【総選挙特集】与党入りしてもトラブル続き日本維新の会去った人・残った人の政治人生泣き笑い

By Jun mishina

大阪府内では断トツの強さ、全国的には減退が著しい日本維新の会。2023年の統一地方選の躍進後は、離党者・除名者が後を絶たない。その原因は大阪至上主義にあるかもしれない。大阪トップダウンの党風の中で去った人、残った人、様々な人間模様がある。維新人の泣き笑いを追った。(写真は岬麻紀元衆院議員と貝塚市長選掲示板)

岬麻紀・前衆院議員愛知自民のドンも匙を投げた?

秋葉原駅前で高市首相と街宣に立つ吉村代表、藤田幹事長。

選挙期間中にあっても維新に対していわゆる「国保逃れ」で批判が殺到している。党内のパワハラについても各地で横行して影を落とした。その一人が岬麻紀前衆院議員だ。岬氏のパワハラについて党へ対応を求めた小村貴司・北名古屋市議が報復的に除名処分を受けたことも当サイトでレポートしてきた。かといって岬氏ばかりを責めるのも酷だ。

というのも維新は、将官級(大阪選出の国会議員+大阪市議)が尉官級(府外議員・地方役員)を責め、尉官級が下士官(地方議員、秘書)を責めるという構造がある。

維新内部でのパワハラ連鎖というものだ。ただし党内のヒエラルキーでは岬氏は「食われる側」でもある。同じく愛知維新の会の杉本和巳衆院議員からパワハラを受けていた。

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その後、岬氏は一昨年の総選挙(愛知5区)で落選。当時は他陣営のポスター剥がしを秘書に命じたと週刊文春に報じられた。なにしろスキャンダルは事欠かない。

政治活動を継続しているが維新の看板は外した。「一応、スタッフとは連絡が取れる状態だが、党籍について実は私もどうなっているのか分からない」(愛知維新の会幹部)、「騒動のどさくさで自然消滅に近い」(元支援者)という状況だ。

宙に浮いた存在になった岬氏が自民党入りを画策したという。もともと岬氏のバックは維新重鎮ではなく、愛知自民のドンこと水野富夫県議。正確には(株)名北の創業者で同県議の兄が岬氏の支援者だ。

かつては名古屋市長時代の河村たかし衆院議員に見出され減税日本の候補だったのが2019年の参院選で維新の候補になった渡り鳥。そんな岬氏が大胆にも自民党候補を希望したというのだ。

「岬氏は愛知5区でよりにもよって自民党の公認を得ようと年明けすぐに地元の自民党議員へ挨拶回りをしたのです。もちろん相手にされることはなく事務所に名刺を置いて退散でした。地元ではちょっとした笑い話になりましたよ」(自民党関係者)

自民党内でも候補擁立で揉めた愛知5区

愛知5区(名古屋市中村区、中川区、清須市など)はかねてから自民党内でも懸案事項の選挙区である。同区は長らく神田憲次元衆院議員の地盤だったが、2023年に税金の滞納が報じられた。また愛知自民のドン、水野県議と神田氏は犬猿の仲。水野氏や愛知県連は岡本康宏氏の擁立を進めたが、前回の衆院選では神田氏が押し切って出馬するも落選した。

一方、今回の衆院選で自民党は岡本氏を5区に擁立。

「実は高市首相が細田健一元経産副大臣(元新潟2区)を5区に擁立しようと働きかけましたが、県連が推す岡本氏に決まりました。妥協案として細田氏は比例東海ブロックに回ったのです」(愛知自民関係者)

つまり自民党内ですら手を焼いた選挙区だから、岬氏が自民候補になれるはずがない。それ以前に後ろ盾だった水野氏自身が岡本氏推しだ。

「2019年の参院選で当時、維新所属だった鈴木宗男参院議員が岬氏の応援に来ました。その縁で岬氏は鈴木氏に自民党入りの仲介を依頼したというのです。高市首相の意向も聞き入れられないのだから、さすがの宗男パワーでも無理。水野氏からも〝やるなら自分で汗をかけ〟と突き放されました」(前出関係者)

そこで鈴木氏に事情を確認しようと質問状を送付したが返答はなかった。維新候補の岬氏を支えた水野氏にも話を向けたが――。

「岬? 関係ないよ。応援は兄貴がやったことだから。(岬氏と)写真なんて一緒に撮っていない。マスコミは嫌いだもんで取材はええわ」

水野氏と岬氏のツーショット写真ならSNS上でも散見されるが…。維新を去ったものの今後の政治活動は茨の道のようだ。

維新絡み3名、自民1名が対決した異例の貝塚市長選挙

貝塚市Webサイトより。

総選挙直前、1月25日に行われた貝塚市長選。4候補者のうち1名が維新候補、2名が元維新という異例の選挙戦だ。当選したのは牛尾治朗・前大阪府議。現職だった酒井了氏は昨年8月に「身を切る改革」の不履行を理由に除名処分。出原秀昭氏は2021年に維新を離党、2023年末に参政党を離党した。

これに対して自民党推薦の田中学元市議が3氏に挑んだ。田中氏は前回の市長選で自民、立憲民主党の推薦を受けたが当時、維新候補だった酒井氏に敗れた。また田中氏は大阪府内で石破茂前首相の側近で、公明党ともパイプが深い。石破氏も応援に訪れたが維新の壁は厚かった。

