先月9日、大和高田市日之出町の近鉄大阪線高田第3号踏切で福田倫也奈良県議が電車にはねられ死亡。自殺とみられている。数日前は社会団体の旅行、死亡当日は夕方までゴルフにも関わらず突然の悲劇だ。事件絡みの可能性もある中、電車事故の数日前に接触していた業者が恐喝で逮捕。県議との関係性が疑われる。
福田氏と電話をしていた 人物とは
連続してお伝えする【奈良の闇】はもともと大和高田市議会・森本尚順市議の怪しい人脈が発端だった。しかし同市で起きた県議の死、また市外の不祥事が絡むなど闇は拡大している。
昨年、県議選で当選したばかりの福田氏が突然の死。陰惨な事件だが日本維新の会からは真相解明を求める声は聞かれない。むしろ地元では風化した感もある。
福田氏は個人再生の過去を持ち、生前は保険代理店を営んでいたが、資金繰りは決して良好ではなかったようだ。5月初旬は橿原市の奉仕団体の親睦旅行に同行したがその際、電話で泣きながら詫びる姿が目撃されていた。金策に関わる電話連絡というのが専らの見方。
その数日後に死亡したことを考えると、この電話も意味深に思えてならない。電話主というのが地元の通称“やんちゃグループ ”の一人で橿原市内の会社経営者S氏という証言を得た。
福田氏の直近の動きを知りえるかもしれない。S氏に地元政界のことを含め福田氏についてを話を聞いた。
「福田さんは私の会社の保険関係を担当してもらっていますので、もちろん話すことはあります。仲がいい? 仕事上のつきあいでグループといったものではありません。森本市議とはあまり関係がよくなかったとは聞いています」と話していた。
またその後の取材で日本維新の会奈良県総支部所属の議員が福田氏にS氏を紹介したと複数人から聞いた。同議員は森本尚順市議と距離がある人物だ。
S氏が恐喝で 逮捕との一報が
福田氏の周辺には例の“やんちゃグループ ”のメンバーが次々に浮上しする。それぞれに接触する中で急転直下の事態が起きた。突如、こんな情報が筆者にもたらされたのだ。
「11日にS氏が恐喝で逮捕されたのです」(地元記者)
市内の建築物の解体工事に絡み5月初旬に発生したトラブルが逮捕理由とみられる。これに対して「別件逮捕」と言い切る関係者も少なくない。
「もちろん警察は福田氏との関係も把握しています。死亡直前のことも調べられるでしょう」(同前)
S氏は橿原市商工会議所にも所属しており、同会議所の議会総会議員も務めている。コロナ禍では市に薬用石鹸を寄付するなど地域活動も行っていた。地元有力議員への献金を行うなど政治にも関心があったようだ。
若手で元気がいい経営者という印象だが、一方で会社については不審な点がみられた。同社は2016年(平成28年)に設立されたが、奈良県が発表した「建設業の許可の全部を取り消したもの(廃業届の提出によるもの)」によると2019年(令和元年)に建設業許可が取り消しになっている。それも会社創業からわずか3年程度で、だ。
仮に代表者が刑事罰を受けたとしても公共事業の指名停止措置というのが大方である。廃業以外、取り消し処分というのはよほどのことがあったとしか思えない。
もっとも500万円未満の工事は建設業許可が必要ないため、取り消し処分があったとしても請け負うことは可能だ。工事自体は可能だとしてもなぜ建設業許可が取り消しという厳しい処分だったのか謎だ。
S氏逮捕という情報を含めて同社に聞いてみた。
「現在、外出中で不在です。帰社時間は分かりません」
また本人の携帯電話は応答できないとの音声ガイダンスが続くだけだ。
橿原市政関係者はこう話す。
「“やんちゃグループ ”というのは学生時代の柔道部仲間が下地になったものでしょう。10年以上前に天川村(吉野郡)で起きた窃盗事件に関わった者もいます」
そしてその事件に関わった一人がS氏だというのだ。こうした過去を持つ“やんちゃグループ ”と福田氏が何らかの事情で関係を持った可能性は高い。加えて気になるのがやんちゃグループ人脈を追っていくと、大和高田市関係人物の“中和グループ ”とも微妙に接点があることだ。
S氏逮捕でどんな事実が浮かび上がるか。