偽ハーフ、ショーンK氏、野中広務、新間正次 タイプで知る有名人の経歴詐称事情

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By Jun mishina

ダンディーな低音ボイス、ハーフで端正なマスク、さらにハーバード大学、テンプル大学といった海外の名門大学出身。さらにMBA取得、経営コンサルタントとしてビジネスでも成功。一時は“イケメンすぎるコメンテーター”などともてはやされたショーンKことショーン・マクアードル川上の“華やかすぎる”経歴がもろくも崩れ去った。『週刊文春』 (2016年3月15日号)で学歴、出自、会社経営がいずれも“詐称”と暴かれてしまった。イケメンハーフがごく普通の熊本県人で高卒というオチは、まるで映画の一幕のようだ。

ショーン氏は、経歴詐称について「この記事で、私のホームページ上の「英文」履歴書末尾に一定期間記載されていた内容に間違いがあり(責任の一端は私にあるのですが)本情報が各方面に引用されることで各関係者様に大変な誤解とご迷惑をおかけしておりました」(公式サイトより引用)と弁明。また「今回文春の記事の発端になったのは、会社のホームページの記載です」とも述べている。“経歴詐称バレ”は、WEBがきっかけのようである。

なにしろまるでアメリカのエリート層「WASPワスプ」を連想させる経歴で一躍、メディアの寵児になったのだから、その反動もすごい。日本のマスコミらしい“ハシゴ外し”も相まってショーン氏は、袋叩き状態だ。しかし過去にも有名人による経歴詐称事件は、たびたび起きており、それも政治家ら“おえらい方々”というケースもしばし。そこから様々な経歴詐称事情が見えてくるのだ。経歴詐称バレをタイプ別に見ていこう。

海外留学&海外大学型

ショーン氏は、4月から始まる新番組「ユアタイム~あなたの時間~」(フジテレビ)のメインキャスターに起用される予定だったが詐称問題を受け降板。その後任がハーバード大学卒のモーリー・ロバートソン氏という。この辺りも日本社会とマスコミの権威主義、欧米コンプレックスが垣間見える。

こうなってしまうと海外の名門大卒を自称する有名人は、疑ってかかれ、と言いたくもなる。ここで思い出されるのが2004年、民主党の元衆議院議員、古賀潤一郎氏。やはりアメリカの名門、「ペパーダイン大学卒業」と経歴詐称したことは、記憶に新しい。当時、古賀氏は、弁護士を通じて卒業証書を取得したが紛失した、と説明した。まるで小学生の定番の言い訳「宿題をやったけど家にノートを忘れてきた状態」だ。

さらに古賀氏は、プロテニス選手という経歴も偽っていた。これは、同氏がテニスの名門「柳川商業高校」(現・柳川高校)の卒業生であることが背景にあるかもしれない。なにしろテニスコーチは、「柳川卒」というだけでレッスン料が跳ね上がるという。多少、テニスが上手く「柳川卒」となれば一目置かれるに違いない。これも経歴詐称テクである。

また海外留学を活かした点では“中国で一番有名な日本人”こと国際コラムニスト、加藤嘉一氏も東大合格を蹴り中国に留学したという経歴が詐称であると発覚。奇しくもこれまた『週刊文春』の報道だった。確認が困難で、なおかつ誇張できる「海外留学&海外大学型」は、ある意味、経歴詐称界の常套手段と言ってもいいだろう。

その他、有名人の例を見ると安倍晋三首相は、幹事長時代の04年に発覚した南カリフォルニア大学政治学科の留学歴問題。本人のプロフィールでは2年間在籍としていたものが実際には1年だったことが判明。これは「経歴詐称」と言えるかどうか微妙なところだが、誇張したと指摘を受けるのは当然のことだろう。また小泉純一郎元首相もロンドン大学政経学部入学という経歴に対しても疑問視されたことがあった。この通り有力政治家ですら頼ってしまう海外留学と海外大学。日本人が持つ“海外コンプレックス”に裏打ちされたものだろう。ショーン氏の経歴詐称は、こうした日本人特有のメンタルを突いたとも言える。

世界が認めたという浅はかさ

要するに経歴の脚色に効果的なのが「留学経験」「海外大学」だ。こうした脚色願望がいわゆる「学位ビジネス」の温床になったのだろう。これは、入学金やあるいは寄付金を支払うと博士号などの学位がもらえるという方法だ。特に東京都中野区(現杉並区)に本部を置くイオンド大学日本校も有名である。

意外なことにあの有名人が? という人が学位ビジネスに引っかかるケースがある。一度、とある著名人にインタビューをしたことがあったが、その人の事務所にも誇らしげにイオンド大学の学位証が飾られていた。やはり著名人、有名人というものは、常に「承認欲求」にさいなまれているのだろう。「あなたの活動や研究が認められた」と言われたら舞い上がってしまうのは容易に想像できる。それも「世界が認めた」ともなればなおさらだ。

