口氏は、2010年10月29日に鳥取県湯梨浜町(ゆりはまちょう)で『「デジタル時代の人権」~インターネットの差別と闘う~』と題した講演を行なっている。案内チラシには講演内容としてこう書かれている。

近年、インターネット上では匿名性を悪用した様々な人権侵害が行われている。

また、加速する技術革新に人権を守るための対策が追いつかない現状も指摘されている。

こうした問題について、長年調査・研究された内容をもとに、問題点の解説や、私たちがどう対応していくべきかについて、インターネット初心者にもわかりやすく、最新の情勢を解説。

本当に専門家であれば、インターネットは必ずしも匿名ではないということも知っているはずだ。インターネットにアクセスすれば、あらゆるところにアクセス記録が残るし、別の形でも個人を特定できる「痕跡(こんせき)」が残ることがある。電子掲示板などで犯罪予告をすれば、ほとんどの場合突き止められてしまうし、捜査機関によらずとも「人肉(じんにく)検索」と言ってネット上で「痛い発言」をした人の身元が、様々な情報からたちまち特定されてしまうことも度々あることだ。北口氏は、それを知った上で「匿名」のブログを開設したのだろうか。仮に北口氏が本気で匿名のつもりでブログを開設していたとすれば、そのような人物が“自称”専門家として一般向けの講演を行い、「インターネットは匿名である」「匿名だから何をやっても分からない」というような間違った知識を教えてきたことになるだろう。

北口氏が作成したサイトの1つ。タイトルは「鳥取ループ宮内龍彦・三品純は悪質すぎる差別主義者」(ライブドアブログ)。

2011年12月、PR TIMESが行った意識調査が話題となった。違法行為や社会のルールに背(そむ)く行為を匿名と実名でそれぞれネットに投稿できるかどうかを年齢別に問うものである。すると、年齢により明らかに意識の違いがあった。20代では匿名と実名であまり違いはないのに対し、30代では匿名で投稿できるとした人が実名の場合の2倍あった。原因の1つに、リテラシーの違いがあるだろう。若い人ほど「ネットは匿名ではない」ということを心得ているのに対し、年齢が高いほど「ネットは匿名だ」と誤解しているのである。北口氏の年齢は分からないが、少なくとも若くはない。

また、北口氏は「月刊部落解放」2011年11月号で「インターネットの差別の現実と不可欠な法制定」という記事を書いている。その中で、こう述べている。

人権擁護(ようご)を願い反差別を誓(ちか)う人々にとって、閲覧は苦痛とも、くだらない不愉快な「トイレの落書、無視すべきモノ」とも語られてきた匿名掲示板やネット上の差別先導や多様な差別。しかし、著作権侵害や、マスコミ報道に誘発された無責任なネット上の発言によるセカンド・レイプ、個人情報流出や炎上、誹謗(ひぼう)中傷などもふくめ、インターネット上の差別と人権侵害は幅広く巨大で、いまやわが国のきわめて深刻な人権問題といえるでしょう。

そして、おそらくはこの記事を書いた何ヶ月か後には、皮肉にも自分自身が「匿名」でブログを開設して「誹謗中傷」を書き込んでいるわけである。

これで思い起こされるのが、福岡県立花町(たちばなまち)の差別ハガキ自作自演事件だ。その目的と趣旨は違えど、自分が非難してきた行いを、自分自身で行ってしまったという点で共通している。「世の中にはこんな差別が満ち溢(あふ)れているんだ」ということを反面教師とするのではなくて、「世の中はこれだけ悪いやつばかりなのだから、自分も悪いことをしてもいいだろう」と考えてしまったか、あるいは「自分が差別されている、あるいは差別と戦っているのだからそれに対抗するためなら何をしても許される」ということなのだろう。

しかし、筆者は北口氏のように匿名で、しかも批判する相手とは直接関係ない人を罵倒するようなことはしない。筆者が作成した同和地区マップについても、それを規制することができないことは公の場で正当かつ民主的な手段を使って証明してきたつもりだ。北口氏の言う「差別」はどこにも存在していない。自分で勝手に「悪」を作り出し、それを見て自分の中に悪心を増しているだけではないだろうか。

