昨年12月末から批判殺到、奈良県・山下真知事ご執心の〝2.7億円〟K‐POPコンサート。山下知事は日本維新の会所属にも関わらず多数の自民党県議が賛成したことも疑問視されてきた。地元では反対論も強く昨日19日、橿原市内で地元有志らによる反対集会が開催されたが計画の白紙撤回は厳しい状況だ。内情に追った!
山下知事は説明しないでレッテル貼り
賛成した県議らにすればここまで大事になるとは予想していなかったかもしれない。しかし物価が高騰し厳しい市況の中、知事の場当たり的な発案で2.7億円もの税金がK‐POPにバラまかれる。反発が起きても当然だ。
改めて概要を説明しておこう。コンサートは友好提携都市・韓国・ 忠清南道と共同で企画。出演アーティストは韓国側が用意し、奈良県が2.7億円を投じ奈良公園で会場の設営を行う。9000人が無料で招待されるが、県外者も対象なのか未定だ。
また会場が奈良公園という点について歴史的な観点では「意味がない」という専門家の指摘もある。というのは忠清南道は百済の首都で古代の宮都、飛鳥(明日香村)と交流があった。つまり本来でいえば記念イベントは明日香村で開催の方が相応しいという指摘もある。
それに年が節目の年というわけでもなく降ってわいたイベントであり、山下知事の私的な韓国へのシンパシーから企画されたとしか思えない。
そこでコンサートにメリットや国際交流上の意義があれば丁寧に説明すればいいだけの話。ところが 山下知事によるSNS上の反論は「反対論」に対して〝嫌韓〟や〝ネトウヨ〟といったレッテル貼りである。
国際交流どころか反発を煽っただけの気がしてならない。本来、国際交流とは民間同士で自然派生的に生まれるものであって政治や行政による押しつけ友好は軋轢を生むものだ。
山下知事の無計画さ、無定見さを示すエピソードがある。昨年11月、奈良県立医科大学近くに設置される近鉄橿原線新駅西側に5000席のアリーナ建設が発表された。地元からは「5000席というのがハコとして中途半端。1万人規模が望ましい」との要望が強い。
ところが計画当初から山下知事が想定していたのは「約2000人規模」の会場だったというのだ。しかしこれでは利益率が低いとして興行側も使用を渋る。そこでなんとか県議らが5000人規模に修正させたというのが実態だ。山下知事にすれば建設費を抑えたと考えたのだろう。
しかし規模を小さくし建設費を抑えたところで大きなコンサートやイベントが打てず利益が出せない無駄ハコモノになりかねない。たった1日のコンサートに2.7億円を投じる太っ腹知事の発想とは思えない。
随所でノープランぶりを露呈
「中止にしたいのか、それとも規模を縮小させたいのか」
19日、橿原市内の「橿原万葉ホール」で開催された「K‐POP勉強会」では地元議員、オンブズマンが登壇しイベントの問題点を議論した。会場からは「なぜ自民党が賛成するのか」などの疑問が寄せられた。勉強会の様子は主催者である奥田寛前市議会議員が後日、YOUTUBE上で公開予定だ。
会の趣旨としてはもちろんコンサート反対で中止に追い込みたいという一同の思い。非常に杜撰な計画には違いないが、ただし中止させるのは困難な状況である。
K‐POPコンサートの会場は奈良公園内の多目的広場「春日野園地」だ。先に述べた通り歴史的には脈絡がない奈良公園で開催するのは単純に9000人規模の会場がないからだ。またスケジュール的にも計画は雑。
予定では開催日は10月18日(土)、19日が予備日、雨天の場合はどうなるのかこれまた未定。同園に舞台装置や椅子などを設営してコンサート会場にする計画だが、なんと予算2.7億円のうち約1億9千万円が舞台設営費というのだ。
ということはコンサートホールや野球場ならば椅子やトイレなどがあり舞台設営費は大幅に抑制できる。
そこで県からは奈良市に対してロートスタジアム奈良(鴻ノ池球場)の使用について内々に打診があったという。仮に野球場での開催になった場合、確実に費用は抑えられる。だが結局は開催することになってしまい山下知事のゴリ押し企画を追認する格好になってしまう。
