データから見た朝鮮学校(前編)

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By 宮部 龍彦

朝鮮学校と言えば、朝鮮総連、北朝鮮との関係がイメージされがちである。一方、児童生徒や親がどのような方々で、どのような考えでいるのかということを知る機会は少ない。

示現舎では、大阪朝鮮学園の補助金裁判に絡んで、大阪朝鮮高級学校の父兄に対して行われたアンケートの結果を独自入手した。そこから、朝鮮学校のリアルの一片を垣間見ることができる。

生徒の家庭は意外にお金持ち?

以下は、家族の職業の割合のデータだ。夫婦共働きなどの複数の家族が就業している場合もあるので、全てを足すと100%を超えることに注意していただきたい。日本ではサラリーマンの割合が87%と言われる一方、朝鮮学校の生徒の家庭は会社役員や自営業の割合がかなり高いことが分かる。

では世帯年収はどうかというと、以下のグラフの通りである。ちなみにこれは、所得ではなく税や社会保険料を差し引いた後の手取り収入である。母子家庭のような低収入の世帯もそれなりにあると考えられるものの、全般に収入は低くなく、高収入の世帯が意外に多いことが分かる。これは、いわゆる「私立学校に子供を通わせている家庭」のイメージではないだろうか。また、子供がいわゆる高校生の家庭なので、親の年齢は40~50歳(平均年齢は46歳)で働き盛りということもあるだろう。

「在日」と言えば「差別と貧困」というのはもはや大昔のことだ。経営者が多く高収入ということは、華僑のように商売で成功している人々という、新しい別の「在日」のイメージに合致しているように思う。

朝鮮学校の生徒の親は朝鮮学校の卒業生

以下は、朝鮮学校を選択した理由に関係するデータである。

ここから分かることは、朝鮮学校の生徒の親は朝鮮学校の生徒であったケースがほとんどであることだ。そして、親が朝鮮学校に期待することは民族性、母国語の習得、交友関係であって、学力は重要なファクターではないことが分かる。

しかし、朝鮮学校の生徒の親が朝鮮学校の卒業生だからといって、朝鮮学校の卒業生が子供を必ず朝鮮学校に入れるとは限らない。一方、親が卒業生という以外の理由で子供を朝鮮学校に入れる動機がほとんどないので、将来的には朝鮮学校の生徒は減る一方ではないかと考えられる。

そのことを裏付けるのが次のデータだ。朝鮮学校に子供を入学させていても、日本の学校に入学させることを検討したことのある親が40%程度存在することが分かる。ちなみに、金剛学校・建国学校は韓国系の学校で、コリア国際学園は南北のどちらの勢力にもつかないコリア系の学校であるが、これらの影響は非常に小さい。

次回はデータをさらに深く掘り下げ、朝鮮総連と朝鮮学校の関係、補助金打ち切りに対する生徒の親の本音に迫っていきたい。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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