東京都知事選も終盤である。現職の小池百合子候補が圧倒的に優勢と見られる中で、2番手と見られていた蓮舫候補に迫るか、あるいは追い越すのではないかというほどの勢いがあるのが、前安芸高田市長の石丸伸二候補である。
そもそも石丸氏が二期目の安芸高田市長を狙わなかったのはなぜなのか? 筆者は率直なところ「安芸高田市で勝てる見込みがなかったので逃げたのではないか」という、うがった見方をしていたが、現在の状況は安芸高田市民にとっても全く予想外だったようだ。まさに市長選挙の真っ只中の安芸高田市から安芸高田市長としての石丸氏の“実績”と、その余波をレポートする。
石丸 VS 藤本の“代理戦争”の裏側
「まさか石丸さんが都知事選挙に出るとは思ってもいなかった」「熊高さんが市長選挙に出るのは予想外だった」
現地の複数の政界関係者から聞いたのは、このような声である。
都知事選と同じく7月7日開票の安芸高田市長選挙には、赤津誠一郎、熊高昌三、森谷公昭、藤本悦志の4候補が立候補している。この中でも石丸前市長と因縁深いのが、熊高氏と藤本氏である。
熊高氏は合併による安芸高田市発足前の、高宮町の時代からのベテラン議員であるが、市議会の中でも一番の“石丸支持者”としても知られた。石丸氏に影響されたためか、自らYouTubeチャンネルを開設しており、ネットを活用した政治活動を進めているため、石丸ウォッチャーの間でもよく知られた存在だ。
一方、藤本氏は熊高氏以外の全ての市議会議員の了承を取り付けて立候補した新人である。公明党の斉藤鉄夫衆議院議員、立憲民主党の森本真治参議院議、自民党の石橋林太郎衆議院議員も応援に加わり、今回の選挙の本命と見られている。
そのため、今回の市長選挙の熊高 VS 藤本は、石丸 VS 藤本の“代理戦争”という見方もされている。
注目すべきは、熊高氏も藤本氏も旧高宮町の川根の在住であることだ。つまり、かなりピンポイントで同郷の人物による選挙戦になっているのである。
さて、川根と言えばもう1人有力者がいる。以前の記事「安芸高田市 石丸市長 議会との 対立の原因は 同和行政?(後編)」で筆者が「同和のドン」と評したT氏である。T氏はもとは熊高氏の後援会長だったが、それをやめて藤本氏支持にまわったと聞いていた。筆者はそのT氏から今の状況になった背景を聞くことが出来た。
T氏はエコミュージアム川根のレストランで自ら魚を焼いて接客している最中であった。「ここは市の施設で指定管理だけど、市がお金を出さないから自分でやっている」という。住民がレストランに来るたびに、頭を下げたり声をかけたりといった調子で、これは住民から慕われるのは当然のことである。
T氏としては、安芸高田市の解放同盟はとっくに解散したし、自身は特定の政党に肩入れせずに、あくまで地元のために活動してきたので「同和のドン」と評されるのは心外という様子である。そのT氏に、石丸氏が二期目に出なかった理由を聞いてみた。
「それは分からん。石丸さんは二期目に出るものと思っていたから予想外だった。藤本さんについては気持ちの上では応援しているけど、後援会長はしとらんよ。部落のもんがバックにいるなんて言われでもしたら迷惑だろうし」
T氏が熊高氏の後援会長を辞めた経緯については次のように語った。
「藤本さんが出るって言い出した時に、同じ川根から若い人が出るならそっちを応援するのが筋だろうと熊高さんに言ったけど、熊高さんが藤本さんを応援しないと言うから、仕方なく熊高さんの後援会長を下りたの」
年齢で言えば、藤本氏は熊高氏より20歳ほど若い。藤本氏が立候補すると言い出したのも、T氏にとっては予想外だったそうである。仮に藤本氏のことがなければ、熊高氏が石丸氏を支持し続けても、T氏が熊高氏の後援会長を続けたのかと言うと、そうだという。
「熊高さんがどうしてそこまで石丸さんを擁護するのかは、人と人との心の持ち方のことだから、私には分からん。石丸さんについては、好きも嫌いも市民が選んだ安芸高田市の“大統領”なんだから、言うことを聞くしかないでしょ」
このように、地元有力者にも予想外なことが次々と起こって、今の状況になっているのだ。
