和歌山市の不正支出を公益通報した岩橋良浩氏(当時28歳)が2020年6月に自殺した陰惨な事件。原因は同和地区の子ども会を対象にした活動支援交付金の不正支出を岩橋氏が告発したことだ。報復人事を受けた岩橋氏は家族宛てに遺書を遺し自宅納屋で縊死した。その後、和歌山市の対応からは検証も反省も感じられないのは怒りを越して虚しいだけだ。
市役所前の同和啓発碑が白々しい
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【和歌山市職員 自殺事件】過去にも“同和絡み”で公益通報 子ども会交付金は 県が考案した 地域対策費?
「心から人を尊ぶまちづくり」。職員の自殺事件を思うと、和歌山市役所前の「同和啓発碑」に刻まれた標語が一層、空虚に思えてならない。今時、役所の玄関口に「同和啓発碑」を設置していることに疑問を感じないものだろうか。〝心から人を尊ぶ〟とやらの和歌山市役所内で起きた事件。
岩橋氏は、2020年6月25日早朝、自宅納屋で痛ましい姿で発見された。
「お父さん、お母さん ●●ちゃん(姉) いままでありがとうございました。ぼくは生きていくのに疲れました。親不孝ものですみません」
裁判では証拠資料として遺書が提出されていた。誰もがやりたがらない国民健康保険税の滞納金の回収業務に一生懸命取り組んだ。勤務態度からしてきっと生真面目で律儀な人格だっただろう。ところが遺書は郵便物の裏の殴り書きのような書体だった。悩み苦しんだ末、最後の余力を吐き出すように書いたのかもしれない。

同氏は2015年3月に同志社大学を卒業し、同年4月1日に和歌山市役所に入庁し、同月13日に国保年金課に配属された。新卒職員にはいきなり過酷な現場だったかもしれない。同課で国民健康保険税の滞納を知ることになるが、よりにもよって当事者は部落解放同盟和歌山県連合会書記長の池田清郎氏だ。
それでも岩橋氏は滞納整理を進めたが、紛れもなく何らかの〝圧力〟が作用した。
「和歌山市役所」という異常な組織
2018年5月28日に教育委員会事務局教育学習部青少年課に異動。勤務先は平井児童館である。同館は隣保館だった「平井文化会館」(和歌山市隣保館条例昭和29年3月29日施行)と平井児童館が合併し、2021年に「和歌山市平井ふれあいセンター」としてリニューアルする。

岩橋氏が勤務していた当時の平井児童館は事実上、隣保館の関係施設として平井子ども会の運営に関わった。「地域子ども会育成に関すること」「各地区の子ども会に係る事業の企画、立案、指導助言に関すること及び事業の実施」「人権問題に取り組む青少年の育成に関すること」の事務が業務だ。大学を卒業して行政マンとして地域づくりをしたい。そんな抱負を抱いていたはずだ。ところが平井児童館の業務は単なる解放運動のサポートに過ぎない。
活動報告からして到底、子ども会とは思えないのだ。「平井子ども会 2017年度 活動のまとめ」から一部を抜粋しよう。
平井子ども会が結成され60年以上が経ちます。私たちの子ども会は、1952年に起きた西川県会議員差別事件をきっかけとして結成され、人権尊重の意識を高め「差別を見抜き、差別を許さない、差別と闘う」子どもたちの育成や仲間づくり、環境づくりに日々の活動を続けています。
差別事件が契機で発足した「子ども会」が果たして「子ども」のための組織なのだろうか。要するに子どもを口実とした事実上の解放運動ではないのか。また活動報告には案の定というべき主張もあった。
高校進学率を見ても格差が存在していますし、全国の部落の地名や人物名を掲載した「全国部落調査」をインターネットで販売しようとする「鳥取ループ・示現舎」による部落地名総鑑事件も起きています。
要するにこのくだりが主張の核心部分だろう。こうした主張も到底、子ども会向きと言えるだろうか。岩橋氏は実際に子ども会活動を行っていないことを見抜き告発した。
それに対する「報復人事」である。いかに四面楚歌の状況だったのかご覧に入れよう。以下は2018年度平井子ども会役員名簿である。
いかに異常な職場環境だったのか理解してもらえるだろう。