90年代の“言葉狩り”にも関与

北口氏に関して見過ごせないのは、1980年代から90年代にかけてメディアで行われた「言葉狩り」の一端を担っていることだ。朝日ジャーナル(1990年12月)には「アメリカ発・差別ゲームの受け入れられ方「ランド・オブ・ニンジャ」はひどい!!」、続いて部落解放(1991年2月)には「『ランド・オブ・ニンジャ』の差別性」と題した記事を「差別とたたかう文化会議会員」という肩書きで発表している。

要はアメリカ製のテーブルトークRPGに昔の日本を舞台としたものがあり、その中で穢多(えた)や非人が差別的な表現で(とは言ってもほとんど当時考えられていた史実通りなのだが)登場するのは問題だということで、日本の発売元であるホビージャパンに抗議して発禁にさせたという内容だ。

それにしても、興味深いのは当時から北口氏が驚くほど進歩していないことだ。当時の「部落解放」に、北口氏はこう書いている。

国際社会。文化や民俗、国家やイデオロギーを超えた世界の反差別運動・人権擁護の闘いの連帯が重要なこの時代は、対話や相互理解、違いの尊重がいっそう重要となっている。そして人類的視野にたった人権意識がもっとも重要なことは、いまや国際社会での常識となっている。まさしく人権が世界のキー・ワードとなっている。

そして、20年後に北口氏が「株式会社GNN」を非難する文章としてブログに書いたのがこれだ。

あきれたものだ。

国際的な事業展開をしているのなら、人権問題がいかに大切なのか分かるはずだ。日本国内の人権活動や政府、自治体が国際的なネットワークや人権潮流の中で展開されている事を理解できないのだろうか? 特に国境を簡単に越えるインターネットという舞台で展開される宮部龍彦と三品純の差別煽動(せんどう)、差別情報流布は永遠にインターネット世界に残ってゆく。全世界の人権問題に関心を持つ市民(普通の常識や感性を持つ全世界の人々)が、進歩する翻訳(ほんやく)ソフトを活用しながら、鳥取ループこと宮部龍彦と三品純の悪質な行動を知り続けている。そして日本の人権問題を考える人々は、鳥取ループこと宮部龍彦と三品純の類例を見ない悪質な差別を全世界に訴え、批判を強めてゆくと思える。

彼等二人を支える企業が「株式会社GNN」であるなら、それ相当の全世界からのイメージ低下は避けられないだろう。

2つとも特徴的なキーワードは「世界」ということだ。どうも北口氏の世界観では、日本以外の国々は人権擁護活動に熱心で、日本はそこから立ち遅れている。だから、世界にアピールすれば同和地区マップを世界の人々が非難するはずだということだろう。

しかし、少なくとも筆者が把握している「世界」はそうではないように思う。部落問題は、世界でも日本だけのことで、さらに日本の中でも一部の地域の問題に過ぎない。ただでさえ日本でも広く理解されているとは言いがたい問題が、ましてや世界に理解されているわけはない。また、場所を隠すことが人権擁護につながるという考えは世界的なものではない。むしろ、場所に限らず情報を隠すことは、非民主的で人権を侵害している政府が行うことと認識されているだろう。実際、同和地区マップをグーグルが消さないのもそういうことだ。

それにしても、だからと言ってマッキントッシュのモニターに向かって匿名で怨念をぶつけながら、クリスマスを過ごし年を越す北口氏の姿は想像するだけで不気味だ。しかも匿名で、議論の相手とは関係ない企業に圧力をかける行為は「エセ同和行為」と全く区別がつかないどころか、そのものと言って過言でないだろう。北口氏は、おそらく彼が考えているところの「人権擁護活動」と「エセ同和行為」が大して違わないことを証明してしまった。