学位取得や名誉博士号についてはある意味“亜流”なのが、池田大作創価学会名誉会長、SGI会長の海外大学からの顕彰だ。『聖教新聞』の一面で「池田会長、○○番目の博士号授与」といった記事を目にしたことはないだろうか。“あの現象”も一種の学位ビジネスと言えるかもしれない。例えば池田氏が外国のA大学から名誉博士号を授与されたとしよう。これだけを読むと大きな功績のように見える。だが記事の片隅を見ると、創価学会がA大学の研究機関に寄付した、などとも報じられている。つまりあの名誉博士号は、寄付に対する“見返り”と考えるべきだ。詐称と言わないにせよ、少なくとも「学術的な成果」によって得た学位ではないことは明白。見方を変えれば池田氏を神格化しようという学会の涙ぐましい努力である。

大学の通信教育は“中退”!?

かつて自民党の竹下登(元首相)は、宮沢喜一(元首相)を嫌悪したという。もちろん派閥も違えば、政治理念も異なることによるが、加えて宮沢氏の「インテリ気取り」も気に入らなかったという。

ある時、宮沢は「竹下さんの頃の早稲田にも入学試験があったのですか」と茶化したという。これに竹下が激怒。宮沢は東大卒、竹下は早大卒である。今でこそ私大出身の首相は珍しくないが、東大閥が幅を利かせた昭和らしいエピソードだ。もちろん実力勝負の政界だが、何らかの学歴が欲しいのも本音だろう。そこで悪用されがちなのが、一部の大学が実施している「通信教育部」である。

一般に“通教”と言われるこの制度。都内の大学だと慶應義塾大学、法政大学、中央大学、日本大学、東洋大学が通信教育部を設置している。通信教育の場合、入学試験と言ったものはなく「志望動機書」などの提出の他、審査がある程度。ほとんどの場合、フリーパスで受講することが可能だ。ただ入りやすく単位取得はとても厳しく、しばし本課程よりも卒業が難しいとも言われる。

そして同制度を使って経歴詐称と批判されたのが自民党の重鎮、野中広務元官房長官。同氏が京都府議時代、法政大学卒業と称していた。それに疑惑が向けられると今度は同大通信教育部中退と説明したという(ちなみに著者は法政OBであるが、学生当時、学内では野中氏は夜間卒という噂がもっぱらであった)。

しかしこの通信教育部、途中で挫折するパターンが大半。厳密に言えば「中退」というよりもただ「諦めた」「やーめた」というだけの話である。いわば自動車学校中退、極端に言えば「ユーキャンのペン習字を途中でやめた」と大差は、ない。ところがここが「通信教育部中退」のグレーゾーンなのだ。仮に一単位すらとれず通信教育部の受講を止めたとしよう。ところが「在籍証明書」という形でまがりなりにも「大学生」であったという経歴を取得できるのである。極論を言えばコンビニの前にたむろしている「ヤンキーなニイちゃん」ですらなんと“慶應ボーイ”になれる可能性がある。

この辺りの制度について慶應義塾大学通信教育部に尋ねてみると「途中でおやめになっても取得単位に限らず在籍証明書を発行することができるので“在籍した”という事実は残る。またその結果をご本人が“中退”というかどうか学校側は関知しないし決まりもない」という説明である。法政大学通信教育部についてもほぼ同様の回答だった。

このため万一、野中氏が通信教育部に籍を置いたとするならば「中退」という経歴は、決して「詐称」には当たらないことになる。ただ後は通信教育部挫折ということを「中退」と言い切れるか? それは、本人の矜持の問題になってくる。

ちなみに出版などメディアの世界でも意外と通信教育部挫折組であっても、「慶大中退」などと称する人は、少なからず存在している。腐っても「文化事業」という側面があるメディア業界だから“溺れる者はわらをもすがる”ではないけれど、通教挫折であっても高ブランド大学の「中退」という見栄を張りたいのだろう。

これは余談になるが、通信教育、あるいは夜間(二部)は“意外な”使い道もあった。過激派の学生が大学に居座るために入学するケースだ。なにしろ通信教育と言っても通学証明書が発行されるので学割が使用可能だ(法政の場合)。二部の場合、一般の入試よりも難度は下がり入学しやすい。法政の場合(現在、二部制度は廃止)、中核派が学生会館などの施設を占拠しており、実質アジト化していた。この際、学生ではなければ都合が悪いため、二部、通信教育で学籍を得た。中には、東北大学、広島大学といった有力な国立大学を卒業し再入学する活動家も存在。

彼らにとってみれば法政の夜間に合格することなど造作もないのである。紛争が華やかなりし頃、30歳、40歳の大学一年生はザラ。こうした学内に活動家が居座ったのである。もちろん彼らに卒業の意思だとか、キャンパスライフを謳歌するといった概念はない。ただ活動上の利便性を考え「学籍」を得たにすぎない。