維新王国・大阪だから牛尾氏優勢の声は当初から強かったが、連立を組んでも首長選は自維対決。早期から市長選に向けて活動してきた田中陣営にとって牛尾氏の立候補に戸惑っただろう。

田中陣営の関係者はこう内幕を明かす。

「後見人役の片山さつき財務相に〝維新が候補を立てるのは筋が違う〟と相談したのです。ところが片山氏からは〝がくちゃんゴメン、維新本部の方針ではなくて大阪維新の意向だから止められなかった〟という説明でした」

市内では約4千~5千票と言われる「創価学会票」も自公連立の解消から田中氏から離れた可能性が高い。しかも自民党陣営は一枚岩ではなかった。「地元の有力者、谷川とむ氏(19区)が牛尾氏の応援に回ったのです」(地元記者)

現職にしては熱気を感じない酒井氏の選挙事務所(自宅)。

田中氏には厳しい選挙になった。対して前回、田中氏に競り勝った現職、酒井氏だったがもう戦意喪失の状態。「事務所は自宅、選挙カーも出していません。選挙期間中も役所で最後の市長ライフを楽しんでいました」(前出記者)

つまり実質、3人の戦いになったが、結果からすると出原氏の大健闘とも言える。万一、酒井氏が立候補していなければ出原氏に好機があったかもしれない。維新候補として勝利した牛尾氏だが、首長とは言え本部の意向や指示は絶対だ。一歩間違えば牛尾氏も酒井氏の二の轍を踏む可能性はある。

和歌山と岐阜維新 初の予備選を経験した浦平氏、山田氏

【参院選】和歌山‐岐阜選挙区「立維」が候補者一本化で高笑いは自民党 泣くのは立憲民主党⁉

コワモテ議員が居並ぶ維新の中でも和歌山県・浦平美博前県議は教員時代の体罰で逮捕歴を持つ。この衆院選でも維新候補として和歌山1区から出馬する。同区は自民、中道、国民、維新、参政、共産が争う激戦区だ。現職で自民党の山本大地氏、維新を離党した国民入りした現職、林佑美氏を軸に争われる。不気味なのは参政党・林元政子氏。昨年の参院選では自民党、二階伸康氏(次点)に迫る勢いで3位につけた。

「れいわ新選組の票が参政党・林元氏に流れています」(地元選挙通)という裏事情もあり、現職2氏も戦々恐々の存在だ。

浦平氏も前回の参院選に立候補したが、林元氏に3万票も離された。関西地方では強い維新だが和歌山では風前の灯火である。

そんな事情もあってか「浦平氏のポスター貼りが遅れたのです。〝運動員がおらんとちゃう?〟と囁かれていますよ」と先の事情通氏は話す。

もはや林氏の票を剥がすのが目的としか思えない状況だ。さて浦平氏でもう一つ話題になったのは昨年の参院選で初の候補者一本化のための予備選が行われたことだ。和歌山県と岐阜県の維新、立憲民主党の間で行われ和歌山が浦平氏、また岐阜は立民・服部学氏が選ばれた。

岐阜維新で候補を降りたのは山田良司元衆院議員、元下呂市長。同氏については政治資金に不審な点が多々、確認できた。しかし処分されたという話は聞かない。衆院選でも維新の候補として岐阜5区から立候補した。

【岐阜維新】恵那峡にダミー事務所 光熱費140万円 監査人は無資格 山田良司元幹事長の黒い収支報告書

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「身を切る改革」の下、政治資金について厳格なはずの山田氏には甘い対応だ。報復的な意味で離党勧告、除名処分が行われた元党員がいる中で浦平氏、山田氏については特別待遇としか思えない。その裏事情は岩谷良平前幹事長がまとめた「2025年 第27回参議院議員選挙 総括幹事長ノート」にみられるというのだ。重要箇所を抜粋する。

「野党間予備選」によってオープンな形で野党候補者を一本化し与党の過半数割れを実現する挑戦であったが、党勢拡大と与党の過半数割れ実現のどちらを優先目標とするのかなど実施の意義や、どのような場合に有効なのか、また多党化の時代に入ったと言われる中での実現性、実施した際の正および負の影響等を考慮し、今後慎重に検討する必要がある。なお、岐阜県選挙区で擁立を取りやめることとなった山田良司支部長には、予備選の趣旨を理解した上で賛同し、大義のために礎となっていただいたことに改めて敬意と感謝を表したい。

レポートでは党幹部は登場するが、一候補に過ぎない山田氏に対して丁寧すぎるほどの謝意が述べられている。衆院選の公認はその見返りなのだろうか。

維新関係者がこう推測する。

「往々にして地方党員には厳しいのに山田氏に対しては非常に丁寧な扱いですね。もともと政党間の予備選は創立者、橋下徹氏が熱望したことなんですよ。予備選は〝政権奪取のための唯一の方法〟というのが橋下氏の考え。現在も橋下氏の意向は大きく、幹部ですら頭が上がらない状況です。その橋下氏の方針を実現したのだから、立候補を降りた山田氏に感謝したのはよく分かります」

将官クラスの党本部幹部でも服従しなければならない〝大元帥〟橋下徹氏へのアピールというわけだ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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