また、「言葉狩り」というと、「ただ言葉尻をとらえて非難しているわけではない、文脈が大事なんだ、意識を変えて人権を尊重することが大事なんだ」という反論があるだろう。しかし、北口氏の行動からは、とにかく自分の主張を押し通すためには手段を選ばず、相手に社会的な制裁を加えて黙らせようという意図が見え隠れする。ただ単に「黙らせる」ということが目的ではなく、相手に対する意識改革が目的であれば堂々と反論し、世間に受け入れられなければ潔(いさぎよ)く身を引けばよいだけのことである。結局、言葉狩りは言葉狩り以上の何物でもなかった。これもまた北口氏自身が証明してしまったのではないだろうか。

倉吉(くらよし)市役所
「市役所まで来て謝罪してください!」

ブログの作成者が北口氏であることは間違いないのだが、念のためプロバイダ責任制限法による発信者情報開示請求をブログ運営会社に対して行った。この手続を行うと、開示請求があったことが本人にブログ運営会社から伝えられる。そのためかどうかは不明だが、ほとんどのブログは同時期に一斉に閉鎖された。開示請求をしていない会社のサービスを使って運営されていたブログも同時期に閉鎖されたので、これは同じ人物が複数のブログを「自作自演」で立ち上げていた事を証明するものだろう。

とにかく本人に直撃すべく、北口氏の勤務先である大阪芸術大学を通して接触を試みた。北口氏は火曜日の「人権問題論」の授業を担当している。授業の前後に講師控え室に電話してみたが、残念ながら本人が出てくることはなかった。大学の担当者に聞いてみたところ、非常勤であるため、いつ大学のどこにいるか把握することは難しいという。

次に、北口氏と連絡を取り合っており、サイトの作成にも一部関与していると見られる清見氏に電話で事情を聞くことを試みた。しかし、「来客中」として電話には応じず、その後留守番電話で北口氏のことで事情を聞きたいことを伝えるも、清見氏からの連絡はなかった。

さらに、北口氏に連絡をとるべく、事情を知る可能性のあるもう1人の人物への連絡を試みた。部落解放同盟倉吉市協議会副執行委員長で、鳥取県倉吉市役所職員でもある下吉(しもよし)真二(しんじ)氏である。下吉氏は清見氏のことをよく知っており、部落解放研究集会では壇上(だんじょう)で同和地区マップを批判する発表を行なっていた人物だ。

早速、下吉氏が所属する倉吉市役所人権政策課に電話したところ、下吉氏は不在だったのだが、電話口に出た職員に「あなたのせいでたくさんの人が迷惑している」として2時間近く絡(から)まれてしまった。職員は「同和地区出身」を自称しており、名前を聞いても名乗らなかった。鳥取県では同和地区マップを消させるために、県下の自治体が対策会議を行っているのだが、倉吉市もそんな自治体の1つで、おそらくは「最も熱心に取り組んでいる」自治体の1つだ。

「法律上はあの地図を削除する権限がないことはご承知ですよね。勝手に対策会議をやっているだけではないですか」

と言うと、

「法律がなければ何でもやっていいわけではない。差別を受けている人がいるから見過ごせない」

という答えであった。さらには「市役所まで来て謝罪して欲しい」という始末だ。

「誰が差別を受けているんでしょうか?」

と聞くと、

「私の姉が大阪で結婚していて部落出身ということを隠している。もし知られて親戚関係がおかしくなったらどうするんだ」

ということであった。

「そういう考えも差別でないでしょうか。そんなに気になるなら自分から部落出身と言ってしまえば済むことではないですか」

と言うと

「部落民と言うことがどれだけ重いことか知っているか!」

というような答えが返ってきた。そして、とにかく「市役所まできて謝罪しろ」の一点張りである。筆者もさすがに頭に来て「この税金泥棒が!」と一喝すると。

「いまの発言は差別で、私に対する人権侵害です」

という反応であった。そして、「こういうことを知ったら親や職場の人はどう思うのですか」というように延々と筆者に説教するのであった。

後に、この職員は前田(まえた)寿光(としみつ)人権啓発係長であることが分かった。彼も下吉氏と同じく部落解放同盟倉吉市協の役員である。つまり、倉吉市では人権政策課に部落解放同盟の役員が2人いるのだ。