池田氏は部落解放同盟和歌山県連の書記長だ。そして黄線部分の人物を見てもらいたい。松本吉弘氏は同県連会計、歌坂憲彦氏は平井地区の代議員として2018年10月15日の『解放新聞』に掲載。松井辰也氏は県連書記次長。地元の解放同盟員が並ぶが、同時に彼らは和歌山市職員なのだ。また顧問の瀧口秀光氏は同県連顧問で企業連(同和地区の企業を対象にした企業の連合体)の理事長を務めた人物だ。
そればかりではない。
この中の松本氏は子ども会交付金の不正請求をめぐり2020年2月18日に処分された。この処分自体が大甘ということも指摘しておこう。
内訳は課長級が1名で停職6月、副課長級が1名で減給1月、局長級1名で戒告、部長級課長級各1名で訓告、班長1名で厳重注意。松本氏は減給1月だった。岩橋氏は軽い処分にショックを受けたという。問題はそれだけではない。
和歌山市は処分直後の2020年4月1日付きで、岩橋氏が当時、勤務していた生活支援第2課と同じフロアの生活保護課に異動させた。パーテーションなどの仕切りはなしでお互い顔を合わせる状況だ。なおこれも興味深い事実である。同和団体に所属する自治体職員は和歌山市以外でも存在するが、人権関係の部署か生活保護担当というケースが目立つ。生活保護申請の場合、〝面倒な住民〟もいるのでその対応要員というわけだ。
一体、誰がこのような配置を考えたのか不思議でならない。市長、市幹部の一存だけでこのような人事が起きるのは考えにくい。首長、行政組織を屈服させることができるとすればそれはたった一つだけだ。
誰か岩橋氏をフォローすることはできなかったのか。労組は何をしていた? 誰か逃げ道を用意することはできなかったのか。まるで和歌山市職員全体が何らかの力に屈服して追い詰めているかのようだ。
2018年9月15日、教育政策課副課長が岩橋氏と面談を行った。また同時期に産業医の診察を受けたが「うつ状態になる原因となったのは青少年課の業務であるとのことなので、それ以外の部署に復職するのであれば何ら問題は無いのではないか」と医師は意見していた。
それ以外の部署と言っても、やがてトラブルの渦中の人物と同じフロアで働くことになる。医師の診断はあまりに楽観的過ぎたのではないか。あるいはこの診察結果も何らかの〝思惑〟が作用したと勘繰りたくもなる。
岩橋氏にすれば医師というのは最後の拠り所だったかもしれない。それが問題無しだとの診断は絶望感を抱いたはずだ。しかも岩橋氏への報復は相当、念入りなもので人権研修への強制参加が求められた。
2019年1月21日に心療内科を受診。辛い日々が続く。その中でも人権研修が求められたが
「2月15日に(池田氏との)マンツーマンの研修があるから行きたくない」
と不安を述べていたという。あまりに執拗な岩橋氏への包囲網、いじめだ。これが和歌山市役所が言うところの「心から人を尊ぶまちづくり」ならば噴飯ものである。
やっぱり「童話」は怖いよ!
子供の時、あるプロパンガス会社が制作した「童話カレンダー」(日本や西洋のおとぎ話をかわいい漫画にしたもの)をもらい、勇んで帰宅して母親に見せようとして「どうわカレンダー(喜)」を貰っよ!と言ったら、ものすごい剣幕で「そんなもの貰うんじゃない!(怒)すぐ捨てなさい!(怒)」と言われ、すぐに自宅の外にあるゴミ箱に放り込んだ!(悲)
一部の地域では部落のことを隠語で「メルヘン」と呼ぶらしく、20年ほど前かな、会話の中でメルヘンチックなどと言ったら「それどういう意味で言ってる?」と態度が急変する人がいました。
後で同和=童話=メルヘンなんてことを聞きました。
まぁ雛飾りや六曜にも差別だと噛み付く人がいるので・・・
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仮に岩橋さんが日本共産党員だったら、市役所の異常な労働環境を赤旗が報道してくれたんでしょうか?
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コメントありがとうございます。
鋭い指摘ですね。
赤旗は報道してないと思いますが、共産党の方がかなり頑張っておられるのは事実です。
人を死に追いやる人権運動って何や
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