全国部落調査事件 東京地裁判決の全内容

カテゴリー: 全国部落調査事件 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By 宮部 龍彦

9月27日の全国部落調査の出版禁止に関する裁判の判決について各社が報じている。しかし、結局のところは判決の内容を見ないことには理解できないであろう。今回は原告が誰かということ自体がプライバシーとされたわけだが、判決書ではその辺りに配慮して原告の氏名とそれ以外の部分が分けられているので、原告目録以外の判決の内容を公開する。

以下の解説動画もでひご覧頂きたい。

判決文本体は次の通りである。ただ、400ページの及ぶ判決の大部分が別紙になっている。

判決.pdf

別紙はこちらからご覧頂きたい。

ポイントは、この裁判は私的な民事訴訟であって、全国部落調査の公開の是非を公に問う裁判ではないということである。それは、民事訴訟の扱いは法律上そのようなものであるから、裁判官はそのことに沿って判決を出さなければいけないからである。

そこで、裁判所は裁判の当事者1人1人の事情を検証して判決を出したことから判決書がここまで膨大なものになった。被告である弊舎側もそのことを見越して原告1人1人を調査していたため、証拠の数も膨大なものになっている。判決の別紙を見ると、この裁判で壮絶な攻防が行われたことが分かると思う。

全国部落調査は全面的に発禁にはされず、長崎県、千葉県、茨城県、三重県、愛知県、静岡県、山梨県、岐阜県、福島県、秋田県、福井県、石川県、富山県、山口県、徳島県、佐賀県の部落一覧は発禁の対象にならなかった。その判断基準は各原告の現住所または本籍地がそのリストに含まれていたかどうかである。

この裁判を「公の裁判」と考えるのであれば奇妙な結果であるが、前述のようにこの裁判は「私的な裁判」なので、当事者に無関係な部分について裁判所が何らかの義務付けを出来ないのは当然と言える。

ただ、それにしても地名をプライバシーと捉え、そこに住所か本籍がある住民に慰謝料(これは15,000円である)を支払えという判断については、この裁判より前には筆者が把握している限り判例も政府見解も学説も存在しておらず、かなり異例なないようであることは間違いない。

ご承知の通り、同和行政が行われたような部落の多くは事実上調べれば分かるような状態になっており、 全国部落調査の発禁は「公然の秘密」を作るものであって実質的に情報を隠蔽することにはならない。また、形式的に部落の地名を秘密にするために、裁判所が、あたかもあらゆる部落に住所や本籍地を置いた者が不利益を被るかのように認定するのは、それ自体が事実に反しており偏見そのものである。また、部落に関して何らかの発言をした者に対して、自身が「部落民」であることを理由に差別であると言いがかりをつけ、金銭を請求するようなえせ同和行為を正当化するものである。

無論、示現舎としては控訴することを決定している。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

鳥取ループ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

全国部落調査事件 東京地裁判決の全内容」への9件のフィードバック

  1. 菅四ジャイアンツ

    片岡明幸は憤怒発狂して「請求額を増やしてやる」などと息巻いていましたが、結局その増額分は片岡への慰謝料に影響しなかったんですか?

    返信
  2. 部落のトトロ

    ふと疑問に思ったのですが、もし関係人物一覧がWikiに掲載されていなかったらどのような判決が下ったのかと思いました。

    返信
    1. 鳥取ループ 投稿作成者

      うーん、裁判所としては結論ありきなのではないでしょうか。

      返信
  3. さいとうまこと

    判決P.14,15
    /***
    第3 当裁判所の判断
    1 争点1ないし8に関する認定事実
    (1)我が国における同和問題への取組等
    ア封建社会の身分制度の下において最下級の身分とされた人々は,~一定地域に定着して居住し,部落を形成していた。
    ***/
    という記載があるので、江戸時代の地図で、あきらかに農地や、荒れ地で人家が無かった場所で、明治以降に形成されたスラムなど由来のはっきりしている場所は、この事実に当てはまらないので、公表して差し支えないと判断できるのでしょうか。

    返信