このような背景から「中止を目指すのか、それとも規模を縮小するのか」といった疑問が勉強会でも噴出した。非常に悩ましい状況なのだ。
野外の場合、雨天での開催の有無は定かではない。しかしこれを「おかしい」として屋内での開催を求めてしまうと今度はK-POPコンサート計画を容認してしまうことになる。
まだ疑問は尽きない。
コンサートは山下知事が訪韓した際、現地で提案されたという経緯だ。その際、韓国側からは「日本でいえば紅白出場クラスの有名K‐POPアーティストを参加させる」と提案されたという。
現状、K‐POPコンサートといっても参加歌手はまだ発表されていない。先方からは紅白クラスの有名歌手という提案なのだが、実は何も保証がないというのだ。つまりいざフタを開けたら紅白クラスどころか、無名の歌手ばかりという可能性がある。韓流トップスターの来日を期待したらドサ回りの歌手だった、という顛末もありえるのだ。
逆に山下知事は韓国で開催を約束しており、現地・ 忠清南道は予算付けしてしまっている。「維新県議が〝もう決まったことだから何とか通してほしい〟と自民党有力者に泣きついた」と地元関係者は裏事情を明かす。しかも韓国イベントについては荒井正吾前知事の時代から行ってきたこと。「正吾の時代からやっていた」といわれたら自民党議員もグーの音も出ないだろう。
しかし今回のコンサート企画は急な上、山下知事の独断専行。脈絡がないイベントだ。仮に中止したところで単純に山下知事のメンツが潰れるだけの話。だから特に県政には大きな影響はないだろう。ただ何しろ「謝罪と補償」ではご実績があるかの国。仮にK‐POPコンサートを中止した場合、違約金を求めてくる可能性も否定できない。
コンサート賛成派の申入書を読む
しかし1月に入ってやや状況が変わったようだ。賛成派の議員らもさすがに現状のプランでは理解が得られないと思ったのか、1月15日に日本維新の会、公明党、また自民党一部県議が山下知事宛てに「奈良県・忠清南道友好提携15周年交流推進事業に関する申入書」を提出した。
特に池田慎久、岩田国夫両県議は自民党内の賛成派の急先鋒。両県議の説得で賛成に回った県議も少なくないという。
このため申入書は「中止」ではなく「規模縮小」を求めたものだ。要望の1をみると「さらなる支出削減のため、屋外での開催を中止すること」とある。これは先述した通り、奈良公園だと設営費が高額になるため屋内施設への変更を求めたわけだ。
2は特に意味がある要望ではない。ただし「3、歴史的につながりの深い「飛鳥・藤原の宮都」の世界文化遺産登録の推進に資することも念頭におくこと」については実は〝意味深〟のようだ。つまり忠清南道と交流するに相応しいのは明日香村であり、すなわち奈良公園以外の場所での開催を求めたという見方もできる。
つまりこの申入書を作った県議らは現状の2.7億円コンサートの規模を縮小し、理解を得ようという狙いとみられる。反発を受けて落としどころを模索しているような内容だ。
となると外部の目には反対派と違って賛成派は「予算削減に貢献した」という具合にみられかねないのだ。
しかも反対すれば山下知事を始め賛成派からは「嫌韓」「ネトウヨ」とのそしりを受けてしまう。唐突すぎる計画であっても「反対」すること自体が困難な状況である。
コンサート反対派にとっては悩ましいところ。あくまで「中止」にこだわるのか、それとも大幅な予算削減を狙うのか、非常に厳しい選択が迫られているのだ。
あとは3月議会でどのような議論がなされるか。
山下知事はもっと市民派政治家と思ったが残念。
台風シーズンで中止の可能性は結構あり、億単位で損失が出るバクチに公費を投入するとは?
費用対効果はもっと疑問。
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