もう一点、大学の経歴詐称では「逆詐称」という妙なケースが稀にある。例えば早稲田大学の場合、昨年、死去した作家の野坂昭如は、卒業しているにも関わらず早稲田大学仏文科中退を公称していた。せっかく卒業したにも関わらずなぜ「中退」と言うのか? 生前、野坂氏は「中退の方がカッコいい」と語っていたとも伝わるが、その一方でこんな背景もある。

早大OBの劇団員がこう語る。

「早稲田の作家や俳優といった文化人の間では“中退者が出世する”というジンクスがある。だから早大卒の役者の卵がオーディションなどを受けて、あまりいい演技ができないと“お前は中途半端に卒業したからダメなんだ”と演出家からなじられることも(笑)」

早稲田の場合の「逆詐称」は、こうした特殊な事情が影響しているようだ。あえて「中退」が一種の勲章になるのは、文壇や演劇界、芸能界に多数のOBを抱える早稲田がゆえとしか言いようがない。

雄弁さが仇? 語るに落ちた舌禍型

1992年、参院選愛知選挙区、民社党から出馬し当選した新間正次氏に明治大学政経学部卒という経歴詐称が発覚。新間氏は、ラジオパーソナリティーなどのいわゆる“ご当地タレント”で東海地方では人気者だった。疑惑が報じられた新間氏は、「夜間(二部)だった」「合格したが辞退した」「入学したが授業は出ていない」という“学歴詐称業界”定番の説明を繰り返すのみ。結局、公職選挙法(虚偽事項の公表)により当選は無効となってしまう。皮肉なことに彼は、東海地方で著名人であり学歴詐称しなくても十分、当選の可能性があった。しかも愛知県は当時、「民社王国」と言われたほど。本来は、学歴など無関係で有力な候補者だった。

ではなぜ発覚したのか。それはタレント、パーソナリティーだけに雄弁さが災いしたように見える。新間は、熱心な中日ドラゴンズファンで、同球団の応援番組などにも出演していた。元民社党員で現在は自民党に籍を置く地元議員からこんな話を聞いたことがある。

「新間事件当時、ドラゴンズが、星野仙一氏が監督の時代。中日生え抜きの青年監督ということで星野さんの人気は絶大。後援会も会員が増えた上、地元の名士もズラリ。その後援会のパーティーで新間氏が呼ばれスピーチをした」

そして新間氏はこう得意気に語ったという。

「星野監督は我が明治大学OB。私も卒業生として鼻が高いですなあ」

後援会には、明大OBも何人かいた。

「“あれ? 新間ちゃん明治やったの”とか“校友会にいないぞ”といぶかるOBもいた。そんなところから明大卒はウソという話が広まったんだ」

あえて明治OBと言わずとも十分に地元の有名人だった新間氏。まさしく語るに落ちるという結末だ。

さて以上のように「海外留学&海外大学型」「通信教育」「舌禍型」と見てきた。どうやら詐称バレの傾向は、ショーン氏、加藤氏のように本人のWEBサイト上のプロフィールが命取りになっているようだ。なにしろネット上で注目を浴び、時代の寵児になるにはWEB上経歴の“大風呂敷”も必要であり、逆に言えば詐称の温床になりかねない。今後もそんな“時代の寵児”たちのWEBサイトから目が離せないところだ。

ただこういう疑問も残る。果たして詐称した側だけに問題はあるのか、と。もちろん詐称は許されない。しかしながら「海外の権威」や「学歴」「有名人」「経営コンサルタント」といった事象を盲信・盲従する人々は少なくない。彼らもまた「経歴詐称」の“創造主”ではないのか。

Jun mishina について

フリーライター。法政大学法学部法律学科卒。 月刊誌、週刊誌などで外国人参政権、人権擁護法案、公務員問題などをテーマに執筆。「平和・人権・環境」に潜む利権構造、暴力性、偽善性を取材する。

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偽ハーフ、ショーンK氏、野中広務、新間正次 タイプで知る有名人の経歴詐称事情」への4件のフィードバック

  1. 名前

    三品さん

    可児郡御嵩町の部落名は「若松町」だそうですが、現在の地名だと具体的にどの範囲なんでしょうか。御存じでしたら教えてください。

    返信
  2. Yes.war

    鳥取さんこんばんは
    解放同盟の糞がホームページのニュースと主張というところで地名総鑑に対しての抗議声明を出しています。

    糾弾本部を作るとか言っていますよ。言いたいようにさせればいいですね。
    鳥取さんは自分の信念を貫いて必ず地名総監を発行してください。わたし絶対に買います。

    仮に法務省が何を言ってきても無視してください

    返信
  3. 匿名

    若松はここです。
    姓でかなり周辺に移住拡散しているのがわかります。https://goo.gl/maps/4ZzGRinug5J2

    返信