【自民大阪府連の変】総裁選・高市支持の 理由と衆院3区佐藤‐柳本が 都構想阻止を掲げ 政策合意書

カテゴリー: 地方, 政治 | タグ: , , | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

10月4日、自民党は公明党と共同で「大阪刷新会議」を立ち上げ共通政策を発表した。自公の関係強化を図り、次期衆院選で維新と対決する構え。これまで一枚岩になれなかった自民党大阪府連だが対維新で結束できるのか注目だ。石破-高市で割れた総裁選、公明&維新との関係など大阪府連の複雑な内情に迫った!

高市氏が 大阪党員党友票で 勝った理由

前回の衆院選、維新に全敗したことを受けて立ち上がった大阪刷新本部。しかし同本部設立後、18区支部長になった元演歌歌手、尾形大作氏が解任という顛末も内部の混乱を物語る。

そこで今度は「大阪刷新会議」設置で自公連携と府連の強化を狙う。設立会見には小渕優子組織運動本部長が出席し、維新の対抗策を示した。

前衆院選、昨年の統一地方選で負け続けた大阪府連にとって維新は脅威だ。

ところが国政レベルでは安倍、菅政権は維新と友好関係が続いた。最前線の関西地方では「維新と厳しい選挙戦を続けていることを中央は理解しているのか?」といった不満は根強い。

このため維新との距離感は総裁選にも影響するとみられた。安倍路線を継ぐ高市早苗氏よりも維新色が薄い石破支持の声が強まった。

9月18日に開催された関西決起大会。高市氏Xより。

そして迎えた自民総裁選。大阪府の党員党友票は当初の予想に反して、結果は9985票対5156票で高市氏の圧勝。

なぜ高市氏は大阪を制したのか? 府連関係者の解説が詳しい。

「高市さんのラッピングカーを使ったキャラバン隊はSNS上でも話題になりました。しかしあの街宣方法は選挙管理委員会的にはグレーという見解。そこで奈良県以外の地域でラッピングカーを走らせました。県外なら問題ないし、広報活動も効果があったと思いますよ。そして決定的な勝因は青山繁晴参院議員でしょう」

青山氏も発信力がある議員だが、どのように高市氏勝利に貢献したのか。

「青山さんが大阪府連所属になって昨年度、16000人もの党員を府連に入れました。その票が高市さんに流れたのです。ただ所属議員約120人の中で高市さんに入れたのは8人。議員は柳本顕衆院議員が河野(太郎)さん、あとは小泉(進次郎)さん、小林(鷹之)さんが1人ずつ。議員票では石破さんが圧倒しています」(前同)

石破支持者にすれば高市氏への党員票は基礎票というよりも青山氏の“カンフル剤票”といった受け止め方である。どうあれ開票前は石破有利とみられた大阪の党員党友票だが、高市氏の戦略勝ちというわけだ。

大阪で高市、本戦で石破という結果だが、府連内部では「ノーサイド」との声も挙がっている。当然だろう。衆院解散は今月9日で公示日は15日でもう間近だ。府内では圧倒的な維新を前に結束せざるをえない。そこで水面下では維新への対抗策が動き出しているのだ。

大阪3区は維新・東氏がリード

2019年、市長選に出馬した柳本氏の応援演説に来た石破現首相。

大阪府内においては自民、公明、維新は複雑な関係である。特に都構想をめぐって2度目の住民投票(2020年)は公明党が賛成に回った。

これに対して自民党支持者が公明党に拒否反応を起こしたのが大阪3区だという。

もともと経緯は複雑だ。大阪3区では2021年、柳本顕元衆院議員が立候補を表明したところ現職の佐藤茂樹衆院議員を抱える公明側が反発。柳本氏は比例近畿ブロックに回った。

