津市大井町は同和地区だが、住宅が建ち始めたのは伊勢湾台風後のことであり、この土地自体は近世の部落では全くない。現在でも住所表記上は中河原の一部である。大井町という自治会名も、津市民に広く認識されているというわけではないようである。
現地を訪れると、合計で100戸近い市営ニコイチ住宅、そして大井アパートという40戸の団地形式の市営住宅がある。
現地は明らかに人工的な町並み。高洲町ほどではないが、整然と立ち並ぶ公営住宅は壮観である。
ニコイチ住宅は昭和50年代初期の様式である。そのうちの1つに入る機会のあった三品純によると、内装はリフォームされてきれいだったが、家族5人で済むにはやや手狭だという。風呂はユニットバスではないが、ビジネスホテルの風呂のような小さなもの。住宅は当時の庶民の基準で作られたので、質素なものだ。
ちなみに、以前紹介した同和恫喝動画で「同和とかどうのこうの言うたなお前」と言われているが、これは恫喝されている人物が当時の大井町の町内会長(現在は別の人に交代)に同和と言ったという意味のようである。
町内の掲示物には人権を感じさせるものがあるが、解放同盟は活動していない。
ここが大井アパート。唯一の団地形式の公営住宅である。
ここには大井会館とさくら児童館が隣接している。訪れた時は壁の塗装工事をやっていた。
公園前のごみ集積所。相生町はゴミ箱が置かれているだけだったが、ここはしっかりしたものが作られている。
ニコイチ住宅群を一歩出た県道沿いは、郊外型の店舗が立ち並んでいる。
現在は高齢化が進んでおり、新しい住民は外国人、とくにフィリピン人が多い。意外にも外国人は自治会の活動に協力的で、外国人グループのリーダー格に伝えれば、LINEですぐに連絡事項を広めてくれるのだという。