あの惨劇の 夜、エッフェル姉さんは いずこ…無力化した 自民党派閥の 最前線

カテゴリー: 政治 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

パー券キックバックに端を発した自民党派閥解体論。党幹部への辞任を求める声や早々に自派閥から退会する議員も出てきた。「泥船から逃げる」という調子の良さも伝わってくるが、一方で若手・中堅世代にとって派閥の親分‐子分という意識が薄いのではないか。弱体化した自民党派閥の最前線をレポートしよう。

惨劇の夜に 通夜参列の エッフェル姉さん

刷新できるか悩ましい顔ぶれ。

政治資金問題を受けて創設された「自民党政治刷新本部」。そういえばこのネーミングは衆院選大敗を受けて設置した「大阪刷新本部」と同一のものだが今のところ大きな成果はみえない。

なにしろ自身も刑事告発を受けた岸田首相らがメンバー入りしたことに批判が殺到するが、党女性局の仏研修にてエッフェル塔ポーズで記念撮影し顰蹙を買った松川るい参院議員への反発が強い。刷新本部入りした後、派閥からのキックバック204万円が不記載だったことも発覚。これも火に油を注いだ。

また刷新本部の初会合を欠席したのも松川氏らしい話である。

賛否ある刷新本部会議だが若手・中堅から派閥解散、幹部辞任が要求されている。これに対して一部からは「梯子外し」「抜けがけ」と冷ややかな見方も少なくない。あるいは「親分‐子分という考え方が薄くてどの道、派閥解体論は出たでしょうね」(党関係者)といった声もあった。

どうも派閥トップへの忠誠心が薄くなっているようだ。それを象徴するエピソードが奇しくもエッフェル姉さんこと松川氏周辺から漏れてきた。

松川氏の地元、在阪の党員が打ち明ける。それは安倍晋三元首相が暗殺された2022年7月8日のことだ。

「ご存知の通りあの日は参院選中でしたが、どの候補者も演説を中止しました。夜も不要不急の行動をしない、活動自粛という状況。ところがその夜、堺市内の知人から“今日、松川さんが加藤均元堺市議の通夜にいてたけど安倍さんの事件で大変な時に大丈夫なんか?”と連絡がきたのです」

堺市功労者として市が発表。

地元名士だが「加藤均元堺市議」という名はまず初耳というのが大半だろう。

ビル管理業、環境事業、また地元ミニコミ「堺ジャーナル」など手広く事業を展開する(株)加藤均総合事務所(堺市)の創業者だ。ビルメンテナンス業界では有力企業で、地元政財界では「顔役」で通る。松川氏ら国会議員とも懇意にしている他、防衛族ともパイプが深い。

2022年の加藤均誕生日会及び第57回カトウグループ新年祝賀会では来賓に第31代海上幕僚長・第5代統合幕僚長 河野克俊氏、参議院議員 佐藤正久氏、衆議院議員 盛山正仁氏、在大阪・神戸インド総領事館総領事 ニキレーシュ・ギリ氏、宇都隆史参院議員 、松川るい参院議員、また乾杯の発生は俳優の大村崑氏とそうそうたる顔ぶれ。

目撃者によると通夜には松川氏はひっそりと現れ手短にお参りを済ましたという。人の弔事だけは時を選べないが、何しろその夜は党員たちが安倍元首相暗殺事件に悲しみ、打ち震えた。親族ならやむをえないとしても当時の松川氏の行動は適切なのか悩ましい。

疑問に思った関係者がいたからこそこうして目撃証言がもたらされたのだ。

「加藤氏も地元有力者には違いないが、あの状況で外出するでしょうかね。しかも自身も安倍派の所属議員で安倍内閣でも随分、引き立ててもらったのに…外務省時代は安倍政権が掲げる『女性が輝く世界』の方針の下、彼女は女性参画推進室の初代室長に抜擢されましたよね」(同)

松川氏事務所に質問してみたが反応はない。回答があり次第、また紹介しよう。

それにしてもTPOに応じた行動がとれない松川氏らしいエピソード。だが一方で「そもそもあの年代は派閥の親分に対する忠誠や敬意という意識も薄いですよ」(前出党関係者)という指摘もうなづける。

松川氏の一件は現在の派閥解体論以前の話だが、すでに派閥と領袖への吸引力は低下していたかもしれない。それは昭和のドンの雰囲気を今に留める二階元幹事長ですら派閥の維持が困難のようだ。

二階元幹事長、世耕氏の二大領袖も失墜へ

和歌山放送ラジオ公式サイトより。右から岸本健知事、公明党・浮島智子衆院議員、二階氏、鶴保参院議員。

当サイトで以前から注目する和歌山政界。かの地はパー券問題でも火薬庫と化した安倍派領袖の世耕弘成参院議員、二階派のドン、二階俊博元幹事長がいる。さて1月、通常だと和歌山放送が主催する「和歌山県選出国会議員座談会」が放送される。

例年、衆参の国会議員がズラリと揃うが今年は世耕氏、維新・林佑美衆院議員の姿がない。林氏の場合は維新の内紛の影響とみられるが、世耕氏は明らかに公の場を敬遠したのだろう。座談会のメンバーが足りないため岸本周平県知事が特別ゲストで参加した。

本来は安倍派の領袖になるはずの世耕氏だが立場が苦しい。また二階氏もまさか派閥解散論が噴出するとは足下から鳥が立つ思いだろう。

地元記者の話。

「鶴保氏が次期衆院選で和歌山一区からの出馬を決めたそうです。1月22日に『がんこ和歌山六三園』で新年会を開きましたがこれも支援者に向けた決起集会といったところでしょう。パーティー批判を恐れてか会費は5500円。かなり控え目価格でした(笑)」

衆院への鞍替えは鶴保氏のスタンドプレーという見方も強い。

「相手(維新の林氏)が女性だから、二階さんとしては子飼いの森礼子県議を抜擢したかったのです。しかしそれを押して鶴保氏が鞍替え。なにしろ前回、鞍替えを狙って妨害した世耕氏は雲隠れ状態だから鶴保氏の一区公認は確実でしょう。この逆風ですから厳しい選挙には違いありません」(同)

二階派といえば所属の自見英子国際博覧会担当大臣が裏金問題を受けて退会届を提出。しかし二階氏が激怒し退会を認めなかった。これもまた派閥への意識の低さの表れだろう。

「自見氏の大臣抜擢も二階派としては別の人物を推薦したんです。ところが岸田政権が女性閣僚の拡大という方針をとったことから自見氏に決まりました。このため自見氏には大臣ポストを得たという恩義が全くありませんよ」(二階派関係者)

つまり閣僚メーカーとしても派閥は機能していないということか。自見氏といえば父は旧郵政相などを歴任した自見庄三郎氏。いわゆる二世議員だ。夫は橋本龍太郎元首相の次男、橋本岳衆院議員。

そんな橋本氏が岸田首相に辞任を要求したことも物議を醸した。「なにしろ茂木派に対しても解散を求めたぐらいですからね。改革派と呼ばれた父、龍太郎氏を意識したのでしょうか。もっとも党内からは“あまりに失礼”だとか“プリンスなのに出世できないのはこういう人間性”と揶揄する声もあります」(前同)

橋本氏、自見氏の人柄も影響しているかもしれないが、ともかく若手・中堅議員にとって派閥はメリットがなくなったということだ。

派閥の論理が政界を動かした昭和には大小の派閥があり、存在感があるトップが君臨した。派閥解消といえば聞こえはいいが、裏返すとそれだけ統率力やカリスマ性がある大政治家がいなくなったともいえよう。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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