「琴浦文書」から見る 同和減免の実情と住民の本音

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By 宮部 龍彦

以前、鳥取県の琴浦町で同和対策固定資産税減免(同和減免)の対象地域についての町議会議員の質問が、差別事象として町執行部から県人権局に報告されたことをお伝えした。

その結果、町議会が執行部と対立し、県人権局に提出された報告書は撤回され、本論である同和減免についても、その廃止を求める議決が町議会でなされることとなった。

示現舎では、その経過についての非常に詳細な文書を入手した。

それらの文書をそのままアップロードしたので、以下からその全文を見ることが出来る。

議会での質問が差別事象として報告された件の顛末は以前の記事の通りである。今回入手した文書で注目すべきは、本論である同和減免に関することだ。

「部落解放総合施策及び2 0 1 9年度解放事業要請について(回答)」という文書は、町の同和施策について町が解放同盟に説明した資料と考えられるが、この文書には固定資産税の減免措置の実施状況が書かれている。文書によれば、平成30年で392件、457万2700円となっている。

この数字をどのように評価するか。参考となるのが、総務省統計局が公開している2015年の国勢調査の小地域別の結果である。それによれば、同和減免対象区域と考えられる出上1~6区と東桜ヶ丘、下伊勢1~4区の世帯数を合計すると410となる。ということは、全てが減免対象ではないとされつつも、事実上は対象地域の大多数の世帯が減免を受けているものと推定される。ただ、平均すると概ね1世帯あたり1万円を支給するのと同等ということになり、これを止めることで致命的な事態が起こるということは考えづらい金額である。

そして、さらに興味深いのが「2019年5月10日 福本まり子 議会での発言内容について」という文書である。これは、福本まり子町議が下伊勢1~4区の自治会のトップでありながら、同和減免廃止に賛成した理由を、地元住民に説明した文書と考えられる。

文書では同和減免を続ける理由について町長が「部落の土地は売れない、地価の価格差があるから」と説明したことについて、根拠がないだけでなく、そのような認識が差別を助長していると一刀両断している。

高塚議員の質問が差別事象として報告されたことについては「今後、町がきちんとした部落差別解消に向けた方針を立てない限りは、議会でこれらの議論はどんどん展開されます。おのずと地域の実態等にも触れて来なければなりません。そのたびに議員一人一人が差別者として挙げられ レッテルを貼られるのでしょうか」と疑問を呈している。

それだけでなく、同和対策事業全般についても、いくつかの特別施策が失敗していることや、一般地区でも改善が進んでいることを挙げて「気が付いた時には、 逆に世間から取り残されることになりかねないのでは…?」と危機感を吐露している。

その他、部落内でも差別があるのではということや、下伊勢では解放同盟への個人加入がほとんどなかったので村全体で加入したことなど、同和地区の区長であるからこそ言える地域の内情が赤裸々に書かれている。これはめったにないものであり、部落問題・同和行政を研究する上では一級の資料と言えるだろう。

宮部 龍彦 について

ジャーナリスト、ソフトウェアアーキテクト。信州大学工学部卒。 同和行政を中心とする地方行政のタブー、人権ビジネス、個人情報保護などの規制利権を研究している。「ネットの電話帳」管理人。

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「琴浦文書」から見る 同和減免の実情と住民の本音」への4件のフィードバック

  1. 山口君は不要です

    30年度決算、7対7で議長裁決によりギリギリ可決、先の県議選出馬の為辞職したK氏が居たら間違いなく不認定となっていたでしょう。

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