【政界】世襲もつらいよ! 二階俊博、河村建夫〝自民党大物〟ジュニアたちの滑りっぱなし人生

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By Jun mishina

国政、地方を問わず世襲政治家は存在する。法令上、2世という理由で政界進出を制限することは不可能だ。しかしスタート時点で地盤、看板、鞄(資金力)を持つ優位性に批判は根強い。しかし実際の世襲は庶民の想像より困難かもしれない。自民党の大物議員だった二階俊博、河村建夫両氏のジュニアたちは苦戦が続いている。

二階伸康事務所前に対立候補の事務所が…

世襲議員と言えば何より石破茂首相がそうだ。現職では他にも中曽根弘文、小渕優子、小泉進次郎、福田達夫氏ら先代が総理大臣経験者の議員をはじめ野田聖子、河野太郎、浜田靖一、武部新氏といった面々が思い浮かぶ。政治的能力や世論の評価は別として先代から地盤を引き継ぐことに成功。多選を続けている。

しかし2世と言っても一寸先は闇。昨年10月、衆院選岐阜4区で選挙運動中だった金子俊平氏がウグイス嬢にセクハラ行為をしたとして謝罪。金子氏の父は金子一義元国交相だ。後援会は解散となり地盤の継承は失敗に終わった。

また中川秀直元官房長官の選挙区を継いだ中川俊直氏は経済産業大臣政務官などを務めたが不倫、重婚などのスキャンダルで政界を引退。父、秀直氏も女性スキャンダルで「中川(女)」と揶揄された政治家だ。女癖まで継承したことになる。

いかに政界サラブレッドだとしても政治家としての成功には直結しない。自民党幹事長歴代最長だった党重鎮・二階俊博氏の後継者、伸康氏は自民党県連、町村会、地元議員総出のサポートがありながら苦境だ。

昨年の衆院選では父の政敵、世耕弘成氏に敗北。しかも選挙と同時期にさっそく伸康氏はスキャンダルが報じられた。爪跡さえ残せなかった衆院選だったのだ。そこで次に狙うのは夏の参院選。

2月9日、自民党和歌山県連拡大会議で伸康氏は有田市前市長・望月良男氏を抑え公認候補に選ばれた。ところが県連側は党員らに伸康氏への協力を促したものの、望月氏は翌日から選挙活動を開始。内部では少なからず望月氏を推す関係者もいるという。

伸康氏の選挙事務所。

伸康氏は旧NEXCO西日本関西支社和歌山工事事務所(同市太田)に選挙事務所を置いたが、驚いたことに同地付近に望月氏も選挙事務所を構えた。

「二階父が全盛期ならばこのような場所に事務所を置くことすらできなかったし、そもそも対立候補にすらならなかったでしょう」(地元記者)

ただしこれには理由があるようだ。

「望月氏は挑戦的な意味で伸康氏の近くに事務所を設置したのではありません。望月氏の支援者が所有するビルがたまたまその場所だったという話です。にしても、二階陣営としては顔を潰されたという思いでしょうね」(同前)

参院選はもう間近だ。仮に伸康氏が敗れた場合、国政挑戦は絶望的になるだろう。それでなくても父の影響力は確実に失いつつある。

しかも二階親子は社会的に良いイメージはない。特に中国との深い関係は決して高評価につながらないだろう。

パンダ外交も失敗に終わっていた!

2020年10月2日、筆者は『二階幹事長、三男秘書が 大阪中国総領事館で 受けた「恩返し」』という記事を報じた。

面会した何振良総領事(当時)は現在、行方不明。

当時まだ父の秘書だった伸康氏が大阪中国総領事館で何振良総領事(当時)と面会したというニュースだ。なお何氏は現在、行方不明ということを補足しておく。関係者から得た情報では政界進出を狙う伸康氏を〝箔付け〟するために中国側が面会したというものだった。もちろんそうした意味もあったが、実は内情は別の目的があったというのだ。

「本当の目的はパンダのレンタル料について値引きするように二階元幹事長の名代として交渉に行ったのです。パンダはもともと中国の外交カードですから総領事の一存だけではどうにもなりません。このため中国側はせいぜい〝善処する〟程度で終わらせたのでしょう。また伸康氏が外交巧者の中国を相手にできるとは思えません」(自民党関係者)

話はまだ続く。

「同時に二階氏側は中国に雄パンダをレンタルしたいと要請しました。というのは地元のテーマパーク『アドベンチャーワールド』(和歌山県白浜町)にいるパンダは4頭ともみな雌。そこで日本で交配させるというわけです。しかしその計画も失敗に終わりました」(前同)

4月末、同施設はパンダ4頭を中国に返却すると発表したことは大きく報じられた。この返却の裏には両国の攻防があったわけだ。米中外交の狭間にいる日本への〝揺さぶり〟という意味もあっただろう。そしてもう一つは二階氏が政界から引退して、影響力を失った今、あえて和歌山でパンダ外交を続ける意味はないとの方針かもしれない。

では仮に伸康氏が交渉でパンダのレンタル料の減額に成功した場合、それは成果として選挙にプラスになったのだろうか。

「ないでしょうね。なぜなら水面下の交渉事を明かせません。それに二階親子が〝親中派〟と公にするようなもの。票につながるとは思えません」(前同)

伸康氏の場合、二階王国を継ぐための重圧や期待は我々が想像する以上に過酷かもしれない。裸一貫で政治家を志す候補者にすれば用意された地盤、看板、鞄(資金力)に羨望の念もあるだろう。しかし「失うものは何もない」という強みもある。結局は本人の素養と努力、これに尽きるはずだ。

河村建夫元官房長官の後継者も迷走中

政治資金の使途をめぐってレポートした若林りさ世田谷区議とも二連ポスター。

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次いで2014年に二階氏が総務会長に就任したことに伴い二階派の事実上の代表になった河村建夫元官房長官。長男の建一氏を後継者にする意向だったが2021年、林芳正現内閣官房長官が衆院山口3区に鞍替えに伴い同区から国替えとなった。建一氏は比例北関東ブロックからの出馬となったが落選。

その後、建一氏は日本維新の会入りして、昨年の衆院選で東京6区(世田谷区)から立候補したが落選した。トップとは約7万4千票差という惨敗だ。

一方、その父、建夫氏は中国と関係が深いクオンタムソリューションズ株式会社の代表取締役会長職にあったが5月29日に同職を辞任予定だ。河村氏も議員時代は親中、親韓議員として知られた政治家である。そんな背景から同社に見込まれたのだろうが、用済みと判断されたのか会長を降りる。

本来ならば引退後とは言え建夫氏も地元・山口で影響力を与えたであろうが、もはや過去の人だ。

現在も建一氏は世田谷区で政治活動を続けている。政界有力者2世であり、慶應大学SFC研究所上席所員(宇宙法)、東京大学大学院航空宇宙工学科研究員と経歴も華々しい。だが議員の壁は厚いようだ。

しかし地元関係者の見方は冷ややかである。

「次期都議選で国民民主党の公募に参加しましたが、除外されました」

もう手段を選ばない様子が見て取れる。

昨年の『毎日新聞』(10月28日)の取材に対して「私は自民党が繰り返してきた派閥争いの犠牲者です」と語っている。しかし多くの候補者たちは全くのゼロから挑み、そして散っていく人々も多数だ。建一氏は派閥争いの犠牲者と主張するが、生まれ持ったアドバンテージを活用できなかった。本人の素養という他ない。

自民党大物のジュニアがこの通り、苦闘していることは世襲政治に一石を投じることになるのだろうか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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