【奈良県 高取町】コロナ感染の 共産党町議が 庁内で赤旗を 配布した 軽率と憂鬱

カテゴリー: 地方, 政治 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:
By Jun mishina

奈良県高市郡高取町の共産党町議が昨年9月、コロナウイルス感染疑いの中、庁内で赤旗を配布。しかも検査結果は陽性。1月26日、同議会全員協議会で町議に厳重注意した。行為は軽率だったが、問題の根底には厳しい赤旗拡販という実態がないか。いわゆる「機関紙活動」は過酷だ。購読料に依存するのはもう限界にきている。

党勢拡大特別期間も 部数減、党員高齢化

「私たちも機関紙(赤旗)で販売の大変さは分かっているからお支払いします」

かつて取材に応じてくれた共産党議員に献本した際、こんな風に代金を支払おうとした。お断りすると同時に地方議員の苦労が垣間見えた。『しんぶん赤旗』の販売促進は通常、「機関紙活動」といわれる。一部130円、日曜版240円、一般紙ですら部数減の中、もちろん赤旗の販売状況はとても厳しい。

共産党は「国民本位の政治」を貫くという方針から政党助成金(政党交付金)を受け取らない。赤旗の売上と党費・寄附を財政基盤にしており、全収入の約86%が同紙を含む機関紙収入だ。

一見はクリーンに思える。しかし「政党助成金を受けると使途を公開しなくてはならず金の流れが外部に可視化されます。それを避ける思惑も指摘されてきました」(政治記者)

党員の高齢化、そして志位委員長も古希近く。後継者問題も残る。

2020年1月の第28回党大会では100万人の赤旗読者とされていた。だが昨年の第6回中央委員会総会(6中総)では日刊紙で1万2千人弱の後退、日曜版で5万2千人余の後退と報告。実売部数こそ言及はなかったが台所事情は厳しい。

そこで昨年8月から「党創立100周年記念、統一地方選挙勝利・党勢拡大特別期間」を設定し、党員・部数の拡大に取り組んだ。

今年1月からはページ数減という事実上の値上げに踏み切ったが、劇的に改善するとは思えない。現役党員も苦しい内情を明かす。

「特に日刊紙の部数減は顕著。またコロナ禍で経済状況の悪化、印刷コスト増といった問題もありますが、とりわけ党員の高齢化で配達業務が大変です。地方では“ 翌日に2部届く”といった遅配もザラですよ」

赤旗の販売収入は財政に直結し、党運営も困難になる。機関紙活動もノルマが増え、自治体議員も負担増なのは言うまでもない。一方で、希望しない職員にまで赤旗を購入を求めるのは「パワハラ」との批判も。

そんな中で昨年9月、高取町の共産党議員がコロナ感染にも関わらず、赤旗を配布するという事態が起きていた。

全議員が PCR検査結果 待ちのはずが

助成金を受け取れば検査待ちで赤旗配布という問題は起きないかも?

昨年9月16日、前日に別町議が濃厚接触者になったことから全議員、事務局職員が早朝にPCR検査を実施。午後に検査結果が出るまで登庁を控えることが議員に通達されていた。ところが共産党町議が16日午前に登庁し役場内で赤旗を配布。タイミングが悪いことに午後の検査結果で「陽性」が判明した。つまりコロナ感染で赤旗を配布したことになる。

1月31日の「奈良新聞」によると先月25日の同町議会全員協議会で同町議が厳重注意されたという。

議会事務局に確認したところ「全員協議会は25日ではなく26日ですね。確かに町議は管理職を対象に赤旗を配布していました」と説明する。

同町議に確認したところ「(配布した時点で)コロナ感染は判明していませんでしたし、個人情報に関わることですのでお話は控えます」との説明だ。

また本件の裏には厳しい赤旗のノルマがあるのではないか。そう町議に指摘したところ「関係ありません」とした。

同町議としては配布時点では「陽性」は判明していないとの言い分だが、登庁の自粛通達を破ったのは問題だ。

無論、行為としては軽率。しかし冒頭で紹介した共産党地方議員の本音を鑑みると悲哀すら感じてしまう。

元党員も赤旗など機関紙収入に依存するのは限界と指摘する。

「国民本位の政治のために政党助成金を受け取らないとする一方で議員は報酬を得ています。どの道、公金は得ている訳だからこの建前は矛盾しますよ。長らく指摘されたことですがね。だから政党助成金を受けとりますと方針転換すればいいだけの話。党員の高齢化が進む中で存続するには他に手段はありません」

同和行政の追及など“キナ臭い事案 ”については他野党よりも実績があった共産党。

しかし昨今、大幅な戦力ダウンに見える。

長らく取材に関わる熱海市土石流百条委員会でも共産党市議の追及はついぞ見られなかった。なにしろ自由同和会神奈川県本部元会長、天野二三男氏が関係する。共産党としては「主戦派」でも不思議ではなかったが、存在感は「空気」。

百条委員会といえば高取町でも2021年7月、新型コロナウイルスワクチンの集団接種で使用済みの注射器を誤使用した可能性を町が確認を怠ったという問題が発生。同年11月から百条委員会が開催された。

高取町関係者はこう明かす。

「百条委員会でも自民党系の中川裕介町長が追及されてきましたが、なぜか赤旗配布の共産党町議が町長寄りなんですよ」

これまた共産党議員の存在理由が問われるエピソード。

議会活動も迷走、赤旗も低迷。そして機関紙販促という厄介者さえなければPCR検査結果待ちで赤旗配布などという事態は起きなかっただろうに。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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