選挙区を譲ったばかりか、公明は維新に接近している。このため3区は本来、柳本氏に投票したかった自民支持者の「白票」が生じてしまう。

白票は「1万から最大で3万票」(前出府連関係者)という見方もあるほどだ。

2021年の衆院選は佐藤氏の対抗馬が立憲民主党だったこともありなんとか議席を保った。ところが次期衆院選は維新・東徹参院議員が鞍替えし対立候補となる。公明党側は戦々恐々なのだ。

「事前調査ではいずれも東氏優勢と出ています。しかも統一地方選挙で3区の票は自公合わせても維新に勝てていません。その上、自民支持者から白票だから佐藤氏は危機的な状況なのです。負けたら引退でしょう」(府内市議)

佐藤衆院議員のブログより引用。

しかも佐藤氏には自民への“不義理 ”があったと地元記者は指摘する。

「今年3月に佐藤さんはゲストに石破さんを招いて『大阪3区自公合同国政報告会』を開催しました。ところが“ 自公合同”と銘打ったものの、府連内で呼ばれたのは谷川とむ会長だけ。実質は公明党の会合ですよ。事前に伝え聞いた石破さんが“これでは3区の自民党員から反感を買ってしまう”と佐藤さんに助言したのです。そこで佐藤事務所は柳本さん他、市議ら5人にペラ1枚の案内状を持参しましたが、いずれも不参加。“直前にこんな紙切れで連絡されても… ”と戸惑っていました」

佐藤衆院議員と自民側の溝を物語る。

かといってこのままでは維新の勢力が拡大する一方だ。

佐藤、柳本両氏が『政策合意書』

「そこで柳本さんが“大人の対応”をしたのです」と先の地元記者。

「総裁選中も土壇場の9月24日、佐藤、柳本両氏が『政策合意書』を締結しました。その内容は『大阪都構想』の根拠法になっている大都市法改正です。もちろん法改正は並大抵ではありませんが、3度目の(都構想の)住民投票はさせないという有権者へのメッセージでしょう」

いわば「柳本‐佐藤都構想阻止協定」だ。

都構想への反対の意思を有権者に示し、特に自民党の「白票」を佐藤陣営に取り込みたいという狙いがある。一度は都構想に賛成した公明党だが今度は「反都構想」で維新に対抗というわけだ。

なにしろ政策合意書が結ばれたのは総裁選の土壇場。時期的にも佐藤氏の焦燥が見て取れる。

ここが選挙や政局の怖いところ。過去、一度は維新へ接近し、都構想に賛成したのに変わり身が早すぎやしないか。しかもまだ関西政界には公明‐維新が蜜月だった時分の名残りがあるという。

「衆院兵庫8区は最たるものですよ。同区に鞍替え予定だった維新・清水貴之参院議員が斎藤元彦兵庫県知事辞任を受け、知事選に擁立されました。8区も公明と維新が直接対決しますから、清水氏を撤退させて公明側が大阪の選挙区で手心を加える“密約説 ”がメディア関係者の間で囁かれているのです。しかし公明党にとって大阪選挙区のどこにも余裕はありませんよ。密約説は過去、両党の蜜月から生じた憶測、風説でしょうね」(前出地元記者)

6日、維新は兵庫8区に徳安淳子県議を擁立することを発表し「密約説」は完全に否定された。

佐藤氏としては維新の都構想を完全に廃止に追い込み、自公の協力体制を強化するのが狙い。さらには自民票総取りも視野に入れているようだ。

「卓治先生(柳本氏の叔父、元参院議員)以来の柳本家の票を公明党が根こそぎ持っていきたいというわけです。ただ自民党支持層が納得するでしょうかね。それに自民支持者であっても維新に入れることはありますよ。佐藤さんの思惑通りに行くのかどうか…」(前出府連関係者)

重なる不祥事で勢いを失いつつある維新だが、大阪府内では自公タッグでも凌ぐ党勢があるようだ。しかも『政策合意書』といってもそれはあくまで佐藤‐柳本間での話。空手形という顛末もあり得る上に「白票」を取り戻すほどの効果をもたらすのかは疑問だ。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)