いわゆる「同和べったり」に見える自治体でも、役所は一応は中立性を保っている場合が多い。しかし、倉吉市の場合は文字通り「市役所が部落解放同盟」という状態である。しかも部落出身を名乗って差別だ人権侵害だと言って相手に義務のないことを要求するのであれば、これも北口氏のやっていることと同様に、エセ同和行為と違いがない。あまりの対応のひどさに、職員に名前を聞いたのだが、最後まで名乗ることはなかった。自分から部落出身を自称しておきながら「部落民と言うことがどれだけ重いことか」というのもおかしな話だが、「匿名で罵倒する」ことに何の疑問も持たない役所に何を言っても無駄であった。一連のブログのことも伝えたが「把握していない」としながらも、「あなたが地図を載せるからそういうことをされる」といったような対応であった。

結局、周辺から清見氏や北口氏に「早まったこと」をしないように忠告してもらうことは断念せざるを得なかった。

本人に直撃!
「お答えするべき内容とも思えません」

しかし、さらなる調査を続けたところ、幸運にも北口氏について知る人物から彼の連絡先を知ることができた。早速、北口氏の携帯に電話し、事情を聞いた。

「年末から正月に私が所属する会社を非難するようなブログを作成されたようですが、どういった目的で作成されたのですか」

「そういった問題については、私と話すのではなくて弁護士に話してもらったほうがいいのかなと思うのですが。それと、宮部さんとは一度お話ししたいと前々から思っていまして」

北口氏からいきなり発せられたのは「弁護士」という言葉だ。北口氏は終始落ち着いた口ぶりで、ブログのことについては否定も肯定もしないのだが、明らかに動揺していた。普通なら、いきなり弁護士という言葉は出てこないだろう。また、弁護士を通せと言っておきながら前々から話をしたかったとは、どういうことだろう。

北口氏は、その後「寒いですね」と言いながら雑談をふってくるのだが、そのうち株式会社GNNの話になった。北口氏は筆者が会社の取締役であることや、社長のプライベートなことなど、筆者とは直接関係ないことを自分から話してきた。とは言っても、ネットで検索すればすぐ分かる程度の話ばかりなのだが。そして、「あなたと会社とは無関係と言えるんですかね」「誤解と解きたいので会社に電話したい」という。そう言われたところで、筆者としては「どうぞ」と言うしかない。そして、核心的な質問をぶつけた。

「あのブログを作ることで、私を会社から辞めさせて、私的な制裁を加えて黙らせようということでしょうか」

それに対する北口氏の答えは、

「いえいえいえ、あなたはお仕事でちゃんと稼いでもらわないと大変じゃないですか。仕事がなくなったら困りますよね。そんなことを望んでいないですよ」

である。

その後、北口氏とはメールでもやり取りを行ったが、ブログのことについては結局、

「不思議な電話とメール内容で驚いています。精査して勉強させていただきます。ご質問にお答えする義務も、お答えするべき内容とも思えません。あしからず」

ということであった。

北口氏、倉吉市にも共通することであるが、どうも筆者がこそこそ著述活動を行なっていると考えているらしい。そして、ネットで調べれば分かる程度の情報を暴露すれば、ダメージを加えられると考えているようだ。しかし、読者はご承知のとおり、筆者は事業として行なっており、むしろ「宣伝歓迎」という姿勢である。また、1人の人間でも別々の「立場」があり、それが常に関係があるとは限らないということを理解できていないようだ。例えばその人の「出自」が「結婚」や「就職」には関係がないように。

長年人権問題に取り組み、行政や大学でインターネット上の人権問題についての講師を務める人物が本誌を批判するために選んだ手段が匿名ブログの乱立…。怒りというよりも情けなくなったというのが率直な感想だ。次はくれぐれも「匿名のつもり」ではなく、正面から手応えのある批判をしてくることを期待したい。(鳥)