現地ルポ 崇仁地区再開発(2)

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By 三品純

崇仁地区開発にはあらゆる分野の人々が関わっている。地元住民はもちろん政治、企業、行政、同和団体。このどれか一つでも欠けては巨大なプロジェクトは頓挫してしまうだろう。ただし同和団体の場合は前面に出るわけでもなく、かと言って非協力的でもない。微妙な距離を保っている。今回は同和人脈の動きに迫ってみたい。(文中敬称略)

今年6月6日、京都タワーで「京都駅東地区自治会連合会設立総会」が開催された。自治会連合会は市営住宅の住民でもある山形信夫が会長だ。京都駅東地区市街地再開発組合とプロジェクトを進める団体だ。来賓には京都市会議員のやまずまいこ、再開発組合の理事にも名を連ねるなべおさみ、そして来賓講演として小林節も登壇した。この顔ぶれを見る限り、さほど同和色を感じない。なべおさみも一般人が見れば一著名人に過ぎない。京都には部落解放同盟、自由同和会、人権連、全日本同和会が活動しており、本来ならば同和団体も名を連ねてもよさそうなものだ。

6月6日の総会プログラム。政界、学者らも開発に関心を寄せる。

ところが水面下では同和団体への協力も呼びかけられていたのである。6月某日、小林は部落解放同盟中央本部執行委員長・組坂繁之と面談していたという。解放運動では団体間の対立があり、小林も憂慮していた。ある関係者によれば組坂は崇仁地区についてこう語ったという。

「崇仁は独立した存在。中口(寛継)がリーダーをしている。崇仁再開発は正しいので、中口に協力してあげてほしい」

また両者の会談ではこんな話も出たという。

「中口を中心に崇仁地区に部落解放同盟の支部を作ってもいい」

組坂は冗談混じりに小林へこう語ったと関係者は証言した。この通り両者の話し合いは和やかな雰囲気で進んだ。小林の意図としてはとにかく同和団体同士の対立を無くそうというのだろう。特に今後、再開発プロジェクトを進める上で同和関係の事件は障害になりかねない。しかし同和関係者内部の対立の根は深い。

なぜ解放同盟役員の企業は銃撃されるのか?

部落解放同盟が一般メディアに登場するときはいつも“社会的弱者”という扱いだ。差別を批判し、人権を語るーーこういう顔を持つ。だが他方でたびたび発生するキナ臭い事件。このバランスの悪さはどう理解すべきだろう。

特に解放同盟役員が関係する企業への発砲事件はたびたび起きる。解放同盟の役員でもあった松本龍元環境相の実弟である松本組・松本優三社長宅への銃撃事件が起きたことも記憶に新しい。また同社会長が襲撃される事件も起きた。こうした事件について運動家や自治体の人権担当者に問うと、苦々しい表情を浮かべるものだ。「だからと言って差別は許されない」こんな苦しい反応が待っているものだ。

そして京都市内でもやはり解放同盟役員への発砲事件が起きている。2004年12月20日、早朝、京都市伏見区の村井建設の玄関ドアに銃弾が数発撃ちこまれた。同社は2002年も同様に銃弾が撃ち込まれた他、社長宅に火炎瓶が投げ込まれた事件も起きた。この社長というのは村井信夫。部落解放同盟京都市協議会議長などを歴任した人物であり、地元では“同和のドン”と呼ばれる。そしてこの発砲事件について追跡するとある人物が浮上した。また同じく“同和のドン”と称されたA氏だ。彼もまた崇仁地区開発に関わった時期があり、中口とも付き合いがあったが現在は距離を置いているという。

村井建設の社屋。付近には市営住宅群が並ぶ。

かつて村井とA氏は懇意だったが、その後、対立してしまう。複数の関係者から村井建設への発砲事件もこの両者の対立から起きた、との証言を得た。

村井建設を訪問し同社を継いだ村井孝次社長に銃撃事件について尋ねてみた。なお村井孝次社長も解放同盟の役員であり、『全国部落調査』裁判の原告の一人でもある。インターホン越しに用件を伝えると、意外にも村井社長本人が待っていた。

「銃撃事件? もう古い話だし分からん。警察で聞いてみたらええやん」

では事件当事の社長、村井信夫は何か有力な証言をしてくれるのだろうか。村井建設近くの親族に名刺を渡して返事を待つと、本人から連絡があった。驚いたことにとても丁寧な対応だ。

「発砲事件のこと。もう終わったことだしもう分からんわ。崇仁開発も聞いてるけど、詳しいことは知らんね。今は福祉のことをやったりいろいろ動いているよ。もちろん人権のこともやるし、今日も会合があるけどアンタが来たっていうから電話したんや。Aについて? とにかくもう一緒にやることはないよ。今日はあかんけどまた時間があったら話そう。まあがんばりや」

またA氏に接触を試みようと、同氏が役員を務める建設組合に連絡を取ってみると後日、別の役員から連絡があった。

「崇仁地区開発についてはもう離れているので話すことはない。多忙なので申し訳ないが取材を受けることはできない」

というメッセージが伝えられた。なにしろ崇仁地区開発は総額1兆円に及ぶ超大型のプロジェクトだ。この壮大な計画に自民党が関心を寄せないはずがない。国政側の人脈を見ると2013年6月19日の「京都駅東地区市街地再開発を推進する決起大会」で石井一参院議員が危機管理都市推進議員連盟会長の立場で講演している。しかし現時点では表立った自民党の動きはないが、現実問題としてあれだけの大事業には自民党の力も必要になるだろう。この内幕はまたいずれ報告したいが、自民党の大物議員の秘書が動いているという情報もあった。またこんな背景もある。

過去、本誌が報じたように今後、自民党は自由同和会を介して「同和事業」に食い込もうという意図が透けて見える。また崇仁地区関係者にとっても自民党の協力を得たいというのが本音だろう。しかしその時はパイプ役が必要になる。自民党と崇仁地区開発とつなげる大技ができる人物がいるものか。

崇仁地区の開発構想図。

三品純 について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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現地ルポ 崇仁地区再開発(2)」への1件のフィードバック

  1. .

    崇仁協議会から分裂した「崇仁・協議会」の藤井と川村は蚊帳の外なんでしょうか?

    返信

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