熊高氏「この人は日本を変えると思った」
もし、石丸 VS 藤本の選挙戦になった場合、石丸氏には勝算がなかったのか。それについては、先のT氏も分からないということである。筆者は、藤本氏陣営に出向いて、同じ質問をしてみた。
「私どもも、石丸さんが二期目に出るとばかり思っていましたから、今の状況は予想外です。熊高さんのことは、過去に市長選挙に出たことがあったので、あり得ることかなあと思いました」
確かに、平成20年の市長選挙で熊高氏は立候補したものの落選している。ということは、石丸氏が二期目に出ないとなれば、熊高氏が出てくるであろうことは藤本陣営では予想できたことのようである。
仮に石丸氏との選挙戦なれば、票読みでこれは勝てるだろうという算段はあったのか。
「いえいえ、全く予想できないですよ。石丸さんが出てきたら厳しい戦いになるだろうなと思っていました。石丸さんは、本人が言っているとおり、もっと大きいところの選挙に出たかったんじゃないですか」
藤本氏陣営は各方面から支持を取り付けて、王道と言える選挙運動をする一方、その反面守旧派と見られることを警戒しているように感じた。
「YouTubeの影響が大きくて、古い勢力のように見られることには困惑しています。例えば「藤本は清志会(安芸高田市議会の一会派)」のようなレッテルを貼られてしまっていますが、全ての議員に支持をお願いしています。石丸さんが地元との相談なしに物事を決めることが多かったため、私どもはオール安芸高田市ということで、(「対話からの前進」と書かれたシャツを示しながら)どなたとも対話を重視してやっていきます」
一方の、熊高氏陣営が、個人演説会を開いているというので、会場に行ってみた。
石丸氏と言えば、議会での過激とも言える言動、古参議員を躊躇なく敵に回す様子がYouTubeで拡散された。そんな石丸氏を擁護してきた熊高氏が、石丸氏のように激しい人物かと思えば、これが全く正反対なのである。
“反石丸派”の議員からも、「なぜ熊高さんはそこまで石丸さんに肩入れするのかなあ」という困惑こそあれ、熊高氏を悪く言う人はいなかった。筆者の印象でも、熊高氏はベテラン議員らしく穏やかで丁寧な人物である。
演説会は、YouTubeでライブ放送されており、いかにも石丸氏の方法を取り入れたやり方だ。
わざわざ県外からやってきて、質問をするのは気が惹けるところがあったが、スタッフに聞くとOKということなので、筆者も質問していただいた。何らかの形で安芸高田市と地縁のある人に広まって欲しいので、大歓迎ということなのである。
筆者は2点質問した1つは石丸氏が二期目に出なかった理由を知っているかどうか、2つ目は石丸市政下で感情的な対立が生じた議会等との関係はリセットされるのかということである。
熊高氏はまず2つ目の質問に対して「リセットします」と明言した。
そして、石丸氏については、熊高氏は安芸高田に留まらず日本を変える人だと評価していており、遅かれ早かれこのようなことがあるとは予想しており、都知事選があったからこのタイミングになったのだろうということだ。ここしばらく、熊高氏と石丸氏の間でやりとりはないが、一度だけ「ぜひ東京をつかんでください、私は安芸高田をつかみます」とメールで一言伝えたということである。
実は同様のライブ中継は藤本氏陣営も行っており、インターネットを活用した選挙のやり方が安芸高田市で定着しつつあるのは、間違いなく石丸氏の影響があってのことだろう。そして、熊高氏も「対話」という点では石丸氏と一線を画しているように見えた。
再生団体にもなりかねない安芸高田市だし、市長の役は敗戦処理の役ってことになりそうだなぁ
ババ抜きと同じだよね 石丸氏が一抜けたと
http://blog.livedoor.jp/namepower/archives/3767619.html
宮本洋一さんによると、石丸伸二後援会の鳥羽博道は「善隣」のようですが、示現者としてはそこには興味ないのですか?
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え?隣人が仲良かったら何